1.RevenueOpsとは
昨今、RevenueOps(Revenue Operations:レベニューオペレーションズ)という概念が海外で急速に発展してきています。RevenueOpsとは、マーケティング、セールス、カスタマーサクセス、財務・会計情報を統合し、データドリブンで効果的・迅速に経営判断を行い、収益最大化を目指す取り組みです。
以前から、経営判断にデータは活用されていますが、更に財務・会計データを取り入れ、ビジネス戦略・アクションに対する収益予測を含むビジネスサイクルの一連のプロセスをデータ駆動型で行う点が新しい概念になります。
2.RevenueOpsが注目される背景
RevenueOpsが重要視され始めた背景として、ビジネス環境と技術環境の変化が影響していると考えられます。
ビジネス環境の変化
近年、製品の性能や品質の均一化により、他社との差別化要素を生み出しにくいコモディティ化が急速に進みました。そのため、企業はモノを作って売るだけでは収益が上がらなくなり、顧客がモノを買って得られる付加価値サービスにより収益を得る仕組みが求められるようになってきました。
また、消費者の価値観が「モノ」の所有から「コト」の消費へ変化したことにより、サブスクリプションサービスが急速に発展してきました。
このようなビジネスモデルにおいては、利用ユーザの満足度を維持・向上するために、サービス提供後も、利用者ニーズの変化を迅速に捉え、ユーザの要求を的確に捉えた新たなサービスを他社に先駆けて展開していく必要があります。
例えば、定額制動画配信(SVOD)の市場でシェアNo1のNetFlixでは、平均5.8日間隔でのアプリリリースを実現しています。同市場における他社と比べて短期間でユーザニーズへの最適化を重ねることで、ユーザ獲得数を伸ばしています。(※)
このように、市場の変化に追随し、サービスを改善していくことがサービス価値向上に繋がり、これを実現するためのデータ活用基盤となるRevenueOpsの重要性が高まっています。
技術環境の変化
技術環境の側面では、SaaS(Softwear as a Service)の発展で、ローコード、ノーコード系ツールを用いたソフトウェア開発の自動化が進み、高速に新規サービスを開発できるようになったことがRevenueOpsを後押しする要因の一つと考えます。例えばノーコード系のテストツールにおいて、従来はオープンソースのものが主流でしたが、SaaS型のテストツールが普及することで、より手軽にツールを活用できるようになりました。
3.RevenueOpsを実現するためのキーファクター
ソフトウェアやシステムを開発するプロジェクトでは、QCD(品質・コスト・納期)の管理が重要です。中でも、日本では品質が重視され、納期を遅らせても高い品質の製品を作ることが求められる傾向がありました。しかし、前述のように消費者の価値観の変化が起こる中では、十分な品質で提供した製品であっても、時が経つにつれて利用者の満足度が低下していくことがあります。
そこで、製品を利用者に提供するだけでなく、その製品がもたらす価値を維持し続ける必要が生じます。そのために、製品を利用者に届ける「サービス」を対象とし、「サービスの品質」を継続的に管理していきます。これは、プロジェクトマネジメントに代わって主流となっている「プロダクトマネジメント」にも通じるものです。プロダクトマネジメントを通してサービス品質を保証し続け、顧客に価値を届けることが、DX時代のビジネスを成功させるためには欠かせません。
4.NTTデータの取り組み
現状、データ収集からアクションプランの策定・収益予測まで一体となったRevenueOpsを実現するためのプラットフォーム基盤は存在せず、様々なサービス、ツールを組合せる必要があり、時間もコストもかかる状況です。そこで、NTTDはワンストップでRevenueOpsを実現可能とするプラットフォーム環境の構築を目指します。