カッティング・エッジなカナダのICT
グローバルに活動を広げるNTTデータにとって、海外のプレイヤーとのパートナーシップは必要不可欠です。11月28日に開催された、NTTデータのオープンイベーションフォーラム「豊洲の港から~カナダ・オンタリオスペシャル」は、海外のプレイヤーとパートナシップを結ぶ大きな一歩となりました。この日は、オンタリオ州政府率いるICT企業団15社が来日し、100名を超える日本企業の参加者に向けてショートピッチを行うとともにビジネスマッチングを目的とした商談会を実施しました。
また、オンタリオ州都トロントに拠点を置く北米最大のイノベーションハブ「MaRS Discovery District」(※1)(以下MaRS)とのパートナー契約を結ぶことが発表され、オンタリオ州のキャスリーン・ウィン首相同席のもと、調印式が行われました。
カナダと日本をつなぐ架け橋に
パジェ公使
冒頭、司会進行を務めるNTTデータ オープンイノベーション事業創発室長の残間光太郎が「カナダのみなさんと一緒にビジネスを作るイベントが開催できたことをうれしく思う」と謝辞を述べました。続けてMaRS含む16社のショートピッチと同時進行で、隣室に商談用ブースを設けていることを案内し、「気になった企業がいたら、ぜひ商談を進めてほしい」と集まった日本企業の参加者に呼びかけました。
これを受け、在日カナダ大使館 マルシアル・パジェ主席公使も挨拶に立ち、今後のカナダと日本、カナダとNTTデータの結びつきの強化への期待を語ります。
「カナダのオープン・イノベーションにおけるポリシーは、教育、知識を重視し、人材開発に注力すること。研究開発からアクティビティー、商業ベースに乗せるまでに長け、ICT、ライフサイエンス、デジタルメディアの分野で世界的な評価が高い。グーグルの投資も入るなど、アメリカからの関心も高まっている。北米で開発された製品やサービスが日本へ参入していくためには、NTTデータが持つ豊かな経験が、我々にとっても重要になるだろう」
そして、この日のピッチについて「カナダ、オンタリオからICT業界、アカデミックの人間が大勢集まった。カナダ発のクリエイティブなアイデアが、日本企業とのさらなるパートナーシップにつながることに期待したい。今日は大いに楽しんでつながりを深めてほしい」と呼びかけました。
怒涛の最先端ICT企業ピッチ15社
ピッチに登壇した企業は最後のMaRSも含め15社。各社の概要を写真とともに振り返ります。
※写真は登壇順に左上から時計回り(以下同様)
●AP1 Inc.――ジョーダン・グラント氏
※Adtech(※2)
ワールドクラスのプロキシミティ技術を活用したビーコン・プラットフォームを構築しユーザーとのコミュニケーションチャンネルを創出するソリューションを提供。ユーザーには広告を届け、逆にユーザーの室内における細かな動作も含む詳細な行動データを収集し、ビッグデータとして利用することもできる。
●MyKrd Corporation――ハイデン・デント氏
※Adtech
連絡先やソーシャルメディア、リンクを共有できるデジタル名刺を開発。全米で進む名刺廃止の動きにもマッチ。利便性の高い名刺ツールに加え、様々なインターフェイスを盛り込み、企業から顧客へのタッチポイントとしても機能する。
●Audiit Business Solutions Corp.――ウラジミル・ウバノヴィッチ氏
※ビジネスソリューション
企業向けソフトウェアシステムのための監査ソリューション。革新的なビジネスインテリジェンスにより、情報の変化の質からイレギュラーを見出すといった技術の開発を専門とする。プロジェクト管理システムでビジネス過程の改善を可能に。
●Safritel Internet――ジャン=ピエール・ムレバ氏
※ビジネスソリューション
様々なジャンルの中小企業向けのインターネットサービスを一元化して提供する。ニュージャージーにデータセンターを持ち、DELLやAVGなどの大企業とのパートナーシップも提携している。アジアへの展開も即可能。
●Valt.X Technologies Inc.――デニス・ミハチャンド氏
※サイバーセキュリティー
ゼロデイを含むマルウェアの攻撃を100%防御または中和する強力なサイバーセキュリティツールを開発。IoTを含むすべてのデバイスに対応する。半導体サイバーセキュリティー製品とセットで提供することも可能。
●Laipac Technology Inc.――プラディップ・ブラムバット氏
※IoT
GPSのリアルタイムトラッキングを使った、資産管理・人員監視ソリューション。現在位置だけでなく、血圧、脈拍などのバイタルデータも取得し、転倒・意識喪失時にはアラートも出し、”人を守る“ことが可能。
●SOTI――カール・ロドリゲス氏
※IoT
世界中で17,000クライアントを持ち、170カ国で2,000企業とのパートナーシップを提携する、世界でもっとも信頼度の高いエンタープライズ・モビリティー管理ソリューション(EMM)を提供する。業務のモバイル化に必要な各種ツールを提供する。
●C-COM Satellite Systems Inc.――レスリー・クライン氏
※テレコミュニケーション
