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2021.4.2INSIGHT

#2:GAIA.fin 業務プロセス変革編
~先行BPRと効果検証~

NTTデータが、自社の変革と社内システムへのデジタル技術の全面的適用を目指して立ち上げた、全社プロジェクト「Project GAIA」。第二回目は、業務プロセス変革に向けたGAIA.finの目指す先を紹介する。

GAIA.finのコンセプト

大規模システム開発案件の意思決定プロセスや業務領域毎のオペレーションに最適化された、現在のNTTデータの業務プロセス・社内システムは、事業環境の変化や、働き方変革への対応、更にはビジネスアジリティの向上といった喫緊の課題への対応が難しく、RPAを活用した自動化等の個別対処に留まらない、抜本的な見直しが必要な時期に来ています。

オペレーションの分断や重複の解消、システム維持運用費の低減、将来の戦略的IT投資予算の確保に向けた全体最適視点での業務プロセス・社内システムの再構築が急務とされる中、業務プロセスの柔軟性と迅速化を実現するため「シングルインプット&マルチユース」の考え方を基本とするGAIA.finのプロジェクトが立ち上がりました。

GAIA.finは、基本コンセプトとして“Agility”,“Creative”,“Data-Driven”を掲げ、2023年の稼働開始を予定しています。各業務アプリケーションやシステム基盤領域における「グローバル標準テクノロジーの活用」と、出来る限り標準機能に合わせる「Fit to Standard」を大方針とし、業務プロセスの全体最適、業務アプリケーション間のシームレスな機能連携およびデータ統合を通じた業務ライフサイクル全体での迅速化・高度化を目指しています。

先行BPRと効果検証

急速な事業環境の変化に対応するためにはトップダウンでの業務変革が不可欠であり、かつ全体最適を実現するために、本社直轄で組織横断メンバーからなる少数精鋭の専任チームを立ち上げました。
専任チームでは、基幹システム更改を見据えた抜本的な業務BPRを構想しつつ、システム更改前でも実現可能な意思決定プロセス変革を先行的・段階的に実施することで、Quick Winによる早期の効果創出と社員の意識改革、および新業務への移行に掛かる将来コストの低減を図っています。
この先行BPRについては、事業部門の実務者を巻き込んだ効果検証を2020年度に実施済で、GAIA.finとして業務変革とシステム維持運用効率化を合わせて年間約40億円のコスト低減効果を見込んでいます。

意思決定プロセス、事務処理プロセス、事業計画プロセスの変革

業務プロセスを以下の3つのプロセスに分け見直すと同時に、これらを有機的に連携させることが、業務変革の重要なポイントになると考えています。3つのプロセス連携により、社員の事務処理や報告業務の軽減による提案活動やシステム開発等への集中だけでなく、経営層によるデータドリブンな意思決定が可能になると考えています。

1.意思決定プロセス
プロジェクト規模の大小に関わらず一律に設定されていた投資判断や開発計画の意思決定(=決裁)のマイルストンを、規模やリスクなどプロジェクトの特性に応じて、“決裁自体の省略”、“付議条件の緩和”、“付議情報の削減”など軽量化・柔軟化を図ります。

2.事務処理プロセス
意思決定プロセスを経た後に発生する事務処理プロセスでは、例えばこれまで電子稟議システムでの決裁取得後に必要であった、会計システムでの管理コードの払い出しや