地域金融機関のマネロン対策とテロ資金供与対策を効率化するサービスを提供 ~金融当局が求める「継続的顧客管理」を地銀共同センターで効率的に実現~
2022年1月31日
株式会社NTTデータ
本サービスは、地域金融機関が管理する顧客情報(個人・法人)をWEBまたは金融機関アプリから収集した最新の顧客情報によって更新し、顧客リスク評価までを自動で行います。これまで地域金融機関は顧客情報を郵送などで集め、手作業で更新するといった煩雑な運用を主に行っておりましたが、本サービスを地銀共同センターの共同化の枠組みとして提供することにより、金融機関は銀行員の負荷軽減、ペーパーレス化等にて大幅にコスト低減が可能となります。
NTTデータは、これまでBeSTA注3利用行に対して、顧客や取引の正当性確認や顧客のマネロン等への関与リスクを評価するサービスを提供して参りました注4が、本サービスをはじめとするマネー・ローンダリング及びテロ供与資金対策を総合的に支援することで、金融当局の要請に柔軟に対応いたします。
2022年2月に京都銀行と西日本シティ銀行、2022年度中には池田泉州銀行と大分銀行、愛知銀行がサービス開始を予定しています注5。NTTデータは今後、地銀共同センター、STELLACUBE®、BeSTAcloud®注6参加行まで本サービスの提供を目指します。時代の情勢に沿った更改を続けることで、BeSTA利用行におけるマネー・ローンダリング及びテロ供与資金対策のプラットフォーム化を目指します。
背景
国際社会がテロ等の脅威に直面する中で、金融当局は金融機関にマネー・ローンダリングとテロ資金供与対策に対する強い対策を求めています。FATF(ファトフ)注7は各国に対して金融犯罪に関する態勢の高度化を求めているほか、金融当局は2021年4月の通達で金融機関に対し「マネロン・テロ資金供与対策に関するガイドライン」に定めた「継続的顧客管理」における全顧客のリスク評価を2024年3月末までに完了するよう求めています。金融機関のマネー・ローンダリングとテロ資金供与対策に関する対応負荷は増え続けています。
このような状況下において、NTTデータは金融機関の継続的顧客管理に必要な事務処理を自動化するサービスを新たに開発しました。2022年2月に地銀共同センター参加行に対して提供を始めます。NTTデータはこれまでも地銀共同センター参加行に対し、顧客や取引の正当性確認や顧客の将来リスクを評価するサービスを提供してきましたが、本サービスによりマネー・ローンダリングとテロ資金供与対策の高度化と効率化をさらに支援します。
特徴
本サービスは、金融機関が管理する顧客情報(個人・法人)をWEBまたは金融機関のアプリから収集した最新の顧客情報(個人・法人)によって自動で更新し、顧客リスク評価を自動で行うサービスです。NTTデータが提供する金融機関向けクラウドサービスOpenCanvas®上に構築しており、金融機関の求めるセキュリティレベルを担保します。WEBまたは金融機関のアプリからの認証には、地銀共同センターならびにANSERセンターが提供する既存の認証機能を活用することで、高いセキュリティを担保します。
これまで金融機関は顧客情報を郵送などで集め、手作業で更新するといった煩雑な運用を主に行ってきました。本サービスを利用することにより、WEBや金融機関アプリなど幅広い対顧客チャネルから情報を収集できるようになります。金融機関アプリ上で顧客に入力いただいた情報を勘定系や既存のマネロン関連サービスへ連携することで、金融機関の定めたリスク評価書に基づいたリスク評価を実施します。情報収集だけでなくリスク評価までを一貫して自動化するため、銀行員の負荷軽減、ペーパーレス化、コスト削減につながります。また、ユーザ会など通し、各利用金融機関のアイデアや簡素な顧客管理(SDD)の適用範囲や条件などを共有することも可能です。
コスト削減では具体的に、金融機関は情報収集に必要な印刷費や郵送費、返送された回答の確認や電子データ化に要する人件費を削減可能です。地銀共同センターの共同化の枠組みとして提供するため、単独で同様のシステムを導入する場合と比較しても安価です。NTTデータは本システムにより、金融機関が従来の方式と比較して将来的に50%コスト削減できることを目指しています。
なお、収集した顧客情報は地銀共同センターの全参加行が利用中のKYCデータベース(顧客情報管理機能)注8で一元管理し、リスク管理も同システム上で実施します。一般的な顧客情報のWEB収集サービスにおいては、回答内容確認を委託先会社で実施する必要があるのに対し、本サービスでは顧客から集めた情報が銀行自身で妥当性を的確に確認できます。顧客から情報を集めるWEBアンケートページと銀行員確認の事務ワークフロー、勘定系への連携など自動化対応は地銀共同センターが提供する「Service Engagement Hub™(SEHub)」注9を用いて実現しています。