遠隔地へのブロードバンド・高速インターネット伝送を可能にする自動衛星補足アンテナ「iNet Vu」のデザイン・開発・販売。車、電車での利用も可能なモバイル衛星ベース技術。日本ではソフトバンク、NECなどの顧客基盤がある。
●Connect Tech Inc.――ミシェル・カーシャ氏
※テレコミュニケーション
スモールフォームファクターに特化したハードウェアデザインの会社。ロバストかつ長寿命なシステム/ハードで、様々なアイテムを提供する。商工業用、軍事システム、ロボティックス、ヘルスケア、及び、エネルギー分野等で利用されている。
●Skkynet Cloud Systems――ポール・トーマス氏
※FinTech
リアルタイムクラウド情報システムのグローバル・リーダー企業。「Skkynet Connected System Platform」は、工業、金融システムなどにプログラミング不要でリアルタイム接続できる。
●Solace Systems――ケント・ナッシュ氏
※FinTech
IoTも含め、スマホアプリ、デバイス、データセンター等の間のデータフローを高速化、効率化するソリューションを提供。逆に扱うデータをビッグデータ解析し利用する。日本の大手企業のプラント等で採用実績あり。
●Cinnos Mission Critical Incorporated――ハッサム・ハラン氏
※IoT、テレコミュニケーション
コンピューティングインフラを分解し、最適化・再構成された“ブロック・ベース・デザイン”で効率化、コスト削減、信頼性向上を図る。こうして開発されたモジュール式データセンターを提供する。
●Superna――マラ・タラシアイチ氏
※FinTech、サイバーセキュリティー
ファイル保管システムのディザスタ・リカバリーのソリューション開発。根本的原因の分析、コンフィグレーション管理ソリューションも含む。「Superna Eyeglass」は計画外ダウンタイムを短縮し、ビジネスクリティカルなデータの保護等に効果を持つ。
●McMaster University Computing Infrastructure Research Centre――スボジット・ゴッシュ氏
※テレコミュニケーション、イノベーションセンター
データセンターテクノロジーに特化したイノベーションセンター。急成長分野。データーセンターの設計コンセプト技術の研究開発で、データセンターの運営の効率化、コスト低減などに貢献。
●Communitech――アイン・クラグマン氏
※FinTech、イノベーションセンター
新興企業からグローバル企業まで、成長発展の段階を問わず技術系企業をサポートする産業主導型のイノベーションセンター ※急病のため欠席
●MaRS Discovery District――アダム・ナンジー氏
※FinTech、イノベーションセンター
北米最大のイノベーションハブ。ヘルスケア、クリーンテック、ファイナンス等の分野で有望な新興ベンチャーを支援する。FinTechではカナダ国内だけで300社以上のFinTechハブとなっている。海外ではイスラエル、香港、南アとも連携を図っている。
ピッチの合間には、会場隣の商談ブースで熱心に意見交換する日本企業の姿が見られました。
オンタリオ州政府を主な出資者とする半官半民のイノベーション推進組織。NTTデータが2016年9月に日本企業として初めて加入。 https://www.marsdd.com/
「Advertise Technology」から派生した造語。マーケティングを中心としたIT技術を利用した寄り効果的な広告方法に対する技術のこと。
NTTデータが世界のイノベーション震源地に
MaRSとのパートナーシップ提携
ICT企業団のショートピッチの後、MaRSとNTTデータのパートナーシップ契約の調印式が行われました。式に先立ち、オンタリオ州キャスリーン・ウィン首相が登壇し、「日本、NTTデータとより強固な関係を築いてほしい」と期待を語りました。
「第4次産業革命(インダストリー4.0)、ICTマーケットの中で、日本の持つ力は非常に大きい。オンタリオは人材に強みがあり、R&Dに特色のある地域。イノベーションには準備が必要だが、NTTデータは世界中で取り組みを展開しており、豊かな経験がある。パートナーとなることで、より良い結果が見出されることに期待したい」
これを受けてNTTデータ 代表取締役常務執行役員の植木英次が「これを機に日本とカナダの企業の結びつきが深まることに期待したい」と語りました。
MaRSのアダム・ナンジー氏は、NTTデータとの提携により「グローバルイノベーションハブ」が立ち上がることに触れ、「これを作るのが夢だった。NTTデータが、MaRSを選んでくれて非常に嬉しい」と感想を述べました。MaRSにとって初の北米以外のパートナーであり、「インターナショナルに拡大するまたとない機会となった。非常に感慨深い」とも語りました。
調印式にはアダム・ナージー氏と弊社残間が臨み、記念撮影には、ウィン首相とともにイアン・バーニー駐日カナダ大使、ブラッド・デュグイド オンタリオ州政府経済開発・成長大臣にもご登壇いただきました。
今後、NTTデータはMaRSと連携し、さらに世界の企業とのイノベーションを推進していきたいと考えています。