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2020.11.17INSIGHT

子どもと家族の安心を守る「FairCast®」
~Amazon Connect導入でさらなる進化を~

NTTデータが2006年からサービスを開始している、学校連絡網システム「FairCast®」。
「子どもたちとその家族の安心を守りたい。」そんな教育現場の願いをかなえるサービスとして、学校と保護者間における信頼関係の構築に一役買っている。昨今の新型コロナウイルスの感染拡大という緊急事態下において、より一層重要性が浮き彫りになり、利用が広がっている。2020年7月には、システム基盤にアマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用し、より拡張性の高いサービスへと更なる進化を遂げた。今回はその歴史と飽くなき探求心に迫る。

「FairCast®」が子どもたちと家族の安心を守ります

「FairCast®」では、先生が管理画面から発信したいお知らせを登録すると、保護者があらかじめ設定しておいた受け取り手段(電話、メール、LINE、FAX)に対して、お知らせが送信される。ただ単に送信されるだけでなく、保護者がメッセージを開封したかどうかを学校側が把握できる送達確認機能や、保護者会等への出欠回答が可能なアンケート機能などさまざまな特長がある。

また、「FairCast®」最大の強みは、保護者側で複数の連絡先と受け取り手段を設定できるという追掛連絡だ。保護者は、例えば、メール、電話、LINEなどから最大3つまでを自由に登録でき、送達確認がされるまで「FairCast®」は順番にお知らせの送信を続ける。1つ目の送信先であるメールで送達確認が取れなかった場合、自動的に次の手段である電話へ連絡、といった仕組みだ。しかも、電話への連絡時は先生が入力した連絡文が自動で音声変換される。保護者が在宅している場合や、外出している場合など、さまざまなケースにおいても、確実かつスピーディーにお知らせを受け取りたい、というユーザーの声に応えたかたちだ。

図1:メッセージ配信作成画面

図1:メッセージ配信作成画面

「FairCast®」は常にユーザーの声にスピーディーに応えてきた

この「FairCast®」は、発足当初から、ユーザー目線でニーズに素早く応えてきた。
まず、「FairCast®」のアイデアそのものが、小さな子供を持つNTTデータの女性社員の「こういう連絡網システムがあればいいな」という“いち保護者”としてのアイデアがきっかけとなり発足したサービスなのである。

また、「FairCast®」の特長のひとつでもある、LINEでの受け取りも、保護者からの要望に応えるかたちで機能追加された。LINE対応は、サービスを開始した2018年時点において、他社の類似サービスの中でも先駆けで、非常に好評だった。
NTTデータは、幅広いユーザーの声を集めるために、「FairCast®」販売代理店と連携して、ユーザーアンケートを定期的に実施し、普段の営業活動の中で耳にする小さな要望も、ひとつひとつ聞き逃すことなく、常に耳を傾けてきた。

図2:LINEでのお知らせ通知

図2:LINEでのお知らせ通知

Amazon Connectの導入により拡張性を確保

ユーザーの声にスピーディーに対応するためには、システムの拡張性の確保は必要不可欠である。「FairCast®」は、2020年7月に、従来の専用サーバーによるサービス提供から、AWSを利用したサービス提供へと移行した。AWSは、今までのオンプレミスで構築していた基盤に比べ、システム間の独立性を高める制御機能が充実しているため、新機能を開発する際、アプリケーションの開発範囲を局所化することができる。

また、処理の負荷分散やデータベースなど、システム構築で頻繁に用いられる機能についてはAWSのマネージドサービスを利用することで、構築や運用を大幅に省力化しつつ可用性を高めることが可能になっている。これらの特長により、新機能の構築が従来よりもスピーディーに行えるようになった。これに加え、NTTデータにはAWSの認定資格取得者が多数在籍しており、安定運用に不可欠なサポート体制も万全だった。万が一のシステム不具合の際も、これまでの様に、専用サーバーが設置されているデータセンターに出向いて対応する必要がなくなったため、事象の解析や対応にかかる時間が大幅に削減された。AWSの利用が、「FairCast®」の安定運用と新規機能の検討・開発スピードの向上に大きく貢献している。

