インドネシア国「防災情報処理伝達システム(DPIS)」の稼働開始

トピックス

2024年9月30日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)が開発に携わった、インドネシア国「防災情報処理伝達システム(以下、DIPS)」が2024年9月より稼働開始しました。本プロジェクトは2023年6月に開発着手し、2024年7月に開発完了、同年9月より稼働開始しました。
DPISは、日本国内にて運用されている災害情報共有システム「Lアラート」のアーキテクチャーをベースに、災害対応支援システム「D-Resilio®連携基盤」を活用した、政府から災害情報を迅速に発信して国民の安全・安心を守るためのシステムです。NTTデータは本開発プロジェクトにおいて、設計から開発・試験までの一連のシステム開発および、クラウド基盤を中心としたインフラ構築の役割を担いました。
NTTデータはインドネシア通信情報省(以下、KOMINFO)と密に連携しながらインドネシア国内でのDPISの利用促進を支援するとともに、DPISをベースに世界的な気候変動によるEWS(Early Warning System:早期警戒システム)を中核とした日本の防災DXソリューションのASEAN、グローバルサウス展開を目指します。

背景

日本と同様災害大国であるインドネシアでは、各災害情報を持つ機関から国民への情報伝達手段の整備が不十分だという課題があります。実際に、2004年スマトラ大地震や、2018年スラウェシ大地震を含む災害時に、災害の状況を迅速に国民に届けることができていませんでした。これらの課題解決のため、日本政府の「インフラシステム海外展開戦略」のもと、総務省が日本国内で推進する「行政機関からの避難指示等の情報をテレビ局等に一斉配信する仕組みである「Lアラート」を、インドネシアへODA事業として輸出する方針を出しました。実証事業を経てNTTデータがDPISの開発を担うことが決定し、2023年6月27日に、KOMINFOとNTTデータとの間で、DPISの構築、輸出に係る契約に正式に調印し、構築プロジェクトが発足しました。このたび2024年7月にDPISの開発を完了し、同年9月より稼働開始しました。

本プロジェクトの概要

DPISは、日本国内にて運用されている災害情報共有システム「Lアラート」のアーキテクチャーをベースに、災害情報連携基盤「D-Resilio連携基盤」で培った情報配信のノウハウを活用した、政府から災害情報を迅速に発信して国民の安全・安心を守るためのシステムです。
本システムでは、インドネシアのBMKG(日本の気象庁に該当)が持つ津波・地震などの災害情報を、インドネシア国内メディア、BPBD(地方防災庁)、112(災害連絡機関)等の関係機関へ一斉配信を行います。国民に津波・地震情報を迅速に伝達することで、インドネシアの国民の避難促進などの災害対策に貢献します。将来的には複数の防災関係機関の情報の統合化・標準化を目指すものです。
また、インドネシアではガバメントクラウド構想があり、DPISについてもクラウドの特長を生かしたシステムを実現しました。
なお、本システムの導入はLアラートの海外展開を実現する初めての事例となりました。契約から納品までが約12カ月と短期プロジェクトとなったなか、日本の開発チームがインドネシア政府の考え方やインドネシアの商習慣に合わせるなど、文化的なギャップの苦労を超え、両国担当者間で一体となって開発を進めることでスケジュール通りに納品することができました。また、クラウド技術やスマートフォンの積極的活用といったデジタル化が浸透しているインドネシアの現状に即した技術で実装を行いました。

図1:DPISのシステム概要

図1:DPISのシステム概要

DPISのローンチセレモニーについて

9月23日にインドネシア バリ島にてローンチセレモニーが開催され、ブディ インドネシア通信情報大臣は、「DPISとデジタルTV向け早期警戒システムが互いに補完しあって国民の安心・安全を守っていくという災害リスクを軽減する目的を達成していきたい。」と述べました。
また、ワヤン インドネシア通信情報省総局長は、「DPISは試験・検証を重ねて本日、ローンチに至った。巨大地震の脅威に向け、放送と情報伝達で対策していく」と述べ、DPISを稼働開始することを宣言しました。

図2:ローンチセレモニーの様子(2024年9月23日 インドネシア バリ島) (左:ブディ インドネシア通信情報大臣 右:NTTデータ 上田 第一公共事業本部長)

図2:ローンチセレモニーの様子(2024年9月23日 インドネシア バリ島)
(左:ブディ インドネシア通信情報大臣 右:NTTデータ 上田 第一公共事業本部長)

今後について

NTTデータはKOMINFOと密に連携しながらインドネシア国内でのDPISの利用促進を支援していきます。また、インドネシアへのLアラート導入実績をもとに、国連や経済産業省が広く提唱する、世界的なEWS(Early Warning System:早期警戒システム)導入推進や気候変動適応ビジネス拡大の潮流に乗り、SDGsの課題解決に貢献しつつ、ASEAN、グローバルサウスへビジネス展開を行っていきます。
また、国内外におけるハイレジリエント社会の実現に向けて、各ステークホルダーの意見を取り入れながらさまざまな政府・企業と共創し、D-Resilio連携基盤の機能拡張を進め、国民の命を守ることに貢献します。

D-Resilio連携基盤の概要

D-Resilio連携基盤とは、迅速で的確な対応が必要とされる災害時に、行政や企業の効率的な防災情報収集を実現し、先回りした災害対応の検討・判断を支援するプラットフォームです。
情報収集~意思決定~応急対応の各フェーズにAIや衛星・ドローン等のデジタル技術を活用し、国民の安全・安心に寄与します。防災業務に有用なコンテンツを提供しているベンチャー企業を始めとしたさまざまな企業との連携により、災害の広域化・複合化対策で必要となる自治体や医療機関、保健所などの関係機関とリアルタイムな情報連携を実現します。
(参考)ハイレジリエントな社会を実現する「D-Resilio®連携基盤」の提供を開始 | NTTデータグループ - NTT DATA GROUP

注釈

  • 「D-Resilio」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第一公共事業本部
危機管理ソリューション担当
中村、伊達
TEL:050-5545-1866