10月1日は国際コーヒーの日ですね。コーヒー大好きな方は多いと思いますが、快眠の観点からどのようにコーヒーと付き合ったら良いのかと悩む方も結構いらっしゃいます。
実は、カフェインの覚醒効果メカニズムは科学的にも解明されており、脳内の睡眠中枢に直接働きかけて脳を覚醒させることが分かっています。経口摂取後30分程度で覚醒効果が表れはじめ、その後は個人差がありますが4~5時間ほど効果が続くといわれているのです。
さらに、カフェインはノンレム睡眠の発現中枢ある腹外側視索前野の活動を抑制すること、そして利尿作用を起こすことなどにより、入眠困難や中途覚醒を増加させることが明らかになっています。そのため、遅くとも20時以降の摂取は控えたほうが睡眠には良いといえます。20時以降は、白湯やルイボスティー、そば茶、カフェインが含有されていないハーブティーなど、カフェインレスな飲み物を選ぶようにしましょう。さらに、冷たい飲み物よりも温かい飲み物のほうがリラックス効果は高まるので、常温以上の温度のものがおすすめです。
年齢が上がるほどカフェインの覚醒作用が長く持続することが示唆されているため、高齢の方の場合はより早めの時間から飲まないように注意することが必要です。
気を付けていても、無意識に飲んでしまいがちなのが夕飯時のお茶。お茶の甘味成分でもあるテアニンには鎮静作用があり、気持ちが安らぎリラックスできる一方で、カフェインも多く含んでいることを忘れないでくださいね。夕食のお供には、ノンカフェインの麦茶や甜茶などが良いでしょう。
夜のコーヒー摂取はおすすめできませんが、ランチのあとにはコーヒーなどでカフェインをとっておくと、ちょうど20分程度のお昼寝から目が覚めるタイミングでカフェインの作用が効き始め、すっきりとした覚醒が促されます。
実際に、カフェインの摂取と昼寝を組み合わせることで、目覚めた後にぼーっとしてしまう睡眠慣性の低減につながることが明らかになっています。(※1)
コーヒーやお茶に含まれるカフェインの含有量は、コーヒー豆の種類や茶葉の種類、生産地や製法、抽出時間、使用量などによって異なるため、含有量を正確に推定することは難しいですが、コーヒー1杯が約60~80mg、紅茶1杯が20~40mg、緑茶1杯が30~50mg程度です。
お昼寝前だけでなく、昼間の「ここぞ!」というときにカフェインの力を借りて覚醒水準を上昇させ、パフォーマンスを上げるのもひとつの手。自動車運転シミュレーターでの実験では、カフェインを摂取したときのほうが運転成績が向上するという結果も出ています。(※2)
ちなみに、朝イチの水分補給は、コーヒーは避けてください。カフェインの利尿作用で、体内の水分と一緒に、必要なミネラルも排出してしまうので、水分補給の意味がありません。寝汗分の水分補給は水で補い、砂漠化した身体を内側から潤してあげましょう。
(Balkin TJ, Badia P. Relationship between sleep inertia and sleepiness: cumulative effects of four nights of sleep disruption/restriction on performance following abrupt nocturnal awakenings. Biol Psychol. 1988 Dec;27(3):245-58. )
Reyner LA, Horne JA. Suppression of sleepiness in drivers: combination of caffeine with a short nap. Psychophysiology. 1997 Nov;34(6):721-5.