NTTデータのマーケティングDXメディア『デジマイズム』に掲載されていた記事から、新規事業やデジタルマーケティング、DXに携わるみなさまの課題解決のヒントになる情報を発信します。
左から鬼村さん、川越さん、梅田さん
NTTデータマネジメントサービス株式会社 イノベーション推進部
川越 正道 執行役員
梅田 晴美
鬼村 恵美
DMS社における新規事業のねらいと取り組み
──本日はありがとうございます。はじめに、DMS社の概要と、みなさんが所属するイノベーション推進部のミッションについてお聞かせください。
川越さん:DMS社は主にNTTデータ、NTTデータグループ会社を対象に、コーポレートサービス、ビジネスサービス、ファシリティサービス・オフィス支援の各事業に取り組んでいます。また、2025年度に向けた中期経営方針として、会社の柱となり得る新しい事業の芽を育てていこうといった新規ビジネス軸での目標と、既存サービス拡大のための品質向上の軸での目標を掲げています。
そのような中、イノベーション推進部にはいくつかの役割がありますが、新規ビジネス推進担当では主に「新規事業を創造する」役割を担っています。上記にあるように、2025年度に向けた大きな柱となる事業を立ち上げることをめざしています。
川越さん
──新規事業のテーマは決まっていますか?
川越さん:まず、さまざまな事業部が集まって成り立っている会社なので、既存事業は既存組織にお任せし、イノベーション推進部としては新しい領域での事業創造を考えています。
とは言え、全く新しい領域をテーマとするわけではなく、既存事業でお付き合いのあるお客さまからいただくさまざまな悩みを起点に事業化できるソリューションを検討するなど、ボトムアップ的な取り組みについての支援を大事にしています。また、そうした新規事業アイデアに対して、イノベーション推進部が全社を俯瞰し、点と点をつなぐような支援をできたらいいなと考えています。
鬼村さん:具体例で言えば、「グループ会社の困りごとを解決する」という指針において、2022年度から法律に関する領域においてビジネス創造に取り組んでいます。
鬼村さん
梅田さん:他にも、イノベーション推進部が開催した研修に参加した方などを中心に、グル―プ全体に貢献できる「ESG経営」に関するサービスを提供できないか議論しています。
梅田さん
BDS Field Trip実施の背景とその成果
──今回、BDS Field Tripを採用したねらいや期待はどのようなものでしたでしょうか?
川越さん:イノベーション推進部として、2022年度における新規事業関連の取り組みのねらいは大きく3つありました。
ひとつは、社内に眠っている新規事業立ち上げへの意志が強い人を見つけたかったということ。次に、新規事業立ち上げの経験がなくても、「新規事業のアイデアは楽しく自由に作っていくものだ」と思えるような入り口としての場を作りたかったということ。そして最後に、出てきた新規事業アイデアをDMS社として事業化したいというねらいもありました。
そして、上記のねらいに基づき、主に2つの施策を実施しようと考えていました。
① 意欲のある社員に新規事業立ち上げプロセスを学び・体験する導入コンテンツ
② DXへの理解と認識を深め、現行のやり方にとらわれないマインド変革ワークショップ
今回は上記①の方針に従い、BDS Field Tripを採用させていただきました。
梅田さん:NTTデータで提供されている新規事業関連のさまざまなワークショップの中でも、参加ハードルを下げたい思いからアイデア創発と事業化プロセスの導入部分を学べるBDS Field Tripを選択しました。当社のように新規事業立ち上げに慣れていない社員が多くても採用しやすかったと感じています。
また、イノベーションは“I”nnovationではなく、「みんなで共創する」“We”nnovationである、といったコンセプトに惹かれたこともあります。
“I”nnovationではなく“We”nnovation
──実際に実施してみていかがでしたか?
鬼村さん:世の中の新規事業創出関連のセミナーの多くは、アイデア創発や新規事業立ち上げのノウハウが分断されている印象でした。一方、BDS Field Tripは体系化されたノウハウになっていたので、1日という短い期間で新規事業立ち上げの導入部分を学ぶことができたと感じます。
梅田さん:参加者のアンケートを見ると、「アイデア創発を実際にやってみて、そこまで型にはまったものではなく自由に発想できることに気づいた」など、事業アイデア創出に前向きになったとの声が多く、良いきっかけを得られたと思っています。
BDS Filed Tripの流れ
──BDS Filed Tripは前半がアイデア発散パート、後半がアイデア収束パートとなっています。前半のアイデア発散パートはいかがでしたか?
梅田さん:ちょっとしたことかもしれませんが、ワークショップ開催場所の開放感や雰囲気(お菓子など)のカジュアルさから会話が弾み、コミュニケーションが活性化されたことが自由なアイデア発散につながったように感じました。
川越さん:ファシリテーターのサポートとして、何気ない小さな気づきや発言を受け入れる体勢が整っていたことがすごくよかったと感じました。実際に「違う脳を駆使している感覚があっておもしろい」という感想コメントがありました。
鬼村さん:普段の業務もこういったカジュアルな空気感を採用すると生産性がアップするかもしれないと感じましたね。
ワークショップ開催の会場の雰囲気
──後半のアイデア収束パートはいかがでしたか?
川越さん:「Idea Pick」というセッションで他者のアイデアを自分のアイデアとして採用する場面がありました。これは、採用された側からすると、自分のアイデアが他者に承認された感覚があって、参加者全員でイノベーションに取り組んでいる感覚が良いと感じました。
Idea Pickの様子
これから社内でイノベーションを起こすために
──今回はDMS社としては初期段階かと思います。今後、社内でイノベーションを起こすための取り組みについてお聞かせください。
川越さん:私たち自身は今回の取り組みに手ごたえを感じたので、まずは今回のBDS Field Tripで得られたことを社内に発信したいと考えています。すでに幹部には今回の様子や成果を報告していますが、社内全体にも発信していくことで「BDS Field Tripを実施してよかった!」というムードを波及させたいと考えています。
私としては、お祭りのように社内の雰囲気を徐々に盛り上げていくことが大切だと思っています。数年前に四国の松山に出向で勤務していた経験があるのですが、現地では、街全体でお祭りを大切にしていて、まさに踊っている人と見ている人が一体となって雰囲気を盛り上げ、お祭りの完遂に向けてエネルギーを集中させています。実は、このようにいい方向に向かって皆のエネルギーを転じていくことは、社内で様々な考えや立場の人を巻き込みイノベーションを起こしていくためには、必要なことではないかと感じています。
川越さん
そして、今回のようなワークショップにも取り組みつつ、そこで出たアイデアを事業化する取り組みや、取り組んだ方が評価される社内制度も整えていければと考えています。
ともすれば、新規事業立ち上げの場合、リスクなども考えると、躊躇する人も多いのではないかと思います。失敗もあるわけですからね。目先の損得で考えると、つい既存事業+αだけに力を入れてしまうような。ただ、長い目で見ると、どこかで誰かが挑戦して既存の枠組みを打ち砕かないと、いずれ環境変化の中で会社全体が衰退してしまうことはよくあることだと思います。なので、短期的な視点からは一見損に見えるようなことでも、やるべきことは思い切ってやってみること、その雰囲気を社内で作っていくことも必要ではないかと思っています。
今回の取り組みをきっかけに、社内に良い雰囲気を作っていく土壌はできつつあると感じました。今後はお祭りのように先陣を切って新規事業を立ち上げていける人財を生み出していきたいと考えています。