COVID-19前後で何が変わったのか?
マイナス金利、資金需要低下、低金利など収益環境の悪化、国内人口の減少、ネット銀行やクラウドファンディングの台頭による金融マーケットの激化など、金融業界をとりまく外部環境は大きく変化しています。国内の金融機関の純利益は減少傾向で、ビジネスモデルの変革が喫緊の課題です。
加えて、COVID-19による世界的パンデミックは金融業界が変革期を迎える大きな転換のきっかけとなりました。COVID-19が同業界に与えた変化についての見解をご紹介します。
第一に、金融ニーズの変化です。取引先企業の運転資金が逼迫していることを背景に、貸出残高が急増、また、貸倒引当金の積み増しが進行し、銀行の業績悪化が顕在化しています。
次に、金融機関の取引先の業績変化です。 外出自粛や休業要請により、大衆の趣向や動向に変化し、例えば、外食産業の売上は前年同期比で大きく減少した一方、FX取引額は急増しています。金融業界においては、融資先及び内容の基準をタイムリーに見直す事態となっています。
第三に、顧客接点のチャネル変化です。外出抑制で非対面取引が拡大する一方、店舗来客数が減らない事例もあります。対面/非対面の棲み分け、顧客へのサービス・サポートの提供が課題であることを示しています。
では、金融機関は、COVID-19とどのように向き合うべきなのでしょうか。デジタル化の加速を追い風にしつつ、顧客とのタッチポイントの見直し・業務のデジタル化を含めた顧客体験の向上と、テレワークへの対応など組織における従業員体験の向上の両輪がうまく回るよう検討し、Withコロナ時代の新たなコミュニケーションの再始動を行う必要があると考えています。具体的には、「顧客の顧客」をより意識し、「B to B to X」のアプローチを実践し、1 to 1コミュニケーションによるロイヤリティの向上と、金融そのもの以外の新規サービスを創出・提供する役割を金融機関は担っていくのだろうと考えています。
新たな金融機関像
Withコロナ時代における金融業界の変化とは?
前述の通り、顧客接点のチャネル変化に伴い、リアル店舗の役割も大きく変化しています。リアル店舗でのタッチポイントは、接触レスな取引手段であるロボットによる無人対応、決済の完全タッチレス、非接触サービスなど、デジタルを活用したソーシャルディスタンスへの注目が高まっています。
COVID-19の流行以前、デジタルの活用はコストカットと利便性向上に焦点が当たっていました。しかし、Withコロナ時代において、デジタルの活用範囲は、対面接客と同等、ないしは、それ以上に、顧客にサービスやサポートを提供し続け、顧客ロイヤリティを確保する手段として活用されつつあります。
また、従業員のビジネス環境・形態も大きく変化した。出社人数の制限により、従業員は在宅勤務への切り替えや、AIなどのツールを用いた省人化も進みました。特に、コンタクトセンタの運営においては、顕著な変化が起きていて、今後も業務の効率化・自動化や、バーチャルなチーム・人財育成が進むであろうと考えています。
企業は、顧客体験(CX)の向上のみにフォーカスするのではなく、従業員の体験(EX)にも同等の満足度を高めることに意識を置くことが重要です。従来、CXとEXは個別アプローチでデジタル化が進んできたが、一気通貫のアプローチが一気に加速していることは、特筆すべきことでしょう。
今後の金融業界における新しいコミュニケーションの方向性は、リアルとデジタルどちらでも同等の顧客体験を提供するデジタルツインを実現する社会へとシフトすると考えます。ポイントはリアル性を追求しつつ、リアルとデジタルを融合したハイブリット型かつスピーディーな価値提供です。
金融業界の変化に対応するポイントとは?
