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2022.12.13技術トレンド/展望

DX人財認定制度による、組織ケイパビリティ向上への挑戦

DXに伴いビジネス環境が大きく変動する中、エンジニアに求められるスキルやマインドセットも大きく変貌している。新たな動向に対応できる人材育成が急務であるが、一体何から手をつければよいのだろうか。
その対応案をNTTデータでの実例により紹介する。
目次

1.従来の探し方では見つからないDX人材

「DXで経営課題の解決を」。経営者や上司から依頼されたら、あなたは、共に対応するエンジニアをどのように探しますか?

まず、DXを行うためには、どのようなスキルを持ったエンジニアの参画が必要なのかを明らかにしておく必要があります。
ここでは、ITSS+(※1)の記述を引用し、「安定性・信頼性を確保しつつ、スピードや柔軟性を追求・実現するIT投資の最適解を担う人材」としましょう。具体的には、「データサイエンス領域」「アジャイル領域」「IoTソリューション領域」「セキュリティ領域」などに従事する人材が該当します。

次に、該当するスキルを持つエンジニアを探す必要があります。例えば、

  • 社内SNS等人的ネットワークで解決する
  • 中途採用する、社内公募を実施する
  • 人事データから人材を選出する

等の手段をとられると思います。他に手段をお持ちの方もいらっしゃると思います。
しかし、多くのケースで、

  • ネットワークの中に必要なスキルを持つ人材が見つからない
  • 中途採用、社内公募には時間がかかる
  • 人事データは人事部しか参照することができないor個人の詳細スキルが管理されていない

という壁が存在します。これらについて解決を試みることはもちろん必要ですが、この状況において重要な事実は、

  • 適切な人材がいても見つけることができていない
  • 適切な人材がいない

いずれかの可能性が高いという点です。

世の中の動向に目を向けてみますと、JUAS「企業IT動向調査報告書 2022」によると、エンジニア領域では、データ分析担当、アプリケーション設計・開発(アジャイル型)について「概ね充足」と回答している企業が20%台であり、人材不足が顕著です。

図1:JUAS「企業IT動向調査報告書 2022」

図1:JUAS「企業IT動向調査報告書 2022」

この状況を、NTTデータがどのように解決しようとしているか、ご紹介します。

2.1 見えないDX人材を可視化して実態を把握

まずは、「適切な人材がいても見つけることができていない」に対応します。
NTTデータでは、2021年度より「DX人財(※2)認定制度」(Altemista認定制度。以下、認定制度)を導入しDX人財の所在の可視化を試みています。この認定制度では、DX向けのシステム開発に必要な人財像を、NTTデータが定義した6段階のレベルに分けて認定しています。

ここからは、代表的な不足人材である、アプリケーション設計・開発(アジャイル型)(以下、アジャイル人財)を例に、具体的な可視化の方法を説明していきます。

業界一般解釈と乖離のない人財定義

まず、可視化にあたり、関係者間の共通認識を構築する必要がありますので、人財定義を作ります。
アジャイル人財の場合は、プロダクトオーナー(PO)、スクラムマスター(SM)、開発エンジニア(Dev)等の各ロール(役割)について、詳細なスキル要件を定義しています。
これらの定義は、業界一般解釈と乖離のない範囲で、NTTデータの実績を踏まえて決定しています。

図2:認定対象ロール

図2:認定対象ロール

「お客さまやユーザーにどのような貢献をしてきたか」実績ベースでのスキル認定

次に、人財定義を軸にし、人財を認定する方法を決定します。
NTTデータの認定制度では、知識・実務経験からスコアリングを行うことで認定します。
Level3以上の高度人財については上位認定者が面接を行い、実績を詳細に確認します。具体的には、お客さまやユーザーの課題発見、課題解決、価値提供等の実績確認、また、開発を継続的に実施する中でのコンフリクト対応経験等を詳細に確認し、実践力を重視した審査の上で認定します。
ここまで実施することで、可視化するためのデータが揃います。

認定結果を組織で管理しDX人財の所在を可視化

認定審査結果により得られた人財データは、利用可能な形で蓄積します。
具体的には、ロール、レベル、実務経験の期間等の基本情報に加え、経験した開発の業界や特性、得意な技術領域等も、個人の特性として管理します。
これにより、組織内の人財が可視化され、ケイパビリティや課題を明らかにすることができます。

(※2)

NTTデータの施策については「人財」の表記を使用しています。

2.2 ビジネスパートナーも含めたDX人財育成とスキルアップ

次に、「適切な人材がいない」に対応します。
こちらは、個人のスキルアップ、組織としての人財育成、の2つを目的とします。

エンジニア自身が客観的レベルを認識

前述の「2.1見えないDX人材を可視化して実態を把握」により、組織としては現状を把握でき、一方、エンジニアは自身の客観的なレベルを知ることができます。
例えば、Level2に認定されたエンジニアは、Level3の人財定義を確認することで、ステップアップするために何を学び、経験すればよいか、その方向性を定めることができます。
NTTデータでは、エンジニア育成のための基礎~専門の研修ラインナップを整備し、目的に応じた教材を受講し自己研鑽によるスキルアップを図ることができます。

目的と合致する実務アサインにより、継続的に組織ケイパビリティを向上

人財育成を確実なものとするためには、実務経験が必要です。
実務経験へのアサインに際しては、認定データを活用することで、お客さまの目的とエンジニアのスキルがマッチするよう、試みています。

NTTデータのみではなく、ビジネスパートナーと共に育成

ご紹介してきた取り組みは、NTTデータのみではなく、共に開発を行うグループ会社、および、ビジネスパートナー各社も対象としています。
DX対応によるお客さまやユーザー、社会への継続的な価値提供を実現するためには、開発に関わるすべての関係者のケイパビリティ向上が不可欠であるため、これは非常に重要な点だと考えています。

3.まとめ

今回は、DX人財育成と組織ケイパビリティ向上のための対応事例として、NTTデータの人財認定制度をご紹介しました。

ポイントは、以下の3点です。

  • DX人財定義という共通認識による、スキルの可視化
  • 個人のスキルアップ支援と、人財データを活用したアサインメント
  • ビジネスパートナーも含めた人財育成による、お客さまやユーザーへの価値提供のための組織ケイパビリティ向上

NTTデータでは、このような施策を継続的に実施することで、ビジネスパートナーと共に、お客さまのビジネス変革に引き続き貢献していきます。

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