図1:サービス概要
利用行について
2022年2月に京都銀行と西日本シティ銀行が、2022年度中には池田泉州銀行と大分銀行、愛知銀行がサービス開始を予定しています。
今後について
本サービスの提供にあたり、ユーザ会を通して参加行の意見を集約し、よりよいサービスを目指して検討いたしました。地銀共同センターでは、システム提供に留まらず、サービスの価値共創の検討を進めており、今後もナレッジインタラクションワークショップ注10等を活用して、日々改善を目指して参ります。
NTTデータは、地銀共同センター参加行に留まらず、STELLACUBE、BeSTAcloudなどBeSTAをご利用いただく金融機関も対象に本サービスの提供拡大を目指します。時代の情勢に沿った更改を続けることで、BeSTA利用行におけるマネー・ローンダリング及びテロ供与資金対策のプラットフォーム化を目指します。
注釈
- 注1地銀共同センター参加行:青森銀行、秋田銀行、岩手銀行、千葉興業銀行、福井銀行、京都銀行、池田泉州銀行、鳥取銀行、山陰合同銀行、四国銀行、大分銀行、西日本シティ銀行、愛知銀行(2022年1月31日現在、銀行コード順)
- 注2継続的顧客管理とは、金融機関が顧客ごとのリスクを評価し、その結果に応じてリスクを減らすという一連の流れを継続的に実施することを指します。
- 注3「BeSTA」(Banking application engine for STandard Architecture)は、ベンダーを特定しないNTTデータの標準バンキングアプリケーションです。
- 注4過去のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するサービス提供実績は以下の通りです。
- 注5銀行の記載順は、導入日(予定含む)順および銀行コード順です
- 注6地銀共同センター、STELLACUBE、BeSTAcloudはBeSTAを利用した、NTTデータが運営する共同化スキームです。
- 注7Financial Action Task Force。マネー・ローンダリング対策やテロ資金対策などにおける国際的な協調指導、協力推進などを行う政府間機関です。
- 注8顧客情報管理機能とは、NTTデータが2019年からAML-CDD利用行に提供しているKYCデータベースです。顧客リスク評価に必要な情報を一元管理しています。
- 注9Service Engagement Hubは銀行業務のワークフロー化やAPI連携により、地域金融機関の業務を効率化する共同利用型サービスです。
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2021/102801/ - 注10ナレッジインタラクションワークショップは各参加行の業務改革事例等を参加行間で相互共有し、ベストプラクティスの活用を推進する取組です。
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/services_info/2021/100500/
サービス名 | サービス開始日 | 概要 | |
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1 | AMLフィルタリング | 2011年1月 | 新規開設した顧客の正当性確認を実施 凍結口座名義人リストや外国PEPs等のリスト更新の際に既存顧客の正当性確認を実施 |
2 | AMLモニタリング | 2016年11月 | 勘定系での不正取引の検知を実施 |
3 | AML-CDD | 2019年10月 | 顧客属性や取引内容に応じてマネロンやテロ資金供与に関与するリスクを顧客ごとに格付け |
- 「Service Engagement Hub」は商標出願中です。
- 「STELLA CUBE」「BeSTAcloud」「BeSTA」「AnserParaSOL」「MyPallete」「OpenCanvas」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
報道関係のお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
広報部
岡林
TEL:050-3644-3163
製品・サービスに関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
第二金融事業本部
第二バンキング事業部
高橋、星、福島、緒方
TEL:050-5546-8933