脳情報時代のマーケティングとは
ユーザーの広告等への定量的な反応データを得ることは、マーケティング活動の一連のサイクルを回す中でも重要な位置を占める活動です。これを怠ることで、投資に見合わない無駄な広告出稿をし続けることにつながるからです。
これまで行われていたのは、主観的なアンケート情報等による評価でした。
言葉は人類が生み出してきた情報媒体として数千年の歴史がありますが、言語で表現される情報は必ずしも完璧ではありません。主観に基づく言語報告では表現しきれない広告への反応や態度変容・行動までの過程が存在しています。事実、主観評価では実際の購買行動を予測できないことが多々あります。
神経科学の技術進化、特に人間の脳の可視化技術の飛躍的な進歩は、言葉によらない人の「脳」情報へのアクセスを可能としました。
つまり、視聴者の網膜と鼓膜から入力された広告動画が、脳に表現される脳情報をfMRI(機能的核磁気共鳴画像法)等の脳イメージングスキャナを使えば入手できるようになったのです。
NTTデータでは、広告動画に対する視聴者の知覚体験を「脳の情報表現」として捉え、そのシミュレーションを行う脳情報通信技術「NeuoAI?」を産学連携(※1)で開発し、提供しています。
知覚~行動を結びつける ~テレビショッピング番組の最適化
私たちの技術が得意とするのは、動画に対する視聴者の反応を定量的にとらえ、その後のユーザーの行動と紐づけて、「動画」⇒「知覚」⇒「行動」という一連の情報処理過程をモデルベースで仮想化することです。
特に、その一連の過程の因果関係がはっきりしているテレビショッピング番組のような領域に関しては成果を上げています。
これまでテレビショッピング番組の事前評価は、会場調査等で数素材の候補動画を見せて購入意向の意識調査をすることが一般的でした。しかし、これでは情報の精度と評価にかけられる素材に限界があります。そこで、私たちは“仮想の視聴者”をつくることでこの問題に立ち向かいました。
テレビショッピング番組のコンテンツ特徴の定量化と、その反応情報(=注文データ)を学習させることで、「動画を見て注文するかしないかを判断する」仮想脳ができます。これを利用することで、膨大な番組案に対してどの程度注文が見込めるかシミュレーションすることができるようになりました。
つまり、多種多様なクリエイティブの候補の中から最適な案を選択することができるのです。この仮想脳を使ったアプローチで実際に成果もあげています。(※2)
図1:AIを利用した番組構成最適化に関する検証イメージ
図2:実際の放送による入電件数
おわりに
NeuroAI?
http://nttdata-neuroai.com/