クラウド市場の成長率が非常に高くなっていくなかで、DXを推進するためにも既存のITインフラシステムをどう変革していけばよいかと悩まれるお客様の声をよく聞きます。
既存IT資産に関する課題は、
- 既存インフラのコスト削減
- サービスリリースにかかる期間の短縮
- 新規サービス創出への対応
などに集約され、そのためにクラウドの活用を検討するものの、メリットを最大化させるためには、提供形態/提供サービスが乱立するクラウドに対する目利き、非機能/セキュリティを鑑みたITシステムの最適な配置、さらには日々進化するパブリッククラウドへ追従するための組織作りなど、多岐にわたる課題をクリアしていく必要があり、ハードルが高く感じるお客様もいらっしゃいます。
しかし、DXを推進していくためにはそういった課題を乗り越えなければなりません。
DXの第一歩となるクラウドリフト
冒頭に述べたように、ビジネスの変革に寄与するDXを実現するための取り組みの1つとして、近年、既存IT資産のクラウド化が注目を集めています。
私たちはクラウド化によるDXの第一歩を、「クラウドリフト」(既存IT資産のクラウド移行・最適化)と定義し、DX実現に向けた重要なポイントであると考えています。(図1)
クラウドリフトによって生み出されるシステム基盤がDXを進める原動力となり、新しいビジネスや価値の創出に繋がります。
図1:DXの第一歩となるクラウドリフト
クラウド種別ごとの特性とニーズ
クラウドリフトで活用するクラウドは大きく3種類に分けられます。(図2)
プライベートクラウドは初期構築にコストを要しますが、高いSLAにより個別要件を充足させることが可能であり、主に大企業からのニーズが高い状況です。
パブリッククラウドは初期構築不要でアジリティに長け、多様なクラウドサービスを従量課金制で利用できるという特徴から、業種や規模を問わず多くのニーズが存在します。
ある業界や特定の集団をターゲットにカスタマイズして提供されるコミュニティクラウドは、プライベートとパブリック両方の特性を有しており、主に金融機関や公共機関、中堅企業(SMB)からのニーズが高い状況です。
クラウドを活用する場合、上記のような特性を考慮し、用途に応じてハイブリッドで利用するケースがほとんどです。
図2:クラウド種別ごとの特性とニーズ
デジタル化領域の選定眼
クラウド化によるDXを進める上で、クラウドリフトの対象となる領域選定は重要な要素となります。(図3)
変更頻度が高い業務やシステム基盤はクラウドリフトすることで変更に要する期間を短縮可能です。更なるクラウド最適化を進めることで利用性向上にも期待できます。
クラウドリフトによるメリットを受けにくい領域は、コストをかけずにオンプレミスでの継続利用を選択することも必要です。
私たちは上記の選定眼を持つ人材を有し、その拡大にも努めています。(※1)
図3:デジタル化領域の選定眼
クラウドリフトガイドラインの策定
最後に本稿で記載した内容に関連する私たちの活動をご紹介します。
私たちはアマゾン ウェブ サービス(AWS)と協力し、クラウドリフトのガイドラインを策定しました。(※2)
図4:ガイドラインの作業プロセス
クラウドリフトを実施する上で標準となる工程や成果物、クラウド化領域を選定するための観点や判断ポイント、クラウド種別に応じた多様な案件事例等を集積しケイパビリティの向上に努めています。
これらを活用し私たちはお客様が描くDXビジョンの達成に貢献していきます。
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/services_info/2019/041900/