1.NTTデータ環境目標と自家発電による再エネ調達意義
近年、企業の脱炭素への取り組みは不可欠となっています。NTTデータでも2040年までにNet-Zero実現を目指す「NTT DATA NET-ZERO Vision 2040」を策定し、2023年6月に発表しました。この目標では自社のオペレーションにおける直接・間接排出量(Scope1・2)について、データセンターでは2030年、オフィス・その他を含めた自社全体では2035年、サプライチェーン全体では2040年までの実質ゼロを目指しています。
図1:2040年までの目標と削減イメージ
2040年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す新たなビジョンを策定
当社ではこれまで自社データセンターにおける脱炭素の取り組みとして、液浸技術によるサーバー消費電量の低減の実証や再生可能エネルギー(以下、再エネ)の活用によるグリーン化を行ってきましたが、近年はさらに再エネ発電も推進しています。
再エネの調達方式には再エネそのものの購入や環境証書の購入などもありますが、最も環境への貢献度が高い方法が再エネの自家消費です。中でも太陽光発電は環境負荷持続性の評価項目で高い評価となっています。しかし、当社が運営するものを含む都市型データセンターでは、太陽光発電のための発電環境を設けることが難しいという問題があります。特に、従来型の太陽電池は荷重が大きく、既存建物の設計荷重を超過するなどの課題があるため導入が進んでいません。
そこで注目したのがフィルム型の「ペロブスカイト太陽電池」です。ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を用いた新しいタイプの太陽電池であり、一般的な研究開発において、現在広く流通している「シリコン系太陽電池」や「化合物系太陽電池」にも匹敵する高い変換効率を達成しています。またペロブスカイト太陽電池は柔軟性が高く軽量という特徴があり、従来のシリコン系太陽電池では設置が難しい場所にも対応できるとされています。
2.ペロブスカイト太陽電池の実証実験
当社データセンターへの自家発電環境の設置に向けて、当社では2023年4月より、積水化学工業株式会社(以下:積水化学工業)と共同で、ペロブスカイト太陽電池を建物外壁に設置した実証実験を開始しました。
実証開始当初、外壁設置は前例がなく、設置方法や太陽電池モジュールの固定方法の検討から始めました。そして、2024年3月にはNTT品川TWINSデータ棟南側外壁面に、積水化学工業製のペロブスカイト太陽電池21モジュールの設置が完了し、2024年7月にはパワーコンディショナおよび蓄電池への接続を完了しました。現在はビルの実負荷(駐車場照明)への電力供給を行いながら、発電量や発電効率の計測、塩害地域での耐久性検証など、さまざまな実証を進めています。
図2:NTT品川TWINSデータ棟南側外壁面に設置したペロブスカイト太陽電池
また当社単独での取り組みとして、同データセンターにつながる屋外連絡通路屋根に設置した建材一体型太陽電池(AGC硝子建材株式会社製「サンジュール®」)と組み合わせた発電量の計測や、気象データ予測による蓄電池の最適制御も実施しております。これらの発電状況は、ビルエントランスに設置したモニターにて見える化を予定しております。
3.導入拡大に向けて
今後は2030年のデータセンターにおけるカーボンニュートラルを見据え、全国にある当社16棟のデータセンターおよびオフィスへの再エネの自家発電環境の導入拡大を目指します。また、設置方法の改良案を含めた検討を続け、既存建築物の外壁への再エネ導入手法を確立することで、自社だけでなく社会資本としてストックされた都心部の既存建築物の脱炭素化に貢献してまいります。
2040年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す新たなビジョンを策定についてはこちら
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2023/060900/
国内初、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を建物外壁に設置した実証実験開始についてはこちら
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2023/021300/
液体の中でICT機器を直接冷却する新方式で、冷却エネルギーを最大97%削減についてはこちら
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2022/060601/
サステナビリティについてはこちら
https://www.nttdata.com/global/ja/about-us/sustainability/
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