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2022.2.25事例

女性活躍が生み出す新しい価値~International Women's Day 2022~

NTTデータが推進するD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)。女性活躍はその柱のひとつだ。女性が活躍し組織に多様性が生まれることで、企業はより元気に、そして強くなる。女性活躍を始めとした多様性によって、どのような新しい価値が生み出されているのか。今回は、NTTデータの女性執行役員と、新サービスのプロダクトオーナーである女性社員に話を聞くとともに、活躍を後押しするNTTデータの取り組みに迫る。
目次

新しいアイデアとビジネスは多様な人財から生まれる

『International Women's Day』。毎年3月8日、国連が女性の十全かつ平等な社会参加の環境を整備するよう、加盟国に対し呼びかける日だ。SDGsの目標にも「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」が採択されており、昨今は特にその重要性が高まっている。

国だけでなく、企業にとっても、女性活躍は喫緊の課題だ。グローバルに展開し、よりサステナブルな社会への貢献をうたうNTTデータも、重要な経営戦略のひとつに位置づける。国籍・年齢・障がいの有無・雇用形態・文化や慣習・ライフスタイル・価値観・性的指向・性自認などを問わず、多様な人財がその能力を最大限に発揮し、活躍し続ける環境づくりを重要項目に設定。「ジェンダーの平等」にも積極的に取り組んでいる。

NTTデータの執行役員で、成長のための全社投資とガバナンスを中心に、NTTデータのグローバル戦略の立案・推進に携わる豊田麻子は、コーポレート統括本部グローバル戦略室長として日々D&Iを実感しながら働いている一人だ。
「現在は、グローバル戦略室で、1)グローバルビジネス成長の加速化、2)グローバルガバナンスの強化、という攻めと守りの両輪を回しながら、国内外のグループ会社とともにグローバルレベルでの連携シナジーを効かせ、会社のグローバルビジネス成長を図るための各種施策や取り組みを進めています」

豊田はNTTデータに入社して以来、NTTデータのグローバルにかかわる業務に従事してきた。グローバル戦略室に異動する前の上司は米国人で、国籍や性別の違いというだけではなく、仕事の進め方や慣習など、常日頃から多様性に触れていたという。
またNTTデータに入社する前は、総務省でICT政策や放送政策に関わる仕事に従事。総務省在職中は、総務省だけではなく、在外大使館、研究機関、自治体など、いろいろな組織での勤務を経験するなど、自身の経歴も“多様”である。

執行役員 コーポレート統括本部 グローバル戦略室 室長 豊田 麻子

執行役員 コーポレート統括本部 グローバル戦略室 室長
豊田 麻子

「グローバル戦略室のガバナンス関連の業務は、グローバルの業務だけではなく、国内の業務も多く、実は国内の公共、金融、法人の各分野や国内のグループ会社との調整ごとも多いです。これまではAPAC地域における営業、グローバルアカウント、グローバルマーケティング、グローバルインダストリーについて、海外グループ会社を含めたNTTデータグループ一体で取り組む『One team』の立ち上げ・運用等を担当しており、グローバルという観点でD&Iを意識してきました。グローバル戦略室に異動してきてからは、グローバルの観点に加え、日本の中でも、分野やグループ会社の違いにより文化が異なり、考え方が異なるということを学び、“海外だから、国内だから”、“男性だから、女性だから”ということだけではなく、多様性はいろいろなところに存在することを改めて認識しました」(豊田)

さまざまな所に存在する多様性。その最も身近なものの一つが、ジェンダーだろう。豊田は、仕事でやりとりをしていた海外グループ企業の外国人女性管理職のメンバーとグローバルの女性活躍イニシアティブ『WIN(Women Inspire NTT DATA)活動』を設立。2018年には、冒頭の『International Women's Day』に関連する取り組みにNTTデータとして初めて参加した経験を持つ。

「コロナ前に、海外グループ会社であるNTT DATA GermanyやNTT DATA UKの女性管理職のメンバーが中心に企画した、お客さまを招いてのD&I、LGBTセッションに参加したことがあります。お客さまも普段のビジネストピックの議論とは異なり、いい意味でオープンに本音ベースのお話をしてくださるなどお客さまとの距離も縮まり、ビジネスにもいい影響を及ぼしていると実感しました。こういう取り組みはこれまで日本でも一部実施していますが、今後はD&Iの活動をはじめサステナビリティの活動なども、どのようにビジネスの話につなげていくかということも、もう少し踏み込んで考えていくことが必要です」(豊田)

