情報システムの土台を担うプライベートクラウドは進化を続けています。昨今のトレンドから特筆すべき3点をピックアップしてご紹介いたします(図1)。
図1:プライベートクラウドのトレンド
仮想化サイロから大規模プライベートクラウドへ
IT基盤を仮想化技術でサイロ化する動きは依然活発に行われていますが、特に中規模~大規模な企業・団体においては、サイロ化した仮想化基盤をさらに集約して大規模なプライベートクラウドを構築する要求が拡大し続けています。こういった要求に応える動きとして、大規模・高信頼な商用利用にも耐えられるサーバ・ネットワーク・ストレージそれぞれの仮想化技術の進歩、デファクト製品の登場、ベンダ、SIer、サービスプロバイダの大規模クラウドの構築・運用ノウハウの向上などが挙げられます。
マルチテナント型利用モデルの浸透
大規模化に伴って、ひとつの情報システム部門ですべてのリソースを管理するのではなく、各ビジネス部門がセルフサービスで基盤のライフサイクル管理を実施することが当たり前になってきています。仮想化技術によるサイロ化においてはシングルテナントの利用が前提であったものが、多種多様なワークロードをビジネス部門が独自の判断で基盤に乗せて変化に追従する、よりクラウドらしいマルチテナントでの利用モデルが浸透してきています。特に公共、金融などの産業領域にもこのような利用モデルが広がっている点は重要なポイントです。
ハイブリッド化と統合管理
マルチテナントで多様なユースケースに応えるプライベートクラウドを提供していると、基本的にはプライベートクラウドで満足しているが、一時的な需要増や災害対策の観点でパブリッククラウドを要所では使いたい、という要求が出てくるものです。こういう要求に答えるために、提供サービスの一部として、パブリッククラウドへのセキュアな接続性やリソース連携機能を備え、かつ、ワンストップでの統合管理も可能な「いいとこ取り」のハイブリッド化されたプライベートクラウドが実際に提供・運用されているケースが増えてきています。
上記のようなトレンドを踏まえつつ、NTTデータではパブリック・コミュニティ・プライベートの3つのデプロイモデルそれぞれに対して全方位のクラウドサービスを提供しています。また、自らがサービスの提供者でもありユーザでもある開発環境向けクラウドサービス(統合開発クラウド(※1))の開発・運用を通じて技術開発・ノウハウ蓄積・ベンダ連携を実施しており、お客様への高付加価値なクラウドサービスの提供を続けています。