医療の役割を担い始めたIT
現在、複数の個人用ウェアラブルデバイスが米国食品医薬品局(FDA)の認可を取得しています。これらを利用することで、不整脈検知やてんかん発作などの特定症状を医療機器レベルで検知することが可能となってきました。
今後、このようなデバイスの日常生活での利用が増加すれば、正常時を含めた活動記録や生体情報を継続的に蓄積することができるでしょう。これにより、個人の特性に合わせた異常の把握が可能となり検知精度の向上が期待できます。近い将来、異常をきたす要因が特定されれば、デバイスでの予兆検知も可能になるでしょう。
今後、このようなデバイスの日常生活での利用が増加すれば、正常時を含めた活動記録や生体情報を継続的に蓄積することができるでしょう。これにより、個人の特性に合わせた異常の把握が可能となり検知精度の向上が期待できます。近い将来、異常をきたす要因が特定されれば、デバイスでの予兆検知も可能になるでしょう。
次世代医療を見据えた変革
個人用デバイスだけでなく、病院内で使用する診断装置においても大きな変化が起き始めています。2018年4月、AIによって診断する装置の販売認可をFDAが初めて与えました。最終的に医師の判断が必要な装置ではあるものの、このFDAの判断は医療におけるAIの役割を大きく変える出来事だと言えます。今後AIのみでの診断を可能とする装置は増加し、医師の役割、医療の在り方に変革をもたらすでしょう。
2017年、FDAは個々の医療用ソフトウェアを審査・承認するのではなく、それを開発する企業を先に認定することでFDAに提出すべき情報を簡素化し審査を効率化する取り組みを始めました。この流れは臨床領域へのIT企業の参入を拡大させ、医療へのITの影響力をより一層拡大させていくでしょう。
2017年、FDAは個々の医療用ソフトウェアを審査・承認するのではなく、それを開発する企業を先に認定することでFDAに提出すべき情報を簡素化し審査を効率化する取り組みを始めました。この流れは臨床領域へのIT企業の参入を拡大させ、医療へのITの影響力をより一層拡大させていくでしょう。
期待が高まるデジタル治療薬
世界の認知症患者数は2050年には1億5200万人に達すると予測されています(※2)。しかし、近年、大手製薬会社が認知症治療薬の開発から相次いで撤退を発表しており、認知症の根本的な治療薬の開発は混迷を極めています。
そこで、注目されているのが、デジタル治療薬です。これは、ソフトウェアとデバイスで実現される非薬物治療であり、認知症向けに、記憶をデジタルデータとして記録して簡単に取り出せる仕組みが開発されています。過去の体験、思い出に触れることで記憶へのアクセスを回復できる可能性があります。また、ADHD(注意欠陥・多動性障害)に対して、ビデオゲームを利用したデジタル治療薬が開発されました。デジタル治療薬は、日常的に簡易に利用できるテクノロジーを利用することで、患者が積極的かつ継続的に治療を受けるようになるといったアドヒアランスの向上も期待できます。デジタル治療薬やウェアラブルデバイスの活用が広がれば、日々の生活の中での定常的な治療を実現し、予防、診断、治療が一体化された医療を実現し、社会的コストの抑制にも寄与していくでしょう。
そこで、注目されているのが、デジタル治療薬です。これは、ソフトウェアとデバイスで実現される非薬物治療であり、認知症向けに、記憶をデジタルデータとして記録して簡単に取り出せる仕組みが開発されています。過去の体験、思い出に触れることで記憶へのアクセスを回復できる可能性があります。また、ADHD(注意欠陥・多動性障害)に対して、ビデオゲームを利用したデジタル治療薬が開発されました。デジタル治療薬は、日常的に簡易に利用できるテクノロジーを利用することで、患者が積極的かつ継続的に治療を受けるようになるといったアドヒアランスの向上も期待できます。デジタル治療薬やウェアラブルデバイスの活用が広がれば、日々の生活の中での定常的な治療を実現し、予防、診断、治療が一体化された医療を実現し、社会的コストの抑制にも寄与していくでしょう。
遺伝子、脳領域へのデジタル介入の拡大
デジタルの力は脳や遺伝子等の領域にも介入を拡大し、新たな医療技術を実現しつつあります。近年、脳波を測定可能な安価なヘッドセットの登場により、脳波の状態をモニタニングし脳のトレーニングを行うニューロフィードバックによる治療をスマートフォンアプリでどこでも受けることが可能になってきました。また、遺伝子編集技術は難病の根本治療を実現する技術として期待されるとともに、低価格で迅速な診断への活用にも期待が高まりを見せています。
バイオテクノロジーとデジタル技術の融合により、生体材料を使って3Dプリンタで皮膚や角膜、肺の3Dプリントに取り組む企業や研究が存在しています。実用化には時間がかかりそうですが、将来ドナー不足の問題は過去のものになるでしょう。このように生命課題への挑戦は本格化している一方で、人間への遺伝子編集やバイオ兵器といった新たな問題が顕在化し始めました。倫理指針・原則の構築や脅威への対策等、新たな技術にどう向き合っていくかが、人類の生命課題解決の鍵を握っているのかもしれません。
バイオテクノロジーとデジタル技術の融合により、生体材料を使って3Dプリンタで皮膚や角膜、肺の3Dプリントに取り組む企業や研究が存在しています。実用化には時間がかかりそうですが、将来ドナー不足の問題は過去のものになるでしょう。このように生命課題への挑戦は本格化している一方で、人間への遺伝子編集やバイオ兵器といった新たな問題が顕在化し始めました。倫理指針・原則の構築や脅威への対策等、新たな技術にどう向き合っていくかが、人類の生命課題解決の鍵を握っているのかもしれません。
※1「NTT DATA Technology Foresight」特設サイト
http://www.nttdata.com/jp/ja/insights/foresight/sp/index.html
※2世界の認知症患者数は2050年には1億5200万人に達すると予測
World Alzheimer Report 2018