32社で連携し、サプライチェーンCO2排出量のデータを流通させる実証に成功

~Green x Digital コンソーシアムの実証に参加し、NTTデータグループが各種標準化を牽引~

トピックス

2023年8月4日

株式会社NTTデータグループ

株式会社NTTデータグループ(以下:NTTデータグループ)は、サプライチェーン全体のCO2排出量データの見える化に向けて、Green xDigitalコンソーシアム注1(以下:同コンソーシアム)が実施した実証に参加し、同コンソーシアムにおいてサプライチェーンCO2排出量データの流通に成功しました。実証結果の詳細は、同コンソーシアムが本日から公開しています。注2
本実証は、グローバルレベルかつ業界横断的にCO2排出量データ流通の実用化を目指したもので、日本で初めての試みです。本実証の成功は、同コンソーシアムが策定したCO2排出量データの算定方法とデータ交換に関する技術仕様の社会実装を後押しするものです。NTTデータグループは本実証において、CO2排出量データの算定方法とデータ交換に関する技術仕様の標準化を牽引しました。
NTTデータグループはサプライチェーン全体さらには社会全体の脱炭素化に向けて、「企業間におけるCO2排出量データの流通」という新たな課題の解決を通じて、脱炭素における企業努力が評価される仕組みづくりに取り組んでいきます。

背景

昨今、企業は気候変動に対応するため、サプライチェーン全体でCO2排出量の削減を求められています。しかしながら、サプライチェーン全体におけるCO2排出量の現在の算定方法には課題があります。本来、CO2排出量は実際の取引に基づく各社固有のデータ(以下:一次データ)を用いて算定することが望ましいものの、現在はデータ交換などの共通ルールが定まっていないため、個社の削減効果が反映されない業界平均値を用いて概算することが多くなっています。こうした概算値を用いて脱炭素に向けた取り組みを行う場合、個々の製品・サービスの購入といった活動量を減らすことのみが求められやすい状況です。
この状況に対して、事業成長と脱炭素を両立させるためには、各社固有の一次データを用いてCO2排出量を把握することが必要であり、これを実現するためにはCO2排出量の算定ルールやCO2排出量データの交換に関する技術仕様などの標準化が必要です。
NTTデータグループは、同コンソーシアムの見える化WG(読み:ワーキンググループ、以下:同WG)において各種標準化の取り組みを牽引するとともに、同WGの実証に参加することで標準化の成果物である共通ルールを試行しました。注3

図:データ交換が必要となる背景

図:データ交換が必要となる背景

実証の成果

成果(1)標準化

NTTデータグループは、同WG配下の「ルール化検討SWG(サブワーキンググループ)」と「データフォーマット・連携検討SWG」の両方にサブリーダーとして参加し、これらの検討を牽引してきました。
具体的な成果として、デジタル技術を活用してサプライチェーン内で流通するCO2排出量の算定ならびに共有ルールを提示する方法論文書である「CO2可視化フレームワーク」、共通データフォーマットならびに連携仕様を提示する技術文書である「データ連携のための技術仕様」を公開しています。

近年のサプライチェーンはグローバルに展開されていることが多いことから、これらの文書は国際的な枠組みである WBCSD PACT:Partnership for Carbon Transparency注4の取り組みに立脚して策定しており、さらに日本国内の制度や企業のニーズを踏まえた独自要素も含んでいます。

成果(2)実証の成功

本実証は2つのフェーズから構成されています。「フェーズ1」は異なるITソリューション間におけるCO2排出量データの流通を技術的に実証するものであり、ITソリューションの提供企業のみが参加し、2023年1月に成功しました。「フェーズ2」はITソリューションを利用する企業も参加することで、利用者目線の使い勝手など社会実装も意識した観点で実証しました。具体的には、フェーズ2は素材・加工品・製品から成る3層の仮想サプライチェーン上で、「CO2可視化フレームワーク」および「データ連携のための技術仕様」を用いてCO2排出量の算定・データ流通を行いました。
NTTデータグループはフェーズ2において、ソリューションを利用する立場およびソリューションを提供する立場の両面で、組織レベル注5の実証に取り組み、CO2排出量データの正確な算定ならびにデータ流通に成功しました。
本実証では各種標準化を牽引した知見を生かして標準化の改善に向けた課題を提議したほか、NTTデータグループのソリューション「C-Turtle®」に企業間データ連携用のAPIを設けて実証に参加するなど、社会実装を見据えた取り組みを推進しました。

今後について

NTTデータグループはこれまでも、CO2排出量の見える化注6、データ主権を保護するグローバルデータ連携基盤の検討注7、非営利団体「ESTAINIUM」の設立注8、EVバッテリーに関する業界横断エコシステムの構築注9、「Catena-X」との接続注10などの活動を通して、脱炭素に向けたデジタル技術の活用に取り組んできました。今後はグローバルにおけるデータスペースなどの動向も見据えながら、「企業間におけるCO2排出量データの流通」という新たな課題の解決を通じて、脱炭素における企業努力が評価される仕組みづくりに取り組んでいきます。

NTT DATA NET-ZERO Vision 2040

NTTデータグループでは環境方針環境目標に基づき、2040年のネットゼロ実現に向けた新たなビジョンNTT DATA NET-ZERO Vision 2040を策定し、取り組みを行っています。
NTTデータグループは2050年の社会全体でのカーボンニュートラルに向け、Green Innovationを通じ、自社のサプライチェーンを通じた温室効果ガスの排出削減のみならず、お客さまや社会のグリーン化へ貢献していきます。2030年にScope1・2のカーボンニュートラル、2040年にScope1・2・3のネットゼロ実現を図ります。

注釈

  • 「C-Turtle」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータグループ
グリーンイノベーション推進室
立開、伊藤
E-mail:climate_proper@kits.nttdata.co.jp