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2020.5.26技術トレンド/展望

エンタープライズ領域の新規サービス開発を実現する大規模アジャイルフレームワーク

ますますスピードが速まる市場・競合の変化に対応していくために、現状のビジネスに留まるのではなく、新規サービスを創出していくことが求められている。欧米では、新規サービスを創出するために組織の在り方自体をもアジャイルに適合させる「大規模アジャイル開発」のフレームワークが普及期に入っており、日本でも今後普及することが想定される。本稿では大規模アジャイルフレームワーク「SAFe®」の創設者Dean氏が来日した際のイベント模様をお伝えする。

エンタープライズ領域のアジャイル開発

2001年のアジャイルソフトウェア開発宣言以降、特に近年ではアジャイル開発が増加傾向にある。アジャイル開発の本質は後発的要件への対応、ビジネス環境やニーズ等の変化にITシステムを素早く同期させることであり、日本でも30%を超える企業がアジャイル開発の経験を有している。

引用元:https://www.pmi-japan.org/topics/PMI_Japan_Chapter_Agile_Survey_2019.pdf

一方アジャイル開発が普及している欧米では、従来の小規模のITシステムの開発方法をアジャイルに変革するだけでなく、非小規模(エンタープライズ領域)の新規サービスを創出するために組織の在り方自体をもアジャイルに適合させる「大規模アジャイル」の適用が普及期に入りつつある。そのような中で、大規模アジャイルフレームワークとしては「Scaled Agile Framework(SAFe)」(※1)がシェアNo.1になっている。

引用元:https://www.stateofagile.com/#ufh-i-521251909-13th-annual-state-of-agile-report/473508

今後日本でも、競争が激化するサービス開発において、「サービス提供のスピード」と「サービスの規模」の両立が必須となり、従来のシステム開発から大規模アジャイルによるシステム開発に一定の割合でシフトしていくことが想定され、大規模アジャイル開発が活用できるかどうかが、企業の競争優位を確保することになると考えられる。

SAFe創設者の来日

このような状況の中、2020年2月にSAFeの共同創設者であるDean Leffingwell氏が来日。NTTグループが開催したイベントAgile Meetupで基調講演を行い、以下のようなSAFeの基本的な考え方を語るとともに、NTTグループへの期待も伝えられた。

  • 企業の競争が激化しているため「スピード」と「規模」の両立が求められる
  • そのためには組織も含めたアジリティの確保が非常に重要である
  • 「スピード」と「規模」を両立するための課題をSAFeにより解決することができる

SAFeは様々な考え方を取り入れたナレッジベースで、「Lean(リーン)」すなわち無駄がないという考え方が根底にある。そのため、Dean氏も「Lean」発祥の地である日本においては、SAFeへの適合度が潜在的に高いと考えており、思い入れも強い。

Dean氏とNTTデータ 取締役常務執行役員で、グループの技術開発・研究開発に関する戦略策定・実行を総括する木谷 強との対談では次のようなことが語られた。

NTTデータ 木谷の「お客様企業が、規模の大きいEnterpriseレベルでのサービスをスピード感をもって提供し、競争に打ち勝つためには、パートナーであるNTTデータが大規模なサービス創出をサポートしていくためのケーパビリティを持つことが重要であり、そのためにSAFe導入を拡大していきたい」という考えに対して、Dean氏からは「日本市場でのSAFe適用拡大のために積極的にNTTデータの活動を支援する」との意向が明らかにされた。

また、NTTデータ 木谷と共に参加したお客様企業とのディスカッションにおいても、SAFe導入の手応えを感じ、NTTデータとの協業を通して日本のお客様にクオリティの高い支援を行っていく方向性を合意し、対談を終えた。

SAFeの導入により、上図に示す通り社員エンゲージメント/生産性/市場リリース速度/品質の4領域で効果がある。

SAFeの適用事例

SAFeは米国発祥で、米国では政府をはじめFORTUNE 100の企業の内、既に70%の企業で導入されているという。業種では金融、流通、政府・製造の順序で適用が進んでおり、異業種参画等により競争が激化している業種が変革を迫られたことが背景ではあるが、日本と米国の法制度等の違いを考慮しても、同じ業種から導入される可能性が高いと想定される。
日本での本格適用の事例はまだ少ないが、NTTデータでは2017年から自社サービスへの適用準備を始め2019年から本格適用を開始し、従来のWaterfall型のサービス開発手法と比較してTime-to-marketが50%、Qualityが30%程度改善する成果が出ている。

NTTデータの取り組み

日本でのSAFe本格適用の事例はまだ少ないが、今後日本市場における大規模アジャイルの導入拡大は間違いない。NTTデータは2017年から自社サービスへの適用準備を始め2019年から本格適用を開始。SAFeを提供するScaled Agile, Inc.社のGoldパートナーを取得し、その拡大にいち早く対応している。実際に、SAFeを導入するコンサルタント資格保有者(SPC)を多く育成しており、資格保有者数では日本国内では1位、グローバルでは8位であり(2020年3月現在)、更なるサポート体制の拡大を目指して2020年中にGlobal Transformation Partnerの取得を目指している。
日本のお客様はもちろんのこと、グローバルで事業を展開するお客様に対してもScaled Agile, Inc.社とタッグを組み、SAFe適用を通して、お客様のビジネスを強力にサポートする事業パートナーとなるべく対応を進めている。

※1SAFeとは

SAFeとはScaled Agile, Inc.社が提供する「大規模アジャイル開発」のためのフレームワーク。

https://www.scaledagileframework.com/

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