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2024.8.30

【連載コラム第2回】健やかな成長と明るい未来を約束する!正しい「子どもの眠り」とは?

睡眠コンサルタントの友野なお先生が役に立つ睡眠の知識を月次連載でお届けします。
第2回は「健やかな成長と明るい未来を約束する!正しい『子どもの眠り』とは?」です。

日本は国際的に見ても睡眠時間が短いと同時に、極端に夜型化が進んでいる国であることが分かっています。実は子どもたちも大人の生活リズムに引きずられ、夜に活動することが多くなっているといわれているのです。
事実、平成22年度幼児健康度調査報告によると、就学前の3人に1人が22時を過ぎても起きているという報告がなされています。(参考:公益社団法人日本小児保険協会「平成22年度幼児健康度調査報告」)
起床の時間は決まっているのに夜型になってしまっているということは、必然的に究極の寝不足状態がつくられてしまっているということ。

都内近郊の幼稚園、保育所の5歳児クラスに通う幼児222名の2週間の睡眠記録と養育者へのアンケート、三角形模写を課す調査が行われました。三角形の模写は通常5歳時の課題としては妥当なレベルであると考えられていますが、調査の結果、模写できた幼児は184名、描けなかった幼児は34名という結果になりました。その後、睡眠・覚醒リズムの正常・乱れと三角形模写可能・不可能との関連をみるための解析が行われた結果、睡眠・覚醒のリズムが乱れている幼児は正常な幼児を比べ、三角形模写不可能のリスクが5.9倍でした。さらに、3~5歳児の睡眠記録と養育者へのアンケート、担当保育者との面談調査を行った結果、睡眠が乱れている幼児は保育者が「気になる子ども」としてエピソードをあげた例が多いということが分かりました。具体的には、「理由のない攻撃性」「無表情」などの情緒面の問題や、「机に肘をついて身体を支える」「体操座りが長続きしない」などの姿勢、集中力、持続力、理解力に欠けるという問題、こだわりが強く人の気持ちに無関心などの問題との関連性がみられています。

また、身体的な影響も見逃せません。国内の調査では、3歳の時点で睡眠時間が9~10時間、8~9時間の幼児は、11時間以上眠っている幼児と比べて中学1年生時点での肥満リスクがそれぞれ1.24倍と1.59倍であることが報告されているのです。

さらに、アメリカの高校生における学業成績と睡眠習慣の関係についての調査によると、就寝時刻の遅い子どもほど、また睡眠時間の短い子どもほど成績が悪いことが分かっています。睡眠が正しくとれていない場合、身体や心だけでなく、認知や運動などの脳の高次機能にも影響することが分かりますね。

子どもの就床時刻の遅延には、母親の生活リズムと子どもがテレビを観る時間が関係しているという報告があります。子どもがテレビを観る時間が1時間増えるごとに睡眠時間が7分減り、子どもの寝室にテレビがあると1日31分睡眠時間が減少するという報告があることから、睡眠衛生という観点に基づいて寝室にはテレビやゲーム機など、睡眠に関連しないものは置かないことが大切です。そのうえで、まずは親である自分自身が適切な睡眠スケジュールを守る生活を維持することを心がけ、子どもに対して睡眠習慣と睡眠衛生の指導をしっかりと行うことが、子どもの健やかな成長と明るい未来を守るうえで非常に重要でしょう。

各年齢の適切な睡眠時間として、アメリカ国立睡眠財団は新生児(0-3ヶ月)では14~17時間、乳児(4-11ヶ月)では12~15時間、1-2歳では11~14時間、3-5歳では10~13時間、6-13歳では10~11時間、14-17歳では8.5~9.5時間を推奨しています。ぜひ参考にしてくださいね。

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