NTTデータのマーケティングDXメディア『デジマイズム』に掲載されていた記事から、新規事業やデジタルマーケティング、DXに携わるみなさまの課題解決のヒントになる情報を発信します。
アバターにできる?東急ハンズさまの実演販売「ヒントショー」
2020年10月16日~12月15日に東急ハンズさま5店舗で実施したアバター遠隔接客の実証実験。
前編の記事では、実証実験の前半に行われた「東急ハナ」ちゃんによる化粧品の接客模様をご紹介しつつ、専用にデザインされたアバター、接客データの見える化、さまざまなロケーションから手軽に接客できる機能など、アバター遠隔接客のポイントをお伝えしました。
今回、この後編では、実証実験の後半に行われた、ヒントショー・スタッフのアバター「きむら」くんによる接客を編集部員が体験します。ヒントショー・スタッフとは、東急ハンズさまの実演販売専任スタッフで、豊富な経験と知識を活かし、普段は店頭にてヒントショーと呼ばれる実演を行っています。
お客さまが東急ハンズさまでヒントを見つけ、くらしを創り出し、そして東急ハンズさまもお客さまから明日のヒントをもらっていく。そんな東急ハンズさまのめざす「ヒント・マーケット」という考え方を体現しているともいえるヒントショー・スタッフ。スタッフがその場で実際に商品を使って見せてくれるイメージの強い実演販売が、アバターにもできるのか。そんな疑問を持ちながら、編集部員が実際に体験してきました!
お客さまが実演?!「きむら」くんのヒントショーに魅せられて
街に楽しげな音楽が流れ始める季節、編集部員が訪れたのは……
そう、東急ハンズ新宿店です!今回のアバター遠隔接客は、インテリアを扱うフロアで体験できるとのこと。早速その5階に上がってみると、加湿器がずらりと並ぶ特集コーナーを発見しました。
色とりどりでさまざまなサイズの加湿器に、思わず目を奪われます。立ち止まって見ていると、誰かが話しかける声が聞こえてきました。
「こんにちは、今日は加湿器に詳しいきむらくんがご紹介させていただきます。」
きょろきょろとあたりを見回すと、商品棚に設置されたディスプレイに手を振る人の姿が映っています。
「突然話かけられて驚いたと思いますが、リモートで接続して、遠くからご案内するという新しい試みを実施させていただいています。」
ご察しの通り、画面越しに話しかけてくれたのが、遠隔接客を行うアバターの「きむら」くんです。対面での実演販売と同様に、スタッフの方から来店したお客さまに声掛けをしています。たしかに少し驚きましたが、ふらりと立ち寄ったお客さまにとっては、生身のスタッフに突然話しかけられるより圧迫感は少ないかもしれません。
きむらくん「お客さまは加湿器をお探しですか?」
編集部員「いや、クリスマスプレゼントにちょうどいいものを探していて、たまたま加湿器が目につきました。」
きむらくん「そうですね、候補の一つにしてもよろしいかと思います。プレゼントのご予算はいくらくらいですか?」
編集部員「3000~5000円くらいです。」
きむらくん「そうすると、今年東急ハンズで一番売れている加湿器がこちらでございます。」
きむらくんの言葉とともに画面がパッと切り替わり表示されたのは、加湿器の画像です。
きむらくん「この商品、いま画面の真下と、お客さまの左手にはお水が入ったサンプルもあるかと思います。商品名は……」
なるほど、視線を左にずらすと、色違いですが、写真と同じ商品がありました。たくさんの商品が並ぶ中で、写真を手掛かりに簡単に見つけることができました。
きむらくん「展示されている商品からは、ミストが出ていますか?真ん中から柱のように出ているか、写真のようにもわもわとした煙が出ているでしょうか?」
編集部員「写真みたいな煙が出ています。」
きむらくん「これがいいんです。インテリアとしてもすごくおしゃれですよ。あと、よかったらお月さまのマークのボタンを押してみてください。ライトの色が七色に変わります。」
ピッと押してみると、確かに色が変わりました!でも、加湿器ってお手入れが面倒なイメージ……。そんな編集部員の懸念を察したかのように、きむらくんが続けます。
きむらくん「この商品、私の一押しでして、なぜかというと扱いもしやすいんです。画面の真下にある同じ商品の蓋を持ち上げて、開けてみてください。」
蓋を開けると、白い受け皿になっています。ボタンを押したり、蓋を開けてみたり、スタッフが実演するのではなくお客さまに実際に使ってもらうことで、実演販売になっているのですね。自分の手で操作することで、ボタンの押しやすさや本体の軽さなども体感できます。
きむらくん「この受け皿に水を入れて、その水を一日一回取り換えるだけで清潔に使えます。」
編集部員「毎日掃除しなくてもいいんですか?」
きむらくん「はい、朝に水を入れたら夜に捨てるだけで大丈夫ですよ。なぜかというと、SIAAマークというのが付いていて……」
今度は画面に、SIAAマークの説明が表示されました。口頭だけでは説明しづらい内容も、効果的に説明画像や写真を使うことで、わかりやすく聞くことができます。
その後も、同シリーズの他製品との違いや、お勧めの色など根掘り葉掘り聞いた編集部員。だいぶこの加湿器に気持ちが傾きつつも、もう少し他の商品も見てみたい気もします。
きむらくん「東急ハンズは他にもいろいろとプレゼントになるものがありますから、ぜひご覧になってください!それでは、失礼いたします。」
編集部員「はい、ありがとうございました!」
きむらくんの接客終了後には、画面にプロモーション動画が流れ、ここでも一押しの加湿器情報を確認することができました。きむらくんともう一度話したい場合は、ボタンをタッチして呼び出すことも可能です。
対面の実演販売だと、話を聞いたからには買わないといけないのでは?と余計なプレッシャーを感じがちですが、アバターを通しての実演では気負わずに買い物できるように感じました。とはいえ、接客のプロであるヒントショー・スタッフが“中の人”を務めるきむらくんのトークにすっかり魅了された編集部員。もともとまったく買う予定のなかった自分向けの加湿器にも手を伸ばしそうになったのでした。
今後も楽しみ!リアルとデジタルを融合するデジタル店舗の実現へ
今回の実証実験は2020年12月15日に終了しましたが、前編・後編2つの記事を通して、アバター遠隔接客が幅広い接客シーンで活用できることを疑似体験いただけたのではないでしょうか。
今後、東急ハンズさまとNTTデータは、この実証実験で得られた結果を活用し、さらなる接客コミュニケーションの変革・普及を推し進める予定です。活用店舗や接客シーンの拡大はもちろん、eコマースサイトにおける自宅での接客なども視野に入れていますので、ぜひ今後の展開にご期待ください。また、NTTデータとしては、決済ソリューション「CAFIS®」との連携を始めとしたさらなるサービス拡充も検討しています。このデジマイズムでもたびたび紹介しているレジ無しデジタル店舗「Catch&Go™」と同様に、店舗運営全体のリアルとデジタルをシームレスに融合する、デジタル店舗の実現をめざしていきます。