また豊田は、女性執行役員の一人である自らの役割についてこう述べる。

「当社では役員の女性登用も以前に比べて積極的に行われていますが、未だ、大学を卒業してから長年NTTデータのビジネス部門で勤めてきた男性が過半を占めています。そうした中、女性でかつ経験者採用で入社した私が役員に登用された意図としては、業務経験に加え、多様性の受け入れ、若い世代へのエールなどがあると考えています。今後も、少しでもそういう期待に応えられるよう、自分がこれまでの経験で得た知見を活かし、少し違う観点からの見方を大切にして、職場の人々や若い世代の人たちにいい意味で刺激を与えられるよう頑張っていきたいと考えています」(豊田)

時々刻々と変化するグローバル環境にさらされる中で、これまでに比べてより一層、瞬時の柔軟な対応が求められる現代。「こうした状況に適切に対応していくためには、会社としても多様性を持っていることが強みになり、今後も、D&Iや女性活躍をより積極的に推進していくことが大事と考えています」と豊田は語る。

「IT業界が変革していく中、NTTデータもこれまでの安定的なポジションに甘んじているのではなく、積極的に時代のトレンドを先取りし、ビジネスを推進していく必要があります。サービスの内容も変わりますし、私たちの根幹であるITシステムの開発そのものの進め方も大きく変わりつつあります。そうした中で、これまでのように、本社社員(特に幹部)の大半が日本人男性、また年功序列といった制度に縛られている会社は、どうしても考える方向性が似てくると思います。これからの会社では、多様な人財が働いていることにより、新しいアイデアが創出され、新しいビジネスが開拓されるという循環を作り出すことが必要であり、その実現にあたっても、D&Iや女性活躍は、会社にとって非常に大きな価値を生み出すと考えています」(豊田)

豊田は「優秀な方々も多く、会社としても各種の取り組みで後押しをしていくわけですが、当事者の方々も、ぜひ、自身に限界を作らず、大いにアイデアを出し、時に主張し、時に妥協し、殻をどんどん破っていってほしいと思います」と女性社員への期待を口にする。

豊田の指摘する、自ら主体的に新サービスを立ち上げた女性のひとりが、ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部の新原友美だ。

女性視点を始めとした多様性があることで、サービスに厚みが生まれる

入社以来、決済関連の部署で開発、新規企画、営業に携わってきた新原。2015年には、約1年間の育休を取得。復帰後は子育てとフルタイム業務を両立させており、産休、育休を経て復帰したばかりのメンバーから相談を受けることも多いという。現在は、レジ無しデジタル店舗出店サービス『Catch&Go?』のプロダクトオーナーを務める。

『Catch&Go』は、店舗の上部に設置したカメラと商品棚の重量センサーによって手に取った商品を認識。事前に決済手段を登録しQRコードで認証入店することで、レジで支払いをせずとも商品を持ち帰れるサービスだ。賞味期限の短い商品の見切り販売をスマホアプリで通知する機能も備えており、2021年9月からはダイエーと共同でNTTデータ社内にウォークスルー店舗をオープンした。

ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部 課長 新原 友美

ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部 課長
新原 友美

新原は本店舗について、「いままでのお店とは、お客さまの顧客体験も働く従業員さんの体験も、ガラッと変わる新しい店舗」と語る。サービス設計にあたっては、女性である自分の視点を始めとして、多様な見方が活かされたという。

「自分も消費者として、スーパーやドラッグストアで買い物をします。そういった経験も踏まえて、幅広い視点でどういった顧客体験をお客さまに提供すべきかを決めていきました。このサービスを使う人のペルソナを作り込むときは、30代女性で、子どもを保育園に預けていて、フルタイム勤務の女性も考慮。時間がない中で、このお店でさっと買い物ができたら嬉しいし、お店からアプリを通じてサポートを受けられるといいと考えました」(新原)

そういった視点から生まれたサービスのひとつが、賞味期限の短い商品の見切り販売をアプリで通知する機能だ。購買機会を増やし、フードロスの削減にもつながる。新原は、「私も見切り品を買うことはよくあります。このお店でも見切り販売というのは実現したかった。ただ、見切り品の重要性については男女によって温度差も感じました」と振り返る。