また、AWSへの移行と同時に、電話でのお知らせ発信には、AWSが提供するオムニチャネルのクラウドコンタクトセンター「Amazon Connect」を導入した。Amazon Connectはコンタクトセンターに必要な機能をオールインワンで備えるサービスであり、多数の電話回線を手配することなく、大規模な展開でも短時間で構築が可能で、初期費用無しですぐに利用できることが特長の一つである。今回「FairCast®」での利用方法は、学校の先生が発信したいお知らせ内容をテキストで入力し配信を行うと、Amazon Connectが保護者へ架電。保護者へ繋がると、高度なディープラーニング技術を使用したテキスト読み上げサービスが、お知らせを自然な音声として合成を行う。

実現していることはこれまでのしくみと同じだが、Amazon Connect導入の一番の決め手は、急な利用量の増加に対するパフォーマンスの高さだ。これまでオンプレミスの電話設備では、ユーザーからの急な電話回線の増加要望に迅速に対応することは難しく、ある程度の要望がまとまった時点でその都度設備投資を行って対応せざるを得なかった。しかし、Amazon Connectであれば、電話回線を個別に用意する必要はなく、必要なアセットを必要なときに確保できるため、「FairCast®」のシステムとしての柔軟性が格段に飛躍した。

一方で、大量発信に対応可能なリソースを用意していても、Amazon Connectは通話時間による従量課金制のため、オンプレミスの電話設備と異なり、発着信がない時には設備にかかるコストは発生せず、運用コストを抑えることが可能になる。試算では、余剰設備を持った場合に比べ年間数百万円の単位でコスト低減ができる結果となる。
また、サービス開始から数度の機器更改を経た中での設備投資や切替えに要する工数を考慮すると、今後のサービスライフサイクルにおけるコスト低減効果はかなり大きくなるものと想定される。

図3:「FairCast®」システム概要図

図3:「FairCast®」システム概要図

※本構成図は「FairCast®」から保護者への配信処理のみを対象とし、保護者での送達確認後の処理および各種冗長構成は記載を割愛しています。

高水準のシステム要件×コロナ禍での基盤更改を支えた信念とは

「FairCast®」の特徴として高いピーク性がある。なぜなら、台風などが見込まれる当日の朝6時頃、つまり子ども達の登校時刻前に、学校から保護者への配信(休校連絡など)が集中するからだ。これまで「FairCast®」は、この瞬間的な高負荷に耐えられるチャネル数(電話回線数)等の基盤を確保し、安定したサービスを提供してきた。

AWSに基盤が移行したとしても、このシステム要件はもちろん維持する必要があった。
しかし、「FairCast®」の基盤更改において必要となるチャネル数等の用意をアマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社に相談したところ、「FairCast®」のシステム要件は非常に高い水準であり、実現のために乗り越えるステップが数多くあるとのことだった。

そこにさらに追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスの影響だ。「FairCast®」でAWSへの基盤更改プロジェクトが動き始めたのは2019年4月頃。新型コロナウイルスの影響で2020年2月頃から世の中がテレワークへと大きくシフトするなかで、Amazon Connectを活用して短期間でコンタクトセンターの構築を要望する顧客が日本に限らず世界中で急増していたため、リソースの確保には通常より多くの時間を要していた。

このような状況下においても、NTTデータは「FairCast®」の基盤更改を完遂するためにアマゾン ウェブ サービス ジャパンとの強力なリレーションシップにより、非常にタイトなスケジュールの中、リリースに間に合うように、かつ妥協することなくシステム要件に必要となるチャネル数等の用意を行うことができた。
NTTデータが大事に守ってきたユーザー目線での安定したサービス提供へのこだわりに、アマゾン ウェブ サービス ジャパンが共感し、応えた結果と言える。

今後の展望

Withコロナの状況において、学校と保護者とをつなぐ「FairCast®」の役割はますます重要になるだろう。「FairCast®」では、withコロナのニーズも踏まえ、テキストや文章、音声でのお知らせのみならず、ファイル共有機能や、スマートフォン向けアプリの製作など新たな機能追加についても検討中だ。ユーザーの声に耳を傾け、それにいち早く応えていく。サービス開始当初から変わらないこの想いが、今回のAWSへの移行でさらに加速していくに違いない。

「FairCast®」公式サイト(詳細なサービス内容のご紹介や、お申込み等はコチラから)

https://www.faircast.jp/

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