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2022.1.21技術トレンド/展望

運用と開発の間で管理情報をスムーズに連携する方法とは

運用と開発の管理ツールが異なるケースは増えており、それにより情報連携時に手作業が発生、作業効率低下につながるという課題が生じている。1つのツールにまとめる方法もあるが、運用と開発の多様化により、それぞれのツールを適材適所で活用するという方法もある。本記事では、その検証と事例、今後の展開について説明する。
目次

1.運用と開発の管理ツールの現状

運用の現場では、情報管理のツールとしてServiceNow®(※1)が市場拡大している一方で、開発の現場ではCI/CDの普及等により、開発の管理ツールとして開発資産リポジトリと連携したチケット管理システムの導入が進んでいます。
NTTデータでも、運用ではServiceNowの導入が進んでいますが、開発では社内向けにチケット管理ベースのプロジェクト管理ツールPM Workbench®(※2)を用意し、社内に展開しています。
運用と開発それぞれで目的に即し別々の管理ツールを利用するというハイブリッドなケースは、当社に限らず今後も広まっていくと考えられます。

(※1)

ServiceNow、ServiceNowロゴ、Now、およびその他のServiceNowマークは、米国およびその他の国におけるServiceNow, Inc.の商標または登録商標です。

(※2)

PM Workbench®は、進捗管理、品質管理、問題課題管理、構成管理、スコープ管理、コミュニケーション管理、運用管理、テスト管理のそれぞれの機能を持つSaaSベースのNTTデータ社内ツールです。登録商標です。

2.別々のツールを使うことの課題

もちろん、運用と開発の各フェーズで、別のツールを利用することは以前からありました。その際に課題となるのが、運用ツールから開発ツールへの転記が必要なケースです。
運用中に発生したアプリケーションのトラブルを開発にエスカレーションする際に、インシデントの情報を定型帳票に転記して渡す、もしくは開発メンバが運用ツールを参照し、開発ツールに転記するということが行われていました。
この人手を介した情報の連携(手動転記)が、現場での作業効率低下の課題となっています。
さらに更改や機能拡充等、運用と開発が同時期に行われるケースも増えてきているため、この課題の影響は大きいものと推察しています。

3.課題解決へのアプローチ

この課題に対し、1つのツールに統合していく方法もありますが、ツールの特性を踏まえ適材適所で使用することで、より効率が上がると考えられます。1つのツールにする場合、当然どちらかのツールを変えることになり、それに伴うフローや管理項目の追加・変更、変更する側の教育(時間とコスト)等のハードルがあるためです。
私の担当ではこれらの課題に対しどのようにツール連携させ解決するか模索していましたが、同時期に、ServiceNow®とPM Workbench®を使っている金融部門のプロジェクトから2つのツール連携に関するご相談を受けました。「導入コストを最小限に」「現行のワークフローを変更しない」ように連携できないものかというものです。そのため、こちらのプロジェクトをモデルケースとしてツール連携の検討、実装、試行導入を行いました。
主な実装内容としては、ServiceNow®側のレコード変更をトリガーとしてPM Workbench®側に変更データを反映する同期機能や、同期機能にてエラーが発生した場合にエラー内容を管理者にメール送付する通知機能を実装しました。
この仕組みを試行導入した結果、試行導入先の課題であった「導入コストを最小限に」「現行のワークフローを変更しない」という2点を解決でき、高い評価を得ました。

図:ServiceNowとの連携

図:ServiceNowとの連携

4.ツール連携によるメリット

ServiceNow®とPM Workbench®間を連携することで、「導入コストを最小限に」「現行のワークフローを変更しない」という2点のメリットに加え、以下の3点のメリットが得られました。

  • リアルタイムでの情報連携
    ServiceNow®とPM Workbench®でそれぞれ対となったチケットを自動連携することで、チケットの新規作成・変更をリアルタイムで相手側に反映することができます。
  • 利用中のツールへの影響なし
    中継サーバ導入し、各ツールの基本機能で実装しているため、運用と開発それぞれで使用しているツールを変更することなく継続利用を可能としています。
  • 連携情報を他の管理情報に紐づけ可能
    PM Workbench®側では連携したインシデント情報からバックログや課題の紐づけが可能です。

5.ツール連携の詳細と汎用化

ServiceNow®とPM Workbench®間でのデータ連携を実現するためには、データ同期処理を行うスクリプトの作成や、両ツールでの各種設定作業が必要となります。NTTデータでは、これらのスクリプトや各種設定手順を、様々なプロジェクトで汎用的に利用可能となるよう考慮して整備し、全社展開しています。また、導入プロジェクトによる実運用から得られたフィードバックを受け、設定した内容の不備をチェックするためのチェックツールや、トラブルシューティングを効率的に行うためのログ参照方法に関するノウハウ等を展開しています。

6.その他の事例

PM Workbench®の問合せ対応では、一次受けでヘルプデスク支援サービスのZendesk(※3)を利用しています。Zendeskを複数ツールの一次受けとして利用しているため、ツール独自の項目を管理することは難しい状況です。そのため、ツール独自の項目の管理をPM Workbench®自体で実施しています。
ツール独自の項目は、問合せの傾向分析に活用し、分析結果から回答内容の改善やFAQの改善(追加・修正)のPDCAを廻しています。
以前は、一次受け側のZendeskと、それ以降の対応をするPM Workbench®間で、手動による情報連携を実施していました。そのため、年間800件近くの問合せとその回答の度に手動で情報連携することが大きな課題となっていました。
この課題に対して、ServiceNow®連携と同様な仕組み(中継サーバ構築、API、サービスフックの実装)で自動連携できないかを検討し、実装したことにより手動箇所が自動化され、PM Workbench®側の問合せ管理の稼働を3割減少することができました。

(※3)

Zendeskは、Zendesk, Inc.の商標または登録商標です。

7.今後の展望

今回の2件の事例を含め、蓄積したツール連携のノウハウをベースにさらなる効率的な運用・開発を実現していきます。

- NTTデータは、「これから」を描き、その実現に向け進み続けます -
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