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2017.10.24技術トレンド/展望

ブロックチェーン技術の活用検討のイマ

ビットコインやアルトコインといった暗号通貨やその応用の拡大に加え、金融業界以外での検討もより広がっている「ブロックチェーン」。今回は、世界規模で取り組まれている検討模様やその考え方についてご紹介します。

1. ブロックチェーン活用のアプローチ

昨今、ビットコインのハードフォークが話題となっていますが、その土台となるブロックチェーン活用も、活発に検討されています。これは日本だけでなく世界中の国々で検討されており、自社のビジネスにどの様に適用するか検討されています。

ブロックチェーン活用として検討される代表的なテーマとして暗号通貨の活用が挙げられます。ビットコインやアルトコインを応用した仕組みが検討されています。一方、暗号通貨関連以外でも検討は進んでいます。この検討の代表テーマとして、トレーサビリティやデジタルアイデンティティがあります。これらのテーマには以下のような特徴があります。

  • 多数(および異なる業種)の参加者が一緒のプラットフォームに乗ることができる
  • 従来は情報システムを利用しないやり取りが中心であった

これまで1つの組織の中で作られた情報システムにおいて、他の組織の情報システムと接続する場合は、その接続方法や問題発生時の対応など多大な手間を必要としていました。そのため、他の組織との連係では情報システムに頼らず、例えば紙ベースで対応しているというケースもあると思います。また、他の組織から紙で入手した文書を自社の情報システムに入力といったケースもあるでしょう。

既存システムで扱っている業務をブロックチェーンに置き換えるなど、色々な可能性を探り適したテーマを検討している中で、上記のポイントに沿って検討することも一案でしょう。

2. トレーサビリティへの適用から見るブロックチェーンの効果

次に、トレーサビリティとしてブロックチェーンを適用することにより見込まれる効果についてご説明します。

例えば、ある製品を構成する1つの部品で問題が発生した場合を考えてみましょう。その部品がいつ・どこの組織で作られ、いつの製品に含まれているかを調べるには情報システム化されていても調査には多大な労力を必要とします。紙ベースの情報しかない場合は、より労力を必要とするかもしれません。更に、データの改ざん、消失といった可能性も考えなければなりません。

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図1: 従来のトレーサビリティ例

ブロックチェーンの特徴である分散型台帳は、プラットフォームの参加者間での情報の共有を前提としていること、取引情報を時系列に記録することを前提としていること、そしてこれらの前提に基づく技術を簡単に扱えること、が大きなポイントといえます。

参加者間で情報を共有することが前提となっているため、新規の参加者が容易に参入できる、また離脱できるでしょう。時系列でデータが管理されているため、問題があった場合の調査もデータ構造をたどれば把握できるでしょう。また、さまざまなブロックチェーン技術はスマートフォンやWebブラウザベースでアクセスする仕組みが提供されているため、容易に利用できるでしょう。

例えば、紙ベースで他組織とやり取りする処理では、従来の画面を操作するだけで、容易にブロックチェーンで情報を連携し、相手先の組織とのやり取りを速やかに実現できるようになるでしょう。(実際にこれでの業務に要する時間を短縮できる可能性がある、といった実証実験のレポートもあります。(※1))

  1. ※1 保険証券のブロックチェーン適用実証実験結果
    https://www.nttdata.com/jp/ja/-/media/nttdatajapan/files/news/release/2017/042401/2017042401-01.pdf(外部リンク)
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図2: ブロックチェーンを利用したトレーサビリティ例

3. ブロックチェーンにおける研究開発テーマとは

ブロックチェーン活用のテーマとして、トレーサビリティへの適用によって得られる効果について先に説明しました。適用により良い効果が見込まれると言えますが、既存のブロックチェーン技術だけでは技術として成長段階であるが故、その効果は限定的かもしれません。ブロックチェーンを発展させるため、より高度に使うための研究開発も広がっています。

例えば、以下のような検討が進んでいます。

  • ブロックチェーン上のデータの秘匿化
  • ブロックチェーン上のデータをより簡単に操作する仕組み
  • コンセンサスアルゴリズム(分散型台帳の合意方法)の改良
  • 従来の情報システムとブロックチェーンを容易に接続する仕組み

また、研究開発を目的としたブロックチェーンネットワーク「BSafe.network」(※2)、産学連携組織BASEも登場し、学術分野としても取り組みが広がっています。

また、技術開発だけでなく、法制度やルール作りといった取り組みも重要です。ISOでは技術委員会TC307(※3)にて標準化について議論されています。TC307は、2017年11月に東京にて国際会議が開催されるなど、多くの日本のメンバーが参加しています。

暗号通貨としての技術要素から、分散型台帳としての応用の検討や研究開発が確実に広がっているブロックチェーン、私たちが利用しているサービスの見えない部分で利用されている、という世界が実現するのもそこまで遠い未来ではないでしょう。

  1. ※2 BSafe.network
    http://bsafe.network/(外部リンク)
  2. ※3 ISO TC307
    https://www.iso.org/committee/6266604.html(外部リンク)
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