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2021.10.14業界トレンド/展望

連載:生活者視点で描く、新しいこれから。#1 お客さまとともにめざす新ビジョン

社会全体のDXが加速する今こそ、生活者と企業や行政が信頼しあうことが求められる。そうした考えのもと、新たなサービスを創り出し、生活者一人ひとりの幸せと豊かな暮らしを実現する近未来を描いたのが、NTTデータが公開した”Smarter Society Vision 2021”である。お客さまとともにめざす5年後のデジタル社会、そして新しいこれからとは。 その全容を4回にわたって紹介する。
目次

デジタルシフトによって、社会はどう変わる?

昨今のデジタル技術は日々めざましく進化しています。みなさんも毎日の暮らしや働き方等、いたるところでデジタル技術による変化を感じているのではないでしょうか?

図1:デジタルシフトによる社会変化

図1:デジタルシフトによる社会変化

デジタル技術の発展は、新たな社会変革にもつながっています。例えば、モノ売りからコト売り、サブスクリプション等のビジネスモデルの変革、IoTによる物流革命等のサプライチェーン変革などがあげられます。その結果、企業や行政は、私たち生活者個々の要求に応じてパーソナライズ化されたサービスを提供できるようになりました。

役割が変化する今、企業や行政に求められる業界を超えた連携

生活者と企業や行政のバウンダリー(役割)にも変化が生じています。
Walmartの事例で考えてみましょう。Walmartでは、店舗で商品を販売するだけでなく、個人の購買データに基づいた献立のリコメンドやリモートでの商品の選定、冷蔵庫への配達サービスを提供しています。これは、献立検討から商品の配送において、個々の要求に応じてパーソナライズ化された体験を提供しているといえます。
従来の生活者が担っていた作業をWalmartが巻き取ることで、生活者はより快適な消費体験という新たな価値を受けることができるのです。

図2:バウンダリー変更の事例(Walmart)

図2:バウンダリー変更の事例(Walmart)

このような時代においては、企業や行政はいかに生活者の真の課題をとらえ、課題解決のために真に必要とされる価値を提供できるかが重要になります。そして生活者の期待に応え続け、実績をつくり信頼を得ることが、持続的な成長へとつながります。

生活者の真の課題や期待を確実に理解するためには、既存の業界や組織の枠組みにとらわれていては上手くいきません。さらに、急激に高まる気候変動や脱炭素といったグローバル課題への対応に加え、人口減少や少子化といった独自の課題が進む日本では、生活者一人ひとりと社会全体をミクロとマクロの視点でとらえることも重要です。
Walmartの事例は自社の壁を打ち破り、1社で複数の業態を実現した事例になりますが、今後更なる変革を遂げるためには、複数の企業や行政が得意な領域を持ちよってクロスインダストリー(業界横断)に協力し合い、今までにない新しい価値を生み出すことが必要なのです。
生活者と企業や行政にとってwin-winな社会、みなさんはどんな社会を想像しますか?

win-winな社会を描き、お客さまとともにめざす

NTTデータのソーシャルデザイン推進室では、生活者視点に立ち、行政や金融、製造、流通等、各業界が相互に連携できる新しいしくみや価値をデザインし、5年後の新しい社会の形をビジョンとして発信することとしました。ビジョンとして掲げた背景には、共感いただいた企業や行政といったお客さまやスタートアップ企業等ビジネスパートナーの皆さまとともに実現したい、という強い想いがあります。

ビジョンの策定にあたっては、社内各分野から集まったソーシャルデザイン推進室メンバーをはじめ、R&D部門、社外有識者といった多様なメンバーが参加し、デザイン思考アプローチによって検討を進めました。あわせて、経営幹部が考える方向性とのベクトル合わせも行いました。

