AWSへのクラウドマイグレーション方法論を確立
2019年4月19日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、アマゾン ウェブ サービス(以下:AWS)と協力して、お客さまの現行システムをクラウド環境(AWS)に移行(マイグレーション)する際に活用する「クラウドマイグレーションガイドライン」を策定しました。
本ガイドラインは、両社が持つシステムの移行・構築技術、ノウハウ等を元に標準的なプロセスと成果物を集約したものです。AWSの協力により作られたガイドラインであり、多くのクラウドサービスに共通するプロセスや成果物をまとめた「共通編」と、AWSへのマイグレーションに特化した「個別編(AWS)」の二部で構成されています。
本ガイドラインを基にクラウド化の検討を進めることで、お客さまの状況に基づきオンプレミスに残すべきシステムやデータ、クラウド化すべき対象システムを見極め、クラウド化によって現行システムをビジネス環境の変化に応じたシステムに作り替えていく全体方針を策定することができます。
背景
企業では現行システム(レガシーシステム)のデジタル化・クラウド化を進めていますが、まだ約8割の企業がレガシーシステムを抱えており、デジタルトランスフォーメーションを実施できていないことがレポートされています注1。これら企業がクラウドに移行できない背景に、クラウド化に伴うコストが不明瞭で、クラウド化への方針がないことなどが課題となり、レガシーシステムの維持運用が優先されています。
そこでNTTデータは、企業の現行システムのクラウド化を促進するため、2018年4月からデジタルテクノロジーディレクター®注2(以下:DTD)をお客さまの開発現場へ派遣しています。今回、DTDの作業のさらなる品質向上のために、AWS協力のもと、「クラウドマイグレーションガイドライン」を作成しました。
クラウドマイグレーションガイドラインの概要
ガイドラインは、オンプレミスで構築された現行システムをクラウドに移行する際の検討プロセスを標準化したものです注3。DTDは本ガイドラインを基に、お客さまの現行システムのクラウド化に伴う課題解決にあたります。
主な特長は以下のとおりです。
- 標準的なプロセスや成果物を定義
ガイドラインは、AWSが持つマイグレーション方法論であるAWS 「Migration Acceleration Program(MAP)」注4、クラウドコンサルティングにおける成果物および金融分野等での知見に、NTTデータが持つシステム構築ノウハウをベースにお客さまの状況に合わせられる標準プロセスや成果物を整理したドキュメントです。 - 「共通編」と「個別編(AWS)」の二部構成
このガイドラインは、多くのクラウドサービスに共通するクラウドマイグレーションのプロセスや成果物をまとめた「共通編」と、AWSに特化したノウハウをまとめた「個別編(AWS)」との二部構成としています。クラウドマイグレーションの検討は「共通編」を基に進め、AWSに特化した検討の際に「個別編(AWS)」を使用することで、必要な時に必要な情報を使用できる構成です。
図1:DTDの作業プロセス(ガイドライン「共通編」より一部抜粋)
図2:ITシステムグランドデザインの成果物イメージ(ガイドライン「個別編(AWS)」より一部抜粋)
ガイドラインの活用事例について
ガイドラインはNTTデータ内に全社展開し、活用を開始しています。実際のビジネスにおける事例として、株式会社大阪取引所においては、開発環境におけるクラウド利用に向けた技術検証を行い、クラウド化に伴う運用面や技術面に関する懸念を払拭し、本格的な構築へ向けての検討素材としました。その他にも、金融業界や流通業界において、クラウド化によるコスト削減を提言し、セキュリティ等を満たしたグラインドデザインなどを実施しています。
今後について
NTTデータは「クラウドマイグレーションガイドライン」を用いて、お客さまの既存オンプレミスからAWSへのクラウド移行について、2020年度までにDTDを含むAWSクラウド人材を1000名に増員し、開発なども含めたAWSに関するクラウドビジネス全般の売り上げ300億円を目指します。また他パブリッククラウドについても人材の増員を行い、マルチクラウドへの対応を進める計画をしています。
エンドースメント
アマゾン ウェブ サービスは、NTTデータさまがお客さまのAWSへのクラウド化の検討を推進するコンサル人材とクラウドマイグレーションガイドラインの提供開始を歓迎します。また、AWSはビジネスパートナーとして、NTTデータさまのクラウド推進を継続して支援いたします。今回発表されたNTTデータさまのクラウドマイグレーションガイドラインを活用することで、お客さまのデジタルトランスフォーメーションの加速を実現し、ビジネスの成長に貢献できるものと確信しています。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
執行役員
パートナー アライアンス統括本部
統括本部長
渡邉 宗行
注釈
- 注12018年9月7日、経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html - 注22018年4月2日ニュースリリース:「デジタルテクノロジ推進室の設置について」
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2018/040202/ - 注32018年5月30日ニュースリリース:「AWSへの既存IT資産移行とクラウドネイティブ化を推進」
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2018/053000/ - 注4AWS Migration Acceleration Program (MAP)は、AWSのプロフェッショナルサービスとパートナーチームの豊富な経験を集成して、お客さまの移行準備を整え、その実行を成功に導くための構造的な方法です。
https://aws.amazon.com/jp/migration-acceleration-program/
- アマゾン ウェブ サービス、AWS、AWS Migration Acceleration Programは、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
技術革新統括本部
システム技術本部
クラウド戦略室
本橋、高津
TEL:050-5546-8889