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2023.7.18業界トレンド/展望

連載:一巡した企業のDX。つぎの潮流を読む(4)

デジタルトランスフォーメーション(以降DX)の取り組みを多くの企業が進めており、DXを企業文化に組み込み、新たな事業運営の仕組みを備える転換期が訪れている。DX推進を一通り実施した中で、次に立ちはだかる壁は何か? 企業変革を実現するDXコンサルタントが計4回の連載記事で紹介する。
目次

結局、DX二巡目の論点とは何か?

司会企業のDX活動は二巡目に突入したと言われています。お二人は、二巡目の論点をどのようにお考えですか?

三浦我々は、DX二巡目の論点は「ビジネスアジェンダへの対応強化」であると考えています。まず、二巡目において企業がめざすべき姿は、企業活動の中心にDXがあり、真の意味で企業変革を成し遂げることだと思います。これまでは“Quick Win”や“スモールスタート”などを合言葉に、DXをとにかく前へ進めることが優先されてきました。しかし、これからはGAFAのようなデジタルネイティブ企業への追随、あるいは独自の強みを伸ばして競争力を高めるための継続的な進化が求められます。

菅家その通りです。一巡目で企業はDXのWhy?を定義してきました。中でも我々は「攻めのDX、守りのDX」や「新規事業創出、既存事業改革」という言葉でDXを分類しており、これらは企業の中でもDX活動で意識する軸となっているでしょう。一方で、企業は“DX”という言葉を意識するあまり、外部環境の変化に対応する意識は低かったように思います。

三浦その意見に賛成です。多くの企業が、自分たちの問題点にばかり着目してしまい、そもそも競争力を高める活動ができていなかったように思います。真の企業変革とは競争力を高めることであり、DX活動のWhyに据えるのは「外部環境変化」であるべきです。

菅家企業が取り組むべき項目(アジェンダ)は外部環境変化に左右されます。例えば、小売企業が抱える最優先のアジェンダは、昨今の物価上昇の影響下でもできるだけ安く商品を消費者に届けるため、どのようにコスト削減していくかです。このようなビジネスアジェンダに対応する手段としてDXを活用できると、経営へのインパクトが高まるでしょう。
これまでNTTデータでは大手企業のDX組織をご支援してきましたが、残念ながらDX組織が能動的にビジネスアジェンダをキャッチし、先んじて強みを創る活動はできていないのが実情です。

図1:DX成熟度と二巡目の論点

図1:DX成熟度と二巡目の論点

ビジネスアジェンダへの対応強化とは?

司会それでは「ビジネスアジェンダへの対応強化」について、具体的にお話しください。

三浦ビジネスアジェンダは業界や企業によって異なります。アジェンダの内容は外部環境変化から影響を受けるため、時勢によっても大きく変わる可能性があます。先ほども触れた小売業界を例にすると、コロナ禍では自宅まで商品を届けるビジネスが盛んになったため、このビジネスアジェンダは一気に優先度が高まりました。

菅家他にも、グローバルでの事業展開へ打って新たな市場を獲得したい企業にとっては、展開先の各国法規制への対応などのアジェンダが発生し、より複雑になってきます。企業変革のためにはデジタルを主語にするのではなく、経営を主語にしてDXの取り組みを実施していくことが大事だと考えています。

司会DXを中心に据えるのではなく、あくまでも経営を中心に考えるために、大事なことは何だと思いますか。また、NTTデータではどのような取り組みをしていますか?

三浦まずはアジェンダを業界単位で俯瞰した後、個社単位で状況を鑑みながらアジェンダの優先順位を議論していくことが大事だと考えています。そしてアジェンダの実現に向けては、テクノロジーの変遷を押さえた上で具体的な解決策やロードマップを議論し、方針を策定することが重要です。
NTTデータは幅広い業界のお客様を支援してきた実績があり、業界横断視点で各企業の対応を俯瞰できるだけでなく、アジェンダに対してデジタルの解決策を提示し実行できます。

菅家我々は俯瞰的なアジェンダから解決策までの提示を「DXグランドデザイン」と定義しています。これは具体的には、企業の中期経営計画などファクトベースの情報を抽出して、NTTデータ独自のフレームワークで整理したものです。このDXグランドデザインのなかで提示するデジタルの解決策は、これまで培ってきたNTTデータの強みや知見に基づいています。DXグランドデザインは俯瞰的な議論と各アジェンダに対する具体的な議論の両方できる点が特徴です。

司会なるほど。企業が個別の取り組みにフォーカスしがちなところをあえて全体俯瞰し、ビジネスアジェンダの提示だけでなくデジタルの解決策提案に繋げているのですね。

三浦その通りです。立ち上げ時はDX組織を中心に会社の変革を担おうとして戦略や計画を策定しますが、外部環境変化に伴う論点の移り変わりに対応できなくなってしまうパターンを多く見かけました。DX組織は、論点の変化に即応できる体制に変わらなければいけません。

菅家さらに、DXで企業変革を実現するためDX組織は、変化するビジネスアジェンダに対して具体的な施策を事業部門へ提案することも必要です。NTTデータの「DXグランドデザイン」は、DX組織による事業部門への提案活動をサポートするものです。

図2:流通・小売業界のビジネスアジェンダ俯瞰(例)

図2:流通・小売業界のビジネスアジェンダ俯瞰(例)

お客様と伴走し企業変革を実現するDXパートナー

三浦NTTデータでは、世の中でDXが流行りはじめた2017年頃からお客様のDX組織をご支援しており、DX推進ノウハウを数多く蓄積しています。併せて、時代の変化に対応可能なコンサルオファリング開発を進めており、これまでに培ったノウハウと、時代の変化への対応力が持ち味です。
最近は、Foresight起点のコンサルティングを強化しています。これは業界やお客様の将来を見通し、先んじて強みを創り出すことです。前述したDXグランドデザインは、Foresight起点のコンサルティングを具現化したオファリングと言えます。

菅家DXグランドデザインのほかにも、様々なコンサルティングメニューをご用意しています。例えば、新規サービスやシステムのDX施策の企画・実行や、DXで難しいと言われている効果創出のシナリオを策定し、定量的な算出をご支援する投資管理・KPIマネジメント、また育成が難しいと言われるデジタルタレントの人材戦略から育成などです。

三浦我々のチームはDXにまつわる課題を面で解決することを得意にしています。今後はビジネスアジェンダへの対応強化を目的としたDXグランドデザインについて、お客様とより活発に議論をしていきたいですね。

今回ご紹介した企業変革を実現するDXコンサルタントチームには、課題に対し幅広い角度から検討・対応できる人材がそろっています。ぜひ一度お問い合わせください。

図3:DXコンサルティングサービス

図3:DXコンサルティングサービス

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