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2024.11.12技術トレンド/展望

珠玉のナレッジを発掘する、生成AI×社内ナレッジの可能性

大きなインパクトを与えたGPT-3.5の登場からまもなく2年。一時期の過熱ぶりは去ったものの、生成AIのビジネスへの活用はもはや避けて通れず、生成AI自体の進化も進んでいる。ビジネスで生成AIの力を真に引き出すためには公開された情報だけでなく、社内に蓄積されたナレッジを活用することが不可欠だ。
本稿では、ナレッジマネジメントを通じて蓄積した社内情報を、安全に生成AIで活用するための仕組みについて、NTT DATAでの具体的な取り組みを交えて紹介する。生成AIを通じた社内情報の活用を検討される方の参考になれば幸いである。
目次

1.生成AIを通じた社内ナレッジの活用

生成AIは多岐にわたるビジネスシーンで活用が可能であり、その潜在能力は計り知れません。しかし、生成AIを真に競争優位に結び付けるためには、世の中に広く出回っている公開情報だけでなく、社内に蓄積されたナレッジを最大限に活用することが不可欠です。

ナレッジマネジメントの取り組みや日々の業務を通じて蓄積されたナレッジは、企業の競争力を強化する源泉です。ここでいうナレッジとは、単に過去のプロジェクト成果物や顧客とのやり取り履歴だけでなく、社員が持つ専門知識や組織内のノウハウ、ベストプラクティスも含みます。それらを組み込んだ生成AIのアウトプットは、誰もがアクセス可能なWeb上の公開情報のみを利用した生成AIのアウトプットと比べ、その内容の深みと特異性に大きな差が生じます。自社独自のナレッジを活用することで、他にはない独自性のある価値創出に繋がります。

ナレッジマネジメントは蓄積、共有から始まります。そして、生成AIと共にそのナレッジが活用され、新たなナレッジを生み出すことでその価値は倍増し、ナレッジマネジメントサイクルが完成します。

2.生成AIを通じて社内ナレッジを活用する仕組み作り

生成AIを通じて社内の非公開情報やナレッジを活用するためには、しっかりとした仕組み作りが必要です。

誰もが利用できるクラウド型のオープンなAIモデルに不用意に情報を渡すと、AIモデルの再学習に利用されたり、意図せず第三者に非公開情報が露見したりするリスクが伴います。また、闇雲に生成AIに情報を渡しても、解決したい課題とは無関係な情報や鮮度の落ちた情報が、ノイズとして混ざってしまうことで、逆に課題解決の妨げになることもあります。さらに、クラウド型AIモデルの多くは、取り扱うデータ量に応じた従量課金制です。手元にあるすべての情報を都度渡していては、コストが膨らみます。

これらの課題を解決する方法はいくつかありますが、今回は比較的低コストでクイックに始められる方法を、NTT DATAの実例も交えて紹介します。

3.Azure OpenAI Serviceと社内ナレッジの連携

セキュリティ面のリスクやノイズ、コストの問題を解決する手段の一つが、Azure OpenAI Serviceの活用です。Microsoftが提供するクラウドプラットフォームの一部であり、データ保護とプライバシーに厳格な規制を遵守しています。また、柔軟なスケーラビリティや管理機能、言語モデルだけではなく、画像生成などのモデルを利用できることもメリットの一つです。Azure OpenAI Serviceには、独自のデータを使用できる「On Your Data」機能があります。この機能では独自のデータと生成AIモデルを簡単に連携させることができるため、生成AIモデルが知らない独自のデータを参照した回答を生成可能です。

NTT DATAでは、この「On Your Data」機能をグループ内で展開しているナレッジシェアの仕組みと連携させています。企業内で蓄積された非公開情報やナレッジのうち、解決したい課題にマッチする情報のみに絞って生成AIに参照させることで、ノイズを除去しつつ、かつ公開情報では回答しえない情報のアウトプットが得られるような仕組みを構築しました。

また、さらに高精度で広範囲な情報を効率的に取得できるようにするために、企業内の非公開情報やナレッジだけでなく、Web上の公開情報も同時に組み合わせて回答を導き出す仕組みの構築も進めています。例えば、技術に関する情報の探索であれば、社内情報からは過去の実績に基づく技術ナレッジやノウハウから自社独自の回答を得つつ、同時に最新のWeb上の技術情報も参照し、総合的に見て妥当性の高い回答が一度に得られるような仕組みです。このような仕組みによって社内情報と最新の外部情報を組み合わせることで、よりトレンドに沿った包括的な情報活用を促進することができると考えています。

NTT DATAでは、このナレッジシェアの仕組みの導入によって、必要な情報をスピーディーに取得できるようになり、日々の業務における情報収集が効率化しただけでなく、情報共有や活用の機会も増えています。特に、組織を越えた情報共有が活発になり、幅広い知見を得ることができケイパビリティが向上しています。

図:Azure OpenAI Serviceと社内ナレッジを連携する仕組み

4.おわりに

生成AI、特に大規模言語モデル(LLM)は主に公開情報を情報源としていますが、これと企業内の非公開情報やナレッジを融合させることは、昨今のビジネスにおいて競争優位を確立するための強力なツールとなる可能性があります。

例えば生成AIを通じて顧客企業のIR情報やニュース等の公開情報と、自社の営業活動で得られた顧客要望や課題、自社の製品・ソリューション情報などをかけ合わせ、顧客課題に対する解決策を探索することも可能です。そこからアイデアを得て提案活動に盛り込むことも出来るでしょう。
NTT DATAにおいても、生成AI活用の幅が広がり、課題形成や仮説立案の段階から生成AIを活用する等、業務が効率化されてきています。

今後は、企業内の非公開情報やナレッジと、Web上の公開情報の組み合わせの選定をユーザに任せるのではなく、それらを自動的に組み合わせて回答を導き出すような「AIエージェント」も実現されてくるでしょう。

NTT DATAでは、こうした将来のビジョンの実現に向けてサービスや製品の開発を進めています。「宝の山」である社内に蓄積された非公開情報やナレッジの真価を、生成AIを通じて最大限に引き出し、未来のビジネス成長を加速させるお手伝いが出来れば幸いです。

「情報×人のつながり創り」を支援するナレッジマネジメントソリューション「knowler」を提供開始~AIとMicrosoft Teamsを活用し、デジタル時代に求められる迅速な価値創造や働き方変革を実現~についてはこちら:
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2021/051900/

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