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2022.2.28業界トレンド/展望

知っているようで知らない「AI」とは。言葉の定義から歴史、活用事例までを解説します!

今や、私たちの生活に身近なテクノロジーと言ってもよいAI。とはいうものの、いまだに遠い未来の話のようで、具体的にどんな技術がどう活用されているのかわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。人間に代わって「目・耳」「脳」「手足」として働いてくれるAIを導入・活用することは、生産性の向上や新たなCX(顧客体験価値)の創出に不可欠です。この記事でAIの定義や概念、進化の過程、事例を押さえておきましょう!

NTTデータのマーケティングDXメディア『デジマイズム』に掲載されていた記事から、新規事業やデジタルマーケティング、DXに携わるみなさまの課題解決のヒントになる情報を発信します。

「AI」ってそもそも何?

AIとは「Artificial(人造の、人工的な)」「Intelligence(知能)」の略語で、いわゆる「人工知能」を指す言葉です。

AIという言葉の歴史は古く、1950年代半ば、アメリカの計算機科学者・認知科学者であるジョン・マッカーシー氏によって生み出されました。1956年に米ダートマス大学で開催されたカンファレンスでは、AIをテーマにコンピュータ科学者による議論が交わされ、AIという言葉が世に広く知られるきっかけとなりました。

そのAIという言葉ですが、実は明確な定義は存在していません。というのも、後述するようにAIに関する研究領域は基礎分野から応用分野まで多岐にわたり、活用されている分野も実にさまざまです。それらの研究領域を統合して一言で言い表すことが難しいのです。
したがって、AIに関しては、一般的には次のようにおおまかな説明がされています。

「知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」
平成28年版情報通信白書/総務省
「大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うことを目指したもの」
一般社団法人 人工知能学会設立趣意書

「3つのブーム」を経て発展したAIの歴史

1950年代にその概念が提唱されてから現在にいたるまで、AIはいくつかのブームを経て進化を遂げてきました。そのAIのブームは、大きく3つに分けられます。ここでは「平成28年版情報通信白書(総務省)」を参考に、その歴史をまとめました。

「3つのブーム」を経て発展したAIの歴史

第一次AIブーム(1950年代後半~1960年代)

第一次AIブームでは、1950年代から60年代にかけてコンピュータによる「推論」や「探索」が可能となり、迷路の解き方や数学の定理証明といった特定の問題に対して解を提示できる研究が発展しました。

しかし、当時のAIでは、そういった単純な問題を扱うことはできても、さまざまな要因が絡み合う現実社会の課題を解くことはできないことが明らかになり、一転して冬の時代を迎えました。

第二次AIブーム(1980年代)

第二次AIブームは、1980年代に起こります。このブームは、専門分野の知識を取り込み、推論するプログラム「エキスパートシステム」の出現によってもたらされました。

エキスパートシステムでは、コンピュータが推論するために必要なデータを人間が与え、そのデータから特徴・ルールを掴み、法則化します。そして、新たにインプットしたデータをその法則に基づいて自動的に処理することで、あたかもその分野の専門家のようにふるまいアドバイスや診断を行います。このAIが実用可能な水準に達したことで、多数のエキスパートシステムが生み出されました。

ただ、このエキスパートシステムには、膨大な知識を人間が手動でコンピュータに記述する必要があるという根本的な問題がありました。そのため、1980年代後半以降にはブームの終焉を迎えました。

第三次AIブーム(2000年代~)

1990年代以降、コンピュータ性能が飛躍的に向上した結果、データ量が一気に増加しました。その大量のデータ(ビッグデータ)を用いることでAI自身が学習し、知識を獲得する「機械学習」が実用化されるようになりました。ただし、機械学習が開発された当初は、前提としてデータの特徴(特徴量といいます)を人間が定義づけする必要がありました。

その機械学習が2000年代に発展し、第三次AIブームをもたらす大きな技術革新が生まれました。それが、知識を定義する要素をAIが自ら習得する「ディープラーニング(深層学習)」です。ディープラーニングは、機械学習の一種です。しかし、それまでの機械学習と異なるのは、人間が介在してルールなどのインプットを与えなくても、AI自らが特徴づけを行い、学習を進めていくことを可能にしたことです。

そこに、ビッグデータやマシンの処理スピードの向上などが加わったことで、スーパーコンピュータなどを使わなくても、大量の学習データを読み込みながらかつ短時間で学習できるディープラーニングの技術が飛躍的に進化しました。それによって、世間のAIへの注目が高まり、さまざまな分野への実用化が一気に広がったのです。

