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2021.9.6技術トレンド/展望

開発者エンゲージメント向上のための情報活用とは?

近年、開発時に生成される情報が増えている。これを活用することで、開発プロジェクトの生産性やチームメンバのエンゲージメントを向上できる可能性がある。本稿では、その活用例を紹介する。
目次

1.開発作業に伴い発生する情報は貴重な資産

近年の開発現場では、CI/CD・Git等、さまざまな開発手法や開発支援ツールが浸透してきています。
また新型コロナウイルスの影響でリモートワークが普及し、コミュニケーションツールを利用して開発業務を行うことが当たり前となりました。
このような開発の変化に伴い、設計書やソースコードに加え、レビューデータやチャットデータといった開発に伴って発生する情報(以下、一次情報)がより多く生成・蓄積されるようになっています。学術界ではMSR(※1)等のテーマでさまざまな研究開発が進められており、最近ではAmazon CodeGuru(※2)等の開発者支援サービスがリリースされています。このように、開発作業に伴い発生する一次情報を収集・分析し、インサイトを得て、開発プロジェクトでの活動に活用する取り組みが盛んとなっています。

(※1)Mining Software Repositories

http://www.msrconf.org/

(※2)Amazon CodeGuru

https://aws.amazon.com/jp/codeguru/

2.一次情報からの状況可視化、データドリブンなプロジェクト運営の重要性が向上

リモートワークを中心とした開発業務において、どのように開発を効率的に進めていくか苦慮する開発現場も増加しています。また、「チームメンバの様子が見えにくい」「チームの活性状況が分かりにくい」といった新たな課題が発生しています。これは例えば、ランチ時間帯にも関わらず忙しそうにしている、といったオフィスでは自然と得ていた定性的な情報が得られにくくなったことが要因の一つとして挙げられます。
こういった課題に対して1on1ミーティングの実施等、運用面での対処は必要ですが、対応には限界があります。このような定性的な情報を補うために、開発プロジェクトの中で発生する一次情報から状況や開発行動を可視化し、データドリブンなプロジェクト運営に役立てることの重要性がこれまで以上に高まっています。

3.一次情報の活用例

どのように一次情報を開発プロジェクトの運営で活用すれば良いか、具体的な例を2つ紹介します。
1つ目は、リモートワークでのコミュニケーションマネジメントへの活用です。チャットやWeb会議等のコミュニケーションツールのデータからコミュニケーションの量と方向性を可視化し、チームメンバが孤立している傾向にないか、オンボーディングが順調かなど、問題の予兆が発生していないかを確認します。その後、必要に応じてフォローを厚めにするといったアクションの検討・実施を行うことで、チームメンバの孤立を防ぎ、エンゲージメント向上につながります。その他にも、チャット量やWeb会議開催の情報から、ハイブリッド勤務におけるオフィス出社者とリモートワーク実施者との間で想定外の情報格差が生まれていないか確認するなど、ニューノーマル時代の働き方に合わせたコミュニケーションマネジメントへ活用することができます。

図1:コミュニケーションネットワーク図(ノードは人、エッジはコミュニケーションパスを示す。)

図1:コミュニケーションネットワーク図(ノードは人、エッジはコミュニケーションパスを示す。)

2つ目は、開発業務のボトルネック分析です。一般的な開発プロジェクトでは、システムをリリースするまでに、要件や設計ドキュメントの作成、ソースコード生成、テスト等、数多くの開発アクティビティが存在します。生産性を向上させるためには、互いに依存関係があるアクティビティをより効率的に多人数で実行する必要があります。そのための糸口を探すためには、プロセスマイニング技術を活用して一次情報から開発業務プロセスを全体可視化し、アクティビティごとの所要時間を明らかにすることが有効です。その上で、ドキュメントやソースコードの規模データ、静的解析やテスト結果等の品質データ、コミュニケーションデータ等と掛け合わせることで、ボトルネックの特定や具体的な改善アクションの立案が可能となります。

図2:開発業務のボトルネック分析イメージ

図2:開発業務のボトルネック分析イメージ

4.おわりに

近年、ソフトウェア生産技術の革新と普及により、多種多様な一次情報が生成・蓄積されています。また、自然言語処理、プロセスマイニング等をはじめとするデータ解析技術も発展してきました。
私たちは、一次情報の統合・可視化技術等の研究開発を行っています。これらに対してTERAaaS(※3)を通じて開発プロジェクトに適用することにより、開発プロジェクトのDXを進めます。
経験や勘だけに頼るのではなく、科学的なアプローチの導入とデータドリブンなプロジェクト運営は、システムの品質向上、開発生産性向上だけでなく、開発者のエンゲージメント向上にも大きな影響を与えるでしょう。NTTデータでは、開発プロジェクトのDX推進、お客さまのDX加速を支援していきます。

(※3)TERAaaS(TERASOLUNA as a Service)

https://www.terasoluna.jp/product/tool/teraaas.html

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