システム運用組織のコラボレーション活性化
常に変化していくお客様のビジネスに合わせて、ITシステムはサービス開始後も頻繁な変更や改善を繰り返しながら、日々、安定したサービス提供を続けています。それらを支える「ITサービスマネジメント」の重要性は広く認識されてきていますが、その貢献度はなかなか目に見えるものではありません。NTTデータでは、ゲーミフィケーションの持つビジュアルデザインやソーシャル共有の要素を利用して、サービス開始後のITシステムの稼働状況やビジネス貢献度の可視化を実現し、ITシステム運営組織間(業務部門・IT部門・サービス提供事業者)のコラボレーションを活性化するための新たな仕組み「ITサービスマネジメント×ゲーミフィケーション」の研究をおこなっています。
楽しみながら実践できる仕組み
従来のシステムレポートやSLA報告書に代わり、リアルタイムにITシステムが生成する運行情報やITサービスマネジメントの各種KPI(key performance indicator)を、人が直感的に理解できるビジュアルデザインに変えて提供します。また、ITシステム運営組織間のコミュニケーション促進を目的とした簡易なコミュニティ機能や、利用者からのフィードバック機能等も盛り込み、ゲーミフィケーションを活用してITシステムの継続的改善を楽しみながら実践できるような仕組みを検討しています。このプロトタイプの画面を一例として紹介します。ITシステムを"街(CITY)"で表現し、各種KPIは天候や道路状況などを用いてITが専門でない人にもわかりやすく表現しています。
図:「ITサービスマネジメント×ゲーミフィケーション」プロトタイプ画面(例)
- 1.天候:ITサービス稼働率
稼働率に応じて、晴れ、曇り、雨などの天候で表現する。また、過去の稼働率実績も確認できる。
- 2.道路状況(渋滞状況):オンライン応答時間(目標遵守率)
応答時間(目標遵守率)に応じて、高速走行、通常走行、ノロノロ走行で表現する。具体的な数値や渋滞情報は、道路案内板に表示する。
- 3.風力発電:ITサービス継続的改善数(ビジネス貢献度)
サービス提供組織の継続的改善を風車の数や大きさで表現する。この数が多いほど、電力供給が加速されて、CITYの活動が活性化される。
- 4.オフィスビル(市役所など):作業依頼・問い合わせ回答期限(目標遵守率)
期限内に実施が完了した作業依頼や問い合わせの遵守率を、案内板の数値やビルの窓の照明などで表現する。併せて、単位時間に処理した作業依頼・問い合わせ数を"書類の積み上げ"で表現する。
サービス提供フェーズの各種業務単位で、このようなオフィスビルや商店等をCITYに追加していく。
- 5.修理工場:平均復旧時間(MTTR)
平均復旧時間を、修理している車の台数や案内板の星の数によって表現する。具体的な数値や状況は案内板に表現する。
このようにゲーミフィケーションを活用することで、ITサービスマネジメント業務の可視化や情報共有、改善活動のモチベーション向上も期待でき、ITサービス提供時におけるお客様とのコラボレーション強化にも貢献できるものと考えています。