1.DXの入り口としてのRPAの活用
デジタル社会における競争優位性を獲得するために、多くの企業でDXが推進されています。その実現への第一歩としてRPAを導入し、個人がそれまでPC上で行っていた手作業を自動化することがよく行われます。エンドユーザ自身が手軽に業務を効率化できる一方で、RPAが適用できる範囲は既存のITシステムやその運用プロセスに沿った業務であり、組織内の一部タスクの効率化に限られることが多いのが現状です。RPAで自動化した作業をビジネスの変革につなげるためには、部門や企業全体にわたるより大きな業務プロセスに統合していく必要があります。
2.LCPとRPAを組み合わせたDXの実現ステップ
この課題を解決する手段として、LCPによるアプリケーションの高速開発をRPAと組み合わせて活用する方法が注目を集めています。最近の主要なLCP製品はワークフローの設計機能を強化しているため、LCPで業務プロセス全体を繋ぎ、そのプロセスの中にRPAで自動化されたタスクを組み込むことができます。業務プロセスの一部が既存システムで実現されており、一度にすべてをLCPに置き換えることが難しい場合は、それらを残したままRPAで自動化することにより、業務プロセス全体を素早く統合することが可能です。
ただし、このような形のシステム統合では、処理やデータが複数のシステムに分散するために、それらの管理や維持保守が複雑となり、全体としてのガバナンスが難しくなる恐れがあります。いったん素早く業務プロセスを統合し、ビジネス上の有効性が確認できた場合には、RPAで自動化した既存システムを徐々にLCPのアプリケーションに置き換えることで安全にDXを推進できます。これにより、1つのプラットフォームの中で処理とデータを集約・管理することができるだけでなく、業務内容の変更が起きた場合でも、LCPで高速にアプリケーションやワークフローを修正・テストすることにより、ビジネス上の変化に即座に対応できるようになります。
図:RPAを残したまま、全体をLCPで繋ぐ
LCPとRPAを組み合わせてDXを実現できる具体的なプラットフォームの例として、以下のような製品があります。
- Microsoft Power Platform(※1)では、Power AutomateのクラウドフローからWindows上のRPA製品であるPower Automate Desktopを呼び出すことができます。
- Pega Platform(※2)、Appian(※3)、intra-mart(※4)などのビジネスプロセス管理(BPM)の機能を強みとするLCPでは、RPAと連携したワークフローを自動化することが可能です。
3.お客様の既存資産を踏まえたDXに向けて
本記事では最近のLCPがワークフロー機能を強化しているというトレンドを挙げ、RPAによるタスクの自動化と組み合わせる方法をご紹介しました。今後、多くの企業でLCPを活用していくことが予測され、既存のITシステムとLCPの連携・統合は大きな課題となります。
LCPの市場は急速に成長しており、様々な製品が存在するため、お客様の既存のITシステムや業務プロセスに合わせて最適なLCPやRPA製品を選定し、組み合わせて活用する必要があります。NTTデータでは、これまでに幅広い業界のお客様に対してRPAの導入を通じたDXの推進や生産性の向上を実現してきました。引き続きそれらの経験を活かしつつ、お客様の業務プロセス全体にわたる改善やガバナンスの強化を実現することにより、お客様のDXの実現をリードしていきます。