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2022.9.29業界トレンド/展望

TCFD開示で企業に求められる対応とは

カーボンニュートラル達成へ向け、脱炭素の潮流は実ビジネスへインパクトを及ぼすフェーズへ突入。気候変動に関するリスクと機会の開示を推奨する「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」に必要となる対応について解説する。
目次

TCFDとは?

TCFDとは「気候関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Climate-related Financial Disclosures)」のことで、気候変動が企業にもたらすリスクや機会の可視化を推進するため、2015年12月に金融安定理事会によって設置されました。2017年6月には「TCFD提言」が取りまとめられ、企業や団体に対して開示の基礎となる枠組みを公表し、気候変動に関する情報開示(以降:TCFD開示)を推奨しています。

TCFD開示の要請の高まり

気候変動関連のイニシアチブが多く存在する中、TCFD開示を進めるべき理由としては、「投資家に重視されているイニシアチブであること」「グローバル及び国内でのTCFD開示義務化の流れ」があげられます。
パリ協定での「1.5℃目標」の合意と各国のカーボンニュートラル宣言を機に、投資家の判断基準に環境判断が追加され、機関投資家が重要視する国際イニシアチブとして高く注目されています。
また、東京証券取引所は2021年6月に改訂したコーポレートガバナンス・コードにおいて、東証上場企業に対してサステナビリティの取り組みを経営戦略の開示に含めることを定めました。なかでもプライム市場上場企業に対しては、気候変動が自社に与える影響についてTCFDか同等の枠組みに基づく開示を求める原則を新設しました。自社に必要と考えられる項目から順次開示する対応で問題ないとされるものの、この原則によりTCFD開示が実質的に義務化されているという状況です。

図1:投資家が重視する国際的なイニシアチブ

図1:投資家が重視する国際的なイニシアチブ

TCFD開示を義務ではなく、チャンスと捉えよう

もちろん企業に求められる義務としての対応、という側面もありますが、TCFD開示を企業価値を高めるチャンスとして積極的に捉えることもできます。
TCFD開示を継続的に実施することで、脱炭素化に向けた企業のPDCAサイクルを実行し、また開示内容にかかわる企業と投資家間における継続的なエンゲージメントを通じて、脱炭素実現と企業価値向上の両立ができます。
TCFD開示を「経営戦略における気候変動の位置づけ」「2050年にむけた事業の長期持続シナリオ」をあらためて検討するタイミングとし、企業価値向上をはかるチャンスと捉えて取り組むべきと考えます。

図2:TCFD提言に準拠した脱炭素化へのPDCAサイクル

図2:TCFD提言に準拠した脱炭素化へのPDCAサイクル

企業に求められる対応とNTTデータが提供できること

TCFD提言は、気候変動が事業活動へ与える影響に係る企業の認識を投資家等のステークホルダーが適切に評価できるよう、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」について開示を求めており、一般的に必要とされるアクションは以下の通りです。

図3:TCFD開示で求められる対応

図3:TCFD開示で求められる対応

開示フレームワークとして公開はされているものの、TCFDが求めているシナリオ分析や温室効果ガス排出量の算定は難易度が高く、各企業のみで対応するのが難しいというのが実情です。
実際にNTTデータのもとには、「Scope1と2は算定したが、Scope3をどう算定すれば良いか分からない」「TCFD開示を行うにあたって何から始めればよいか分からない」などの悩みを持った企業からの相談が増えています。

NTTデータでは、TCFD開示における豊富な対応実績を生かし、TCFDによる4つの推奨開示項目「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」全ての対応を支援します。
コンサルティングと合わせて、すでに提供している温室効果ガス排出量可視化ソリューション「C-Turtle™」(※1)も活用し、デジタル化までワンストップで支援できることが大きな特徴です。
温室効果ガス排出量の可視化に関しては、自社の事業活動に関連するサプライチェーン排出量(Scope3)の算定に多くの企業が課題を持っています。
特に、一旦現状の排出量算定を行ったが今後の見通しや削減計画が立てられないといった問い合わせを頂くことがあります。温室効果ガス排出量の算定は、脱炭素経営の第一歩で、その後の削減計画立案及び削減の実行につなげていく必要があり、それを踏まえた可視化ロジックを構築することが大事です。
NTTデータでは、「C-Turtle™」によるデジタル化と共に、Scope3算定においてサプライヤ―の削減努力を自社の排出量に取り込める可視化ロジックの提案をしています。

図4:NTTデータの提供するTCFD開示対応支援サービス

図4:NTTデータの提供するTCFD開示対応支援サービス

お問い合わせを頂く中には、「なかなか社内での取り組みへの理解が得られない」といったものもあります。
TCFD開示対応や排出量の可視化等の気候変動への取り組みは1回実施して終わり、というものではなく継続して取り組んでいく必要があるものです。
NTTデータでは、企業が継続的に取り組めるような仕組みづくりも支援しており、「経営層のコミットメント」や「社内WGの立ち上げ」等を通じて、運営組織体制を構築していきます。

NTTデータでは、自社の事業に関して2021年10月に公表されたTCFD新ガイダンスに準拠したガバナンス、戦略、リスクと機会に関してのシナリオ分析、および指標と目標(推奨される7カテゴリー)のすべてについて有価証券報告書での開示を行いました。
国際NGOとのグローバルでのパートナーシップ(※2)を通じた活動や、自社での実践を通じた培ったノウハウの活用を含め、お客さまや社会での取組促進に努めてまいります。

NTTデータではTCFD開示支援も含め、今後も広がりが想定される気候変動・サステナビリティ対応に向けた支援サービスを拡大していきます。個々のお客さまに合わせたコンサルティングを提供し、社会全体のカーボンニュートラルやサステナビリティな社会の実現に貢献していきます。

(※1)C-Turtle™は温室効果ガス排出量の算定を行うNTTデータのソリューションです。

https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/c-turtle/

(※2)2022年3月1日「日本で初めての「CDPゴールド認定パートナー」に認定 ~全世界で社会の脱炭素化に向けたグリーンイノベーションを推進~」

https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/030101/

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