技術動向について、NTTデータでは毎年将来の技術トレンドを”NTT DATA Technology Foresight”(※1)として世の中に公開しています。ただし、「技術トレンドで予測した未来=めざしたいデジタル社会」とは限りません。現在から技術トレンドでめざしたい姿が実現できない場合は、バックキャストで考え必要な研究や技術開発を行う必要があります。

図3:ソーシャルデザイン推進室が描くデジタル社会像

図3:ソーシャルデザイン推進室が描くデジタル社会像

また、技術だけではなく、制度で解決すべき課題や文化、倫理面での考慮も大切です。このような点については、大学教授や政府関係者、医師、企業に所属するエキスパート、コンサルタントといった各界の有識者を個別にお呼びして意見交換を実施し、より深い知見をビジョンの骨子として取り入れています。

このような取り組みを通じて策定されたビジョンが、”Smarter Society Vision 2021”(※2)です。それでは、ビジョンの内容を見ていきましょう。

生活者と企業や行政が信頼でつながり、新しい価値を生み出す社会

“Smarter Society Vision 2021”は「ビジョンワード&イメージ」、お客さまとともに実現をめざす「重点領域」、具体的なユースケースを示す「デジタルムービー」の3つの要素によって、NTTデータの描く新しいこれからを発信しています。

1.ビジョンワード&イメージ

「ビジョンワード&イメージ」では、ビジョンの概要を言葉とイメージで示しています。

“Smarter Society”がめざすのは、生活者と企業や行政間の信頼関係に基づいた、データの提供とサービスへの反映の循環による一人ひとりのウェルビーイングの向上、そして社会システムの変革による豊かな社会の実現です。

図4:Smarter Society Vision 2021「ビジョンワード&イメージ」

図4:Smarter Society Vision 2021「ビジョンワード&イメージ」

生活者が提供するデータを活用し、企業や行政はより良いサービス提供へと反映させます。そうすると、生活者は更なるベネフィットが受けられ、企業や行政を信頼し新しいデータを提供するようになり、win-winの循環が生まれます。
また、多様なステークホルダーが業界を超えて連携することで、社会全体のデータを収集する環境が構築できます。IOWN構想の一つであるデジタルツインコンピューティング(※3)の技術を活用すれば、現実社会のデータをデジタル上でシミュレーションすることが可能になり、サステナブルな社会への発展に向け社会システムの変革を促すことができます。

このように、信頼をもとにした生活者と企業や行政の継続的な連携が、生活者一人ひとりのウェルビーイングを向上させ、さらにはより豊かな社会へとスパイラルアップに発展していく。これが、ソーシャルデザイン推進室が考える”Smarter Society”です。

2.お客さまと取り組む「重点領域」

「重点領域」とは、NTTデータがお客さまと新しいしくみや価値をデザインしていきたい、社会課題が深刻化している領域や、生活者と企業や行政の役割が大きく変化している領域を指します。“Smarter Society Vision 2021”では6つの領域を選定し、それぞれのめざす方向性を示しています。

図5:Smarter Society Vision 2021「お客さまと取り組む重点領域」

図5:Smarter Society Vision 2021「お客さまと取り組む重点領域」

3.具体的なユースケースを示す「デジタルムービー」

「デジタルムービー」とは、重点領域に対して実現したい5年後の姿を紹介する動画を指します。具体的なユースケースを用いて以下を紹介しています。

  • 新しい社会の実現により変わる生活者の暮らしの例
  • 実現するためのデジタル技術
  • 関連する企業や行政がなすべきこと

“Smarter Society”はNTTデータ単独では実現ができません。企業や行政といったお客さまやスタートアップ企業等ビジネスパートナーの皆さまの存在が不可欠です。「デジタルムービー」を通して、お客さまやビジネスパートナーの皆さまに具体的なイメージを伝え共感いただくことで、ともに”Smarter Society”の実現に向け取り組んでいきたいと考えています。

連載2回目以降では、実現したい5年後の姿について具体的に想像していきたいと思います。

- NTTデータは、「これから」を描き、その実現に向け進み続けます -
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