ちなみに「AI」「機械学習」「ディープラーニング」の関係は、図のような関係となっています。

出典:「AI、機械学習、ディープラーニングの違いを説明できますか?機械学習と統計の違いは? markezine https://markezine.jp/article/detail/29471」

AIの基本的な機能は「識別」「予測」「実行」

AIの基本的な機能は「識別」「予測」「実行」

進化を遂げ、私たちの生活に身近な技術となったAI。具体的に、どのようなことを可能にする技術なのでしょうか?端的に言うと、AIの機能とは人間の持っている機能を代替、あるいは拡張することです。ここでは「平成28年版情報通信白書(総務省)」の分類にならい、「識別」「予測」「実行」の3つの機能に分けてご紹介します。

➀識別

「識別」とは、人間にとっての「目」や「耳」の役割を担う機能です。音声認識、画像認識、動画認識、言語解析などがあり、膨大なデータの中から正解・不正解を識別します。

<識別AIの事例>
・スマートフォンの顔認証機能(持ち主の顔をAIが識別しロックを解除する
・スマートフォンなどのAIアシスタント(「音楽をかけてほしい」「タイマーをかけてほしい」などの指令を認識して自動的にスマートフォンを操作してくれる)

➁予測

ビッグデータを用いて未来の事象を予測・解析する、人間にとっての「脳」の役割を拡張してくれる機能です。数値予測、マッチング、意図予測、需要予測などがあります。

<解析AIの事例>
・就活サイトで過去にマッチングした案件のデータを分析し、そこから求職者と職のマッチング予測をする
・コンビニ弁当の売上予測を天気、気温、弁当の種類などから予測する

➂実行

人間が行う作業を代行してくれる、いわば人間にとっての「手足」を担う機能です。表現生成、デザイン、行動最適化、作業の自動化などがあります。

<実行AIの事例>
・自動車の自動運転機能
・ドローンのAIによる制御

実行AIの事例:ドローンのAIによる制御

ビジネスのさまざまな領域で活躍するAI技術

今やAI技術は、生産・流通から店舗運営、接客・販売にいたるまで、企業活動のすべての領域で活躍しています。もはや、AIが実用化されていない領域はないかもしれません。活用事例は数多くありますが、ここでは近年活用が活発になっている小売・流通分野における事例を中心にピックアップして紹介します。

➀コンビニでのAIを活用した値引き販売

コンビニチェーン大手のローソンでは、社会課題の一つである食品ロスの削減に向け、天候・販売などのデータをもとにAIで商品ごとの値引き推奨額を算出・提示する実証実験を行っています。在庫状況や廃棄期限までの日数などに基づいて、最適な価格をAIが算出しています。航空チケットや宿泊施設ではポピュラーな、需要に応じて価格を変動させる仕組み、ダイナミックプライシングを小売業で導入する事例として注目されています。

➁パン屋のレジ打ちを画像認識AIで省力化

株式会社ブレインが開発したベーカリーショップ向けのレジシステム「ベーカリースキャン」は、トレーに乗ったパンの種類と価格を画像認識AIが一括で読み込むシステムです。AIが大量のパンの画像データを認識・学習することで、見た目が異なる同じ種類のパン、似ているが違う種類のパンなども、自動で見分けることができます。店員の手動でのレジ打ちを省力化し、店舗の生産性向上と、CXの向上を同時に実現しています。

➂ Twitterデータをマーケティング施策に活用

NTTデータでは、エンタープライズAIプラットフォームのリーディングカンパニーであるDataRobot社とのパートナーシップにより、Twitter集計データのサンプル提供を行っています。AIを活用してTwitterの全量データからトレンドとなりそうなキーワードを自動でキャッチし、専門家が適切に取得・加工した外部データとして提供することで、商品需要だけでなく消費者トレンドの早期予測を可能にしています。

【無償PoC実施中】Twitter×DataRobot:小売・メーカー向け需要予測のユースケースご紹介!

2021年9月14日に「SNSデータのAI活用による消費者ニーズに即したマーケティングの実現」と題したウェビナーを開催しました。本記事ではそのダイジェストをお届けします。「Twitter×DataRobotパートナーシップ制度」によって可能...

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AIは“頼れるビジネスパートナー”

ここでは紹介しきれないほど、人間に代わって「目・耳」「脳」「手足」として働いてくれるAIは、ビジネスのあらゆる領域で活躍しています。その技術は日々進化し、これまでにない新たなマーケティング施策や顧客体験が生まれています。AI導入支援サービスも数多くあるので必ずしも高度な知識は必要ありません。“頼れるビジネスパートナー”であるAIを、業務やサービスに採り入れてみてはいかがでしょうか。

監修者:三輪 功

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