生成AIの活用をグローバルで推進する体制を整備

~グローバル19.5万人が利用できる次世代開発プロセスを策定し、システム開発を高度化~

報道発表

2023年6月29日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、生成AIの活用をグローバルで推進する「Global Generative AI LAB」を2023年6月設立しました。先進技術を活用したビジネス創出を目的とするイノベーションセンタ注1が中心となり、生成AIのソフトウェア開発分野への適用、各国拠点の関連ソリューションの展開やラボ活動、生成AI活用のためのガイドラインの策定について、グローバル全体で取り組みます。
具体的には、ソースコード自動生成やチャットボット「eva」、文章検索ソリューション「Dolffia」注2などの生成AI関連ソリューションをグローバルで展開し、文書読解AI「LITRON®」と生成AIを連携した新サービスを提供します。ラボ活動ではお客さまとの協創を目的に、各拠点のノウハウ共有、今後登場する新たなAIに対する調査検証、NTT研究所が開発する生成AIモデルを活用します。さらに倫理やセキュリティの観点からガイドラインを策定し、お客さまビジネスで最新のAI技術を安心安全、迅速に活用いただくことをめざします。
NTTデータではこれまでドメイン特化版BERTや審査AIなど自然言語処理を用いたソリューションを広く提供しており、特に注目が高い文章生成を活用したお客さまビジネス革新と自社ビジネスの革新へそのノウハウを活用します。

背景

生成AIのうち、特にChatGPTに代表される文章生成AIは人間が作ったものと見分けがつかない文章を出力し、さらに人が言葉で指示することで容易に複数のタスクに活用することができる点で、従来のAIとは一線を画した特徴を持っています。この活用は、これまで人間が行っていた様々な文章作成の作業から、高度な知識を必要とする文章の読み込みまでを代替または補助し、知的創造を必要とするビジネス活動の生産性を向上させる可能性を秘めています。すでに、ビジネス適用について世間から注目されており、当社においても国内を含むグローバルのお客さまから多くのお問い合わせをいただいています。
一方で、生成AIはこれまでのAIと違う課題を持っており、お客さまからのお問い合わせも多岐にわたっております。
この分野において当社とお客様が積極的に活用を進めるためにはグローバルでの協力が不可欠となり、今回、体制の立ち上げに至りました。

概要

2023年6月29日から「Global Generative AI LAB」を設立します。大きく以下4つの取り組みをグローバルで推進することで、今後さらなる需要増が見込まれる生成AI技術分野において、お客さまビジネス革新の支援と社内での活用を積極的に進めます。

(1)生成AIのソフトウェア開発分野への適用

2020年より日本とスペイン拠点共同で、生成AIをソフトウェア開発へ適用する取り組みを実施しています。この取り組みの一つとして生成AIを活用しソフトウェアマイグレーションを実現するソリューションを開発し、すでに複数の顧客とPoCを実施しています。
ソフトウェア資産のモダナイゼーションでの生成AIの活用にとどまらず、当社コアビジネスであるシステム開発案件にも適用します。工数として大きな比重を占める製造、単体試験工程をはじめとして、各工程で利用可能な生成AIを活用したアセットをグローバルで整備すると共に、次世代開発プロセスを整備し、グローバル全19.5万人で標準利用していくことを目指します。

(2)各拠点が持つソリューションの展開

NTT DATA EMEALで提供を開始している文章検索ソリューション「Dolffia」ならびにチャットボットソリューション「eva」をEMEAL以外の地域へ展開します。まず、日本語の利用検証を実施し、2023年上期中より国内のお客さまとPoCを実施します。また、すでに提供しているナレッジマネジメントソリューション「knowler」注3へ「Dolffia」を組み込み、自然文検索を含むコンテンツ検索の高精度化の他、ナレッジの自動要約や自動分類、画像検索等への対応を進めます。まずはNTTデータ社内のナレッジシェアで活用し、その後順次お客さまへの展開を進めます。

表:各国拠点のAI関連ソリューションと今後の展開について

文章検索ソリューション「Dolffia」
  • 2023年上期中より国内のお客様とPoCを開始
  • 2023年中にknowlerへ統合予定
チャットボットソリューション「eva」
  • 2023年中に国内のお客様とPoCを開始
ソースコード自動生成ソリューション
  • 2023年上期より一部の案件にて利用開始
    下期より普及展開体制を構築しビジネス拡大
文書読解AI「LITRON」
  • 生成AIと連携した新サービスを6月29日から提供開始

(3)ラボ活動を通した顧客との協創を推進

生成AIの活用方法をお客さまとともに協創し、必要な技術検証を実施します。お客さまとともに生成AIを利用したビジネスユースケースのPoCを実施し、ビジネスでの具体的な活用を生み出します。そのために利用するプラットフォームとしてMicrosoft社のAzure OpenAI ServiceとLITRONの技術を連携させ、回答根拠となる参照先データを引用できる新サービスの提供を本日より開始します。
将来的には、OSSや各ベンダが提供するモデルなども含め、NTT研究所が独自開発する分野特化型のモデルを活用したサービス展開もめざします。

(4)生成AI活用のためのガイドラインの策定とグローバルガバナンス体制の整備

当社のグローバルでのAIガバナンス活動として、2019年にAI指針の策定注4、2021年に外部有識者の知見を取り入れるためのAIアドバイザリーボードを設置し注5、2023年4月にはAIガバナンス室を設置しました注6。今後も、グローバルでのAI利用のあり方について継続的に検討をすすめ、当社のグローバルでのAIガバナンス態勢の構築を推進していきます。生成AI活用に対する社内ガイドラインを整備し、情報セキュリティ、知的財産、倫理といったリスクをグローバル全体で抑制します。

今後について

NTTデータは先進技術のノウハウの蓄積、顧客との協創活動をグローバルで進めます。特に今後需要が見込まれる生成AI技術分野では、お客様のビジネス革新を実現すべく、グローバルにて本体制を順次拡大します。本体制を通じ顧客へのサービス提供、ベンダとのアライアンス、NTTデータ独自の生成AI環境の提供を目指します。さらに、生成AIを活用した次世代開発プロセスの整備を行い全社員が利用できることを目指します。また生成AIを活用できる人材の育成を全社へ展開します。生成AIを活用した文章生成だけでなく、画像や音などマルチモーダルなFoundation Modelに対する取り組みも進めます。

注釈

  • 「LITRON®」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
田中
E-mail:nttdata-pr-inquiries@am.nttdata.co.jp

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
技術革新統括本部
技術開発本部
イノベーションセンタ
古川、竹林、河村
E-mail:ic_pr@kits.nttdata.co.jp