生成AI同士のコミュニケーションが新たな洞察を導く、LITRON®新サービスを提供開始

トピックス

2024年7月31日

株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ数理システム

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)と株式会社NTTデータ数理システム(以下、NTTデータ数理システム)は、生成AI活用による業務効率化を推進するため、LITRON® Multi Agent Simulation(読み、リトロン マルチ エージェント シミュレーション)を開発しました。2024年秋頃から提供を開始します。本サービスは生成AIに個別の立場(ペルソナ)を設定し、生成AI同士がコミュニケーションし、新製品のアイデア出しやマーケティング戦略の立案支援などを実施できます。複数のペルソナでシミュレーションを実行することで、新たな洞察を得ることができます。
NTTデータは、業務プロセス全体を生成AIが変革する未来を描いています。特化型AIやデジタルレイバー(仮想知的労働者)注1の機能を集約したパーソナルエージェントを活用する未来像です。本サービスは、デジタルレイバー実現に向けた取り組みの位置づけで、今後もその高度化に向けた開発・投資を進めていきます。
両社は本サービスの提供を通じて、お客さまの生成AI活用を推進し、IT人材不足をはじめ労働力人口の減少といった社会問題の解決に向けた取り組みを進めていきます。

背景

現在、日本では人口減少による労働力人口の減少加速、IT人材不足といった社会問題があり、生成AIへの需要が急激に高まっています。しかしながら、その導入に取り組む企業の中には、自然言語による検索や要約などの適用にとどまって成果創出が拡大しないなど課題を抱える企業も多くあります。
NTTデータは、2023年6月に「LITRON Generative Assistant」を発表注2して以降、お客さまの生成AI活用を推進してきました。その中で得られた知見から、当社が描く生成AIの未来像を提言しています。生成AIの進化により、個人が、特化型AIやデジタルレイバーの機能を集約したパーソナルエージェントを活用する、業務プロセス全体を生成AIが変革する未来を考えています。(図1)
NTTデータ数理システムは、2023年6月から生成AIに関するセミナーを開始して以降、生成AIによるアイディエーションシステムの実装や、自動応答QAチャットアプリの開発およびデプロイなど、多くの生成AI活用プロジェクトにおける価値の中核を担うことで、お客様とともに生成AI活用プロジェクトを推進してきました。

図1:企業における生成AI活用の未来像

図1:企業における生成AI活用の未来像

システムの概要

NTTデータとNTTデータ数理システムは、人間の代わりに業務を自動で行うデジタルレイバーの実現に向けて、AI同士のコミュニケーションが構成要素として必要と考えており、LITRON Multi Agent Simulationを開発しました。本サービスは複数の生成AIにそれぞれの立場(ペルソナ)を設定してコミュニケーションすることで、マルチエージェント注3でのシミュレーションを実現します。新製品のアイデア出し、マーケティング戦略の立案支援、株主総会の想定問答作成などに活用でき、複数のペルソナでシミュレーションを実行することで、新たな洞察を得ることができます。

図2:LITRON Multi Agent Simulation概要(新製品開発のアイディエーション場面を想定)

図2:LITRON Multi Agent Simulation概要(新製品開発のアイディエーション場面を想定)

特長

(1)生成AI同士のコミュニケーションを実現

複数の生成AIによる会議シミュレーションを実現し、AI同士が自律的に動作して議論を深め、結論を出すことが可能です。一つの会議中に様々な議題を設定可能で、会議中に人間が発言することも可能であり、多様な会議のシミュレーションが実施できます。

(2)生成AIに対して個別の立場(ペルソナ)を設定可能

営業、エンジニア、リサーチャーなど、さまざまな立場(ペルソナ)を生成AIに設定することで、各立場を反映した意見を導き出し、会話をシミュレーションすることができます。異なる意見を集約し、会議を進めることで、新たな指摘やアイデアを得ることができます。

(3)関連するデータを参照させ、知見に基づいた指摘を生成

生成AIに事前に社内外の関連データやドキュメントを持たせることで、会議中に適宜参照して必要な知識を得ながら議論を進めることができます。データに基づいた正確な指摘や意見を生成することが可能です。

業務適用例

新製品開発のアイデア討論

新しい製品やサービスの企画会議で、多様な専門知識を持つ生成AIを参加させることで、幅広い視点からのアイデア出しが可能です。これにより、新製品の開発スピードを加速し、早期の市場投入が可能となります。

マーケティング戦略の立案支援

マーケティング会議で、市場調査データや消費者トレンドを参照させた生成AIを活用することで、効果的なマーケティングキャンペーンを議論し戦略立案をサポートします。これにより、キャンペーンの成功率を高め、マーケティング費用対効果の向上を図ります。

顧客サポートシナリオの事前検討

顧客サポート部門で、クレーム対応やトラブルシューティングのシナリオを事前にシミュレーションします。多様な顧客視点を取り込むことで、より効果的な対応マニュアルを作成し、顧客満足度の向上とサポートコストの低減を図ります。

プロジェクトリスクの事前評価

大規模プロジェクトの会議において、プロジェクトマネージャー、エンジニアリング、法務、財務など異なる視点からのリスク評価を実施します。これにより、潜在的なリスクを事前に把握し、適切な対策を講じることで、プロジェクトの遅延や予期せぬコスト増を防ぐことができます。

株主総会の想定問答作成

株主総会での質疑応答をシミュレーションすることで、各部門(経営企画、広報、財務、法務など)の専門知識を持った生成AIと過去の質疑内容から、多様な株主からの質問に対する適切な回答を準備します。これにより、株主総会の進行をスムーズにし、企業への信頼を向上させます。

新製品需要調査の事前シミュレーション

消費者やユーザーが新しい製品やサービスに対してどのような反応をするか、複数の想定ペルソナを設定し、シミュレーション環境上で意見抽出することが可能です。市場投入前の調査を多様なパターンでスピーディーに実施することができます。

今後について

NTTデータとNTTデータ数理システムはLITRON Multi Agent Simulationの開発、サービス提供を共同で進めます。本サービスを活用し、お客さまの生成AI活用を推進し、IT人材不足をはじめ労働力人口の減少といった社会問題の解決やお客さまのビジネス成長の促進に貢献します。
また両社は、日本国内での生成AI事業の展開を一層進めます。特化型AIの開発や業務システムと連携する高度なデジタルレイバーの実現を目指して開発・投資を継続していきます。

注釈

  • 注1 デジタルレイバーとは業務を自動化するソフトウエアロボットの一般的な用語。NTTデータは、生成AIを活用して従来よりも高度化したソフトウエアロボットの実現を目指しています。
  • 注2 多様なデータを連携させて根拠ある回答文を作成する生成AIサービスを提供開始(2023年6月29日)
    https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2023/062900/
  • 注3 マルチエージェントとは、複数の生成AIや自律的なソフトウエア(RPAなど)を活用したシステム
    • LITRONはNTTデータが提供する大規模言語モデルによる業務の効率化・高度化を実現するサービスの総称です。
      詳細は下記サイトをご覧ください。
      https://enterprise-aiiot.nttdata.com/service/litron
    • LITRONは日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
    • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
テクノロジーコンサルティング事業本部
デジタルサクセスコンサルティング事業部
野村、齋藤、岡本
E-mail:contact.litron@kits.nttdata.co.jp