EPNextSと電子カルテデータの利活用促進に向けた協業の開始

トピックス

2024年3月11日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、製薬企業やアカデミアにおける電子カルテデータの利活用促進を目的として、2024年3月より株式会社EPNextS(イーピーネクスト:以下、EPNextS)と協業を開始します。EPNextSは、CRO注1をコアにSMO注2、CSO注3などの事業を有する国内最大規模の企業であり、医薬品開発支援に関する豊富な経験を保有しています。今回の協業により、次世代医療基盤法注4認定事業である「千年カルテ®注5」が蓄積する電子カルテデータと、EPNextSの臨床試験・臨床研究やデータベース研究・調査における専門性と顧客基盤を掛け合わせることが可能となります。これにより、従来難しかった電子カルテデータの利活用者の研究企画検討から統計解析までの支援を実現し、電子カルテデータのさらなる利活用を促進します。
本協業を通し、バリデーションスタディ注6をはじめ、詳細な患者背景情報や治療実態などを含む非構造化データを活用可能な千年カルテデータベースの特長を生かした高品質な研究の検討や新たなユースケースを創出するとともに、より多くの匿名加工医療情報を提供し、次世代医療基盤法認定事業である「千年カルテ」を拡大していきます。

背景

NTTデータは、次世代医療基盤法において、認定匿名加工医療情報作成事業者である一般社団法人ライフデータイニシアティブのもと、認定医療情報等取扱受託事業者として認定を受けています。2020年からは、千年カルテが蓄積する電子カルテデータを含む医療情報を匿名加工し、製薬企業やアカデミアなどの利活用者に提供してきました。また、千年カルテは、従来の構造化データのみを扱う医療リアルワールドデータに加えて、特殊検査値や経過記録、臨床サマリ、各種レポートなど、臨床アウトカムに関連する情報を含む非構造化データを有しているのが特長です。ただし、これらのデータを適切に活用するためには、電子カルテデータや研究の対象となる疾患に関する高度な知識が必要であり、研究企画の検討から統計解析・論文化におけるノウハウ活用や利活用者への迅速な提案といった課題を解決することが、データ利活用拡大に向けた鍵となっています。
今回、データ利活用促進を図るため、臨床試験・臨床研究やデータベース研究・調査における豊富なノウハウがあるEPNextSとの協業に至りました。

協業について

NTTデータとEPNextSは、2024年3月より、電子カルテデータの利活用促進を目的として、以下の取り組みを行います。

  1. 製薬企業やアカデミアなどの利活用者への共同提案
  2. 新たなユースケースの創出
  3. アウトカム定義のバリデーションスタディの実施

特に、アウトカム定義のバリデーションスタディでは、レセプトデータ・DPCデータのみを基にした場合、臨床検査値や診療録などから得られる評価指標となる情報は、構造化データからは取得できないため、アウトカム定義の正確性を担保することが難しいと言われています。一方、千年カルテのデータを使用することで、レセプトデータ・DPCデータだけでなく、電子カルテデータとして保有する臨床検査値や診療録などから得られる評価指標からも定義が可能となり、よりエビデンスレベルの高いアウトカムリサーチが可能となります。

また、次世代医療基盤法は2024年度に改正法の施行が予定されており、両社は新設される仮名加工医療情報等の利活用についても検討していきます。

図:取り組み概要図

図:取り組み概要図

今後について

今後両社は、詳細な患者背景情報や治療実態などを含む非構造化データを活用可能な千年カルテデータベースの特長を生かした高品質な研究の検討や新たなユースケースを創出していきます。特に、千年カルテを使用したバリデーションスタディにより、よりエビデンスレベルの高いアウトカム研究を実施できる可能性があります。これにより、医薬品の製造販売承認申請や再審査・再評価申請において、製薬企業の調査にかかる時間や費用の削減、人的資源をより効率的に活用することを目指します。
本協業を通じ、活用が進んでいなかった領域での電子カルテデータの利活用を推進することで、より多くの匿名加工医療情報を提供し、次世代医療基盤法認定事業である千年カルテを拡大していきます。

NTTデータが描く製薬業界の未来

NTTデータは、業界・技術のForesight起点で未来を構想し、共創パートナーとしてお客さまの成長とビジネス変革を実現していきます。医療・ヘルスケア業界では、行政・民間企業などが一体となって、患者中心の医療の実現に取り組んでいます。NTTデータは、データ基盤開発や分析、医療ビッグデータ二次利用の支援など、製薬企業の事業全体のデジタル化を支援し、事業変革による医薬品開発のスピード向上と、ヘルスケア分野における予防から予後まで一人一人に寄り添ったDTx(デジタル治療)などの新たなサービスの創出に寄与します。製薬企業の新たな価値提供領域の共創パートナーとして患者中心の医療体験変革に貢献していきます。
https://www.nttdata.com/jp/ja/industries/lifescience/

EPNextSについて(株式会社EPNextS)

株式会社EPNextSは、1991年にCROのパイオニアとして創業したEPSホールディングスが率いるEPSグループの中において、中核事業(CRO、SMO、CSO)を統括するヘルスケア・ソリューション・プロバイダーです。EPNextSグループの総合力を結集し、ヘルスケア領域における革新的なビジネスソリューションの創生に取り組んでいます。

注釈

  • 注1 Contract Research Organization(医薬品開発業務受託機関)の略称
  • 注2 Site Management Organization(治験施設支援機関)の略称
  • 注3 Contract Sales Organization(医薬品販売業務受託機関)の略称
  • 注4 次世代医療基盤法とは、「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関し、匿名加工医療情報作成事業を行う者の認定、医療情報及び匿名加工医療情報等の取扱いに関する規制等を定めることにより、健康・医療に関する先端的 研究開発及び新産業創出を促進し、もって健康長寿社会の形成に資することを目的とする」法律です。(出典:内閣府「次世代医療基盤法とは」https://www8.cao.go.jp/iryou/gaiyou/gaiyou.html
  • 注5 千年カルテは、「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」(次世代医療基盤法)に基づき、医療機関等から取得した医療情報を統計処理または匿名加工してデータ利活用者提供し、健康・医療に関する先端的研究開発や新産業創出に役立てる取り組みです。
  • 注6 バリデーションスタディとは、データの二次利用において、当該データに含まれる情報の妥当性を信頼性の高い別の情報源と突合して調査することを指します。(出典:PMDA「医療情報のデータベース等を用いた医薬品の安全性評価における薬剤疫学研究の実施に関するガイドライン(医薬品医療機器総合機構)」)
  • 「千年カルテ®」は日本国内における一般社団法人ライフデータイニシアティブの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第二インダストリ統括事業本部
製薬・化学事業部
千年カルテ担当
E-mail:milkr_support@kits.nttdata.co.jp