新たなコミュニケーションにおいて、お客様への価値を提供するには、いかに精緻なカスタマージャーニーを描けるかが重要な要素となります。チャネルは多様化が進む一方、シームレスかつ情報の一元化に対応できる柔軟性の高いソリューションを企業は目利きする必要があります。お客様との接点のあらゆるフェーズにおいても顧客体験を提供するかが肝で、NTTデータの提供価値を、1つのカスタマージャーニーを用いてご紹介します。
ペルソナとして30代共働きの夫婦が生活スタイルの変化に伴い、ローン申し込みを検討するというカスタマージャーニーを例に、各フェーズにおいてのポイントを解説します。
「30代共働き夫婦におけるローン申し込み」におけるCX(シナリオ)
(1)認知フェーズ
認知のフェーズにおけるキーワードは多様な顧客接点をとらえ、シームレスにつなぐことです。複雑化する顧客接点チャネルや、金融機関が従来から保持する勘定系システムには、あらゆるデータが蓄積されており、これらのデータを集約・分析をもとに広告などの適切なマーケティング施策を迅速に打つことがカギです。NTTデータでは、あらゆるチャネルを連携させるCXMソリューションとSalesforceのデジタルマーケティングの代表格の製品であるMarketing Cloudをつなぎ、適切なマーケティングをスピーディーに提供します。
(2)検討・契約フェーズ
検討・契約のフェーズにおいてはお客様フレンドリーなサイトを素早く構築し、WEB完結の高度な顧客体験を提供できるかが重要です。NTTデータグループでは、岩手銀行様へWEB完結型のローン申し込みサイトを導入いたしました。24時間365日いつでもどこでもローン申込できる顧客接点の入口を設け、審査などの全てのプロセスをWEBのみで完結させ、お客様の場所・時間を問わない接客応対品質と迅速性を実現したことがポイントです。
WEB完結型ローン申込サイト構築
- Salesforce Financial Services Cloudを活用しWeb完結可能なローン申し込みサービスのためのWebサイトを 構築、開発期間6か月で2021年3月に提供開始予定
- 本サービスにより、お客様は24時間/365日でローン申し込み、申し込みに必要な本人確認書類や資金使途資料 などの電子ファイル送付が可能となり、申し込みから契約手続きまで来店不要で完結
(3)契約フェーズ
契約・アフターフォローのフェーズにおけるポイントを2つに分けて、ご紹介します。
1つ目はお客様の企業との接点・問い合わせに対する障壁を下げ、多様なチャネルから気軽にチャットなどを活用してシームレスに問い合わせ・応対することです。顧客様とのQ&Aの中で、正確な回答をするオペレーター支援も重要です。NTTデータはあらゆるチャネルを集約し、データを活用して、オペレーターを支援する仕組みを提供できます。
また、データの活用は、クロスセルや新規キャンペーンにも利用範囲が広がり、重要な要素となります。いかに活用するかがポイントになります。集約データに対して、Intelligent search機能を用いて、意味づけをし、より深い示唆をあたえます。
Salesforce製品は「Customer 360」という顧客情報を全方位に可視化する概念を実現することが特長的で、大きな支持を得ていますが、NTTデータのABLERブランド内のソリューションであるiTreasureという製品を連携させることでプロダクト、テクノロジー、エンプロイーなどの情報を全方位、Anything 360°を実現し、相互のソリューションが連携することで、多角的な情報の分析から顧客フォローまでを一気通貫でサポートします。
オンライン接客とCom Analyzer®,Salesforceの連携活用イメージ
(4)アフターフォローフェーズ
アフターフォローフェーズでは、非対面/対面どちらも同等の体験を提供することが肝心です。非対面での顧客応対が主流となってきている中で、NTTデータのCom Analyzerは営業担当者と顧客の表情・声から感情変化や発話の特徴等を分析して、これまでブラックボックスになりがちだった接客プロセスや接客技術を客観的に可視化します。
これにより接客の品質向上を図ることができ、非対面/対面いずれの応対においても価値を提供します。
Withコロナ時代においては、あらゆるデータソースの集約・インサイトをもとに、1 to 1コミュニケーションの実現が金融機関に求められます。NTTデータは、CRM、BI、AIと、テクノロジーを活用し、顧客360°、従業員360°およびAnything 360°を実現し、ビジネスチャンスの創出に繋げ、企業の多角的かつ柔軟な戦略に基づいたデジタルサクセスを支援します。
※本記事で参照している画像等は、2020年10月27日(火)に、セールスフォース・ドットコム社との共催セミナ資料を抜粋または編集しております。
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