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FORECAST 自動車業界の今後の動向
CASE、「接続性(Connected)」「自動運転(Autonomous)」「シェアリング(Shared)」「電動化(Electric)」が自動車業界の今後のキーワードとなっているように、「自動車メーカー」は人々の移動を先端技術で支える「モビリティカンパニー」へ変革を遂げようとしています。
自動運転に向けて各社がしのぎを削り、製造業×IT業界の協業も活性化しております。
また、2040年には60%の車両がEV化するともいわれており、多様な部品群の開発、およびそれらを統合するソフトウェアがより重要となり、MaaSとして十分な利益確保ができるサービスやプロダクトの設計が必要な時代となってきています。
自動車業界において、完成車メーカーをトップに多数の部品メーカーが連なるヒエラルキー型経営モデルから新たな経営モデルへの変革が始まっています。
EV化という軸で見ても、構成部品を自社開発するか、外部調達するか、合弁会社を設立するかなど、コストと性能のバランスで経営モデルが変わってくるため、多様なビジネスシナリオが想定されます。
OEMだけでなく、Tier1,Tier2と呼ばれる部品メーカーもEV化、モジュールや、自動運転ソフトウェアの自社開発や提案を行う必要性が出てきており、経営モデルの変革や十分なリソースの確保も重大な課題となっています。
経済
自動車業界が経済面に及ぼす影響は大きく、米国は自動車や部品に対して関税の引き上げ要求を実施しています。
関税の引き上げが実行されれば、製品価格の急上昇が見込まれ、各種投資や戦略の見直しが必要となります。
イギリスのEU離脱、メキシコから米国への関税引き上げによる工場移転、為替相場などの組み合わせによるシナリオをもとに、企業では供給網に関するコストを様々なバリエーションで検証する動きが活発化しています。
EXAMPLE 01
日本:CASEへの事業投資に向け、既存事業の収益性改善
~「CASEをきっかけにした自動車産業の競争激化に向け、新規事業・サービス開発に向けた経営資源の捻出を目指す」~
導入前の状況とプロジェクトの目的
自動車部品製造業X社は、グループ会社をあわせて国内外に100以上の拠点を抱える売上高1兆円兆の大企業です。
事業拡大やシステム老朽化など複数の課題が併発した状態でした。
コード体系の標準化に課題があり、経営判断に必要な製品分類の単位で情報収集するにはコード変換や編集作業が必要で、精度も懸念されていました。
今後、開発競争が激化する自動車業界において、「取りこぼしのない盤石な利益の確保」と、各種投資やサービス開発の成否をクイックに意思決定する材料である「マネジメント基盤」がマストになると判断し、足元を固める既存事業の収益性改善に向け、ERPをワールドワイドに展開することを決定されました。
導入中の課題
展開時には、100以上の拠点があることを踏まえ、「グローバル」「リージョン」「国別」の3階層のテンプレートに分けてプロジェクトを実施しました。
「グローバルテンプレート」は、グローバルで標準化されている経営管理レポート、BI、調達などのグローバル統合関連システムとのインターフェース等)を含め、経営管理要件を満たし、全拠点が合意可能な必要最低限なものに絞りました。
「リージョンテンプレート」は、リージョン独自かつ、リージョン内で共通する業務要件やシステム要件をカバーするもの、「国別テンプレート」は、国ごとの法的要件をカバーするものとし、階層型のテンプレートでロールアウトを遂行しました。
海外では当社のグループ会社であるitelligence社などの有力なグローバルSAPリソースをフル活用し、複数ベンダーによる拠点並列展開を実現し、全拠点での早期導入を推進しました。
約2年かけて製品×車種別スルー損益の可視化~収益性改善に向けたアクションプランニングに取り組み、全世界拠点での可視化を行いました。
今後の方向性
X社では車種別損益に加えて、車種よりさらに細分化された粒度の損益可視化や、IoTを駆使した現場情報~経営情報の有機連携に挑戦し続けています。
プロダクト責任者が収益責任を負って、ライフサイクルで企画~生産まで収益責任を持つためにもERPやIoT+BIによるマネジメント基盤強化に取り組み続けられております。