「お店でどういったサービスが受けられれば嬉しいか。そこは男女で大きく異なる。男女を始めとして、さまざまな視点がミックスされることで、誰もが使いやすいサービスになると感じています」(新原)

このプロジェクトでは、サービス設計以外にも女性の視点を意識することがあったという。それは、パートナーである海外ベンチャーとの提携である。

「創業メンバーのうちのひとりが女性で、重要なポジションを担っています。男女に関係なく能力のある人が事業をリードしていることに、非常に勇気づけられました」と新原。自らもプロダクトオーナーとして、サービス開発を主導する立場だからこそ、より痛感したのだろう。その立場として、常に気をつけていることがある。

「ロジカルで数字に強い人と、共感力などが高く感覚を重視する人がいると思います。私は共感・感覚の人間。だからこそ、論理的なメンバーと協力しながら、最適なサービスが生み出すことができる。プロダクトオーナーとして、互いの強みが活かせるようなチームにしたいと考えています」(新原)

新原が入社した当時、女性の管理職は少なかったが、今は自らもプロダクトオーナーを務めるように、男女による差はあまり感じなくなっているという。「NTTデータは子育てに主体的にかかわる男性社員も多く、育児と仕事を両立する女性社員の働き方にも理解があります。希望すれば育児期間中は時短勤務ができるし、意志次第でニーズにあった働き方ができます」と自らの体験を踏まえて話す。

D&Iへの理解だけに留まらず、全社員が行動に移すことが重要

新原の活躍にあるように、NTTデータでは女性社員の働きやすい環境が徐々に整えられてきた。その推進を担うのが、人事本部グローバル人事統括部ダイバーシティ推進室だ。課長の作田は、NTTデータのD&I、そして女性活躍の取り組みについてこう語る。

コーポレート統括本部 人事本部 課長 作田 明彦

コーポレート統括本部 人事本部 課長
作田 明彦

「D&Iは企業の成長・発展に必要と言われて久しいですが、今後はますます大事かつ必須なものになります。理解は当然のこととして、経営者、社員がともにその理解したことを行動に移すことが必要不可欠です。
NTTデータでは、D&Iに対する理解は深まってきましたが、全社員が十分に行動できているとはまだ言えません。SDGsで掲げられている通り、『誰一人取り残さない(leave no one behind)』を実現目標として、ワークショップやセミナーなどを実施して、一人でも多くの社員が行動に結び付けられるように推進していきたいと考えています」(作田)

今後は、女性学生や理系女性学生の応募をさらに増やしたり、経営層、管理職層における女性の割合を向上させたりする施策に力を入れるほか、女性活躍を進めるためには育児に参加する男性が増えることが必要と考え、男女の偏りなく育児・家事分担ができ、仕事と家庭の両立ができる環境整備、風土醸成もより進めていきたいという。そのために、2021年4月から2026年3月の5年間に渡る行動計画と数値目標を掲げている。

目標1:2025年度末まで継続して女性採用比率30%超を目指す
目標2:2025年度末までに女性管理職比率10%を目指す
目標3:2025年度末までに女性経営幹部数(役員、組織長など)15人以上を目指す
目標4:2025年度末までに男性育児休職取得率30%を目指す

これらの目標を達成するには、NTTデータに女性活躍の風土を醸成させる必要がある。作田は、「女性活躍やD&Iを力強く進めるためには、経営トップが自身の考えや意気込み、会社の方向性を自らの言葉で直接社員に語り、行動で示すことが大切です」と語る。人事担当役員である副社長の藤原も「お互いの違いを理解し尊重し合い、クリエイティブに能力を発揮してお客さま・社会に貢献する。これこそがNTT DATAの姿です」と社員に向けて発信している。

これまでも経営幹部のメッセージ発信、管理職対象のダイバーシティマネジメント研修や女性対象の社外研修などを実施してきたが、これらの施策を改めて見直したり、他社の優良事例を参考にカスタマイズして導入したりすることにより、効果的なものを追求し推進していくという。

NTTデータはこれからもIT業界のフロントランナーとして積極的に女性活躍やD&Iを進め、世の中にその影響を波及させ、よりD&Iが進んだ社会の実現に貢献していく。

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