EXAMPLE 02
東南アジア:ディーラー起点での顧客体験の改善
~「ディーラー管理ネットワークシステムの導入で、セールス領域だけでなくリコールへの早期対処という効果を発揮」~
導入前の状況とプロジェクトの目的
東南アジアでは、自動車製造業Y社、Z社がほぼ同時期にディーラー管理ネットワークシステムの導入を決定しました。
- 目的1.セールス領域での在庫の見える化と車両販売増
- 目的2.アフターセールス領域でのCS向上
共通した狙いは、セールス前後の顧客行動をおさえることによる幾周もの購買サイクルの獲得です。
データ、コード体系がディーラーごとにバラバラ、顧客のヒストリカルデータがない、顧客・ディーラー・OEM間でのマニュアルオペレーションが多い、などの問題も山積していました。
導入中の課題
ディーラー様が有益と感じとれる仕掛けの構築が一番の課題でした。
大小多数の系列・法人格が混在するディーラー群に新たな統一システムを使うように説得し納得させることは至難の業です。
例えば計画面では、パイロット・ディーラの選定からロールアウト戦略に至るまで、お客様と共に計画立案し、粘り強く全ディーラーの納得を得なければなりません。
また仕様面では時にディーラーからの改修リクエストがあっても、全体最適に叶わない場合は不採用と結論付けることもあり、全社納得まで時間をかけることもありました。
これらをOEMに成り代わって進める、くらいの気概とスキル・知識がないと成立しないプロジェクトでした。
NTTDATAとして、ICT技術以上に自動車業界業務知識を有した上で、お客様(OEM様とディーラー様)をリードしながら共通仕様を固め、信頼と実績を築きながらロールアウトを進めました。
プロジェクトの導入効果と今後の方向性
ディーラー管理ネットワークシステム導入後のエアバッグ・リコールの際、Y社は2週間で96%の回収率を誇りました。これは、自動車企業と国内全ディーラーが繋がり回収方針・プロセス管理が一気通貫である、ディーラー管理ネットワークシステムの効果といえます。
このように、人命と密接なかかわりのある自動車産業においては、発生したアクシデントの影響を最小限に抑え、人命尊重に係る「予防」への仕組みが必須です。
発展著しい東南アジア市場において、Y社、Z社はともに、顧客データの統合化と活用により事業横断の昇華を見据えています。
当面のテーマは、Y社は二輪所有者の四輪購入への昇華、Z社はアッパーグレードへの昇華です。
自動運転などと比較して、トラディショナルな情報システム領域は、取り上げられにくい分野ではありますが、これらの基盤は必ず整備しておく必要があります。
EXAMPLE 03
ドイツ:デザインシンキングによるサプライチェーン可視化
~「サプライチェーンの可視化をユーザ主導で実施」~
最後にSAP×デザインシンキングの事例をご紹介いたします。
ロジスティクス分析は自動車製造業としては重要業務のひとつですが、この会社では複数システムから情報取得・結合することが必要だっただけでなく、実業に役立つ分析を行うには、現状レポートはあまりに貧弱でした。
そこで、このサプライチェーン可視化プロジェクトでは、レポートの改善案をご提案するとともに、システムをユーザが使いこなし、導入効果がより実感できるようプロジェクトの進め方を工夫しました。
各ユーザがどんな場面で、どんな機能がほしいのか、議論を重ねながら徹底的なユーザ主導による開発を進めたのです。
机上だけでなく、例えば機能設計で、SAP社の build.me というデザインシンキングをベースとした、プロトタイプ作成ツールも活用しました。
SAP×デザインシンキングは、今後日本においても様々なプロジェクトで活用されると期待されています。
<ユーザ主導によるサプライチェーン可視化の例>
NTTデータのSAP事業
NTTデータでは自動車産業の経営管理を支えるIT基盤をコンサルティングから導入まで一貫してサポートしていたします。
詳しい事例については、NTTデータグローバルソリューションズ著の書籍「グローバル経営のモダナイゼーション」にも記載されております。
お気軽にお問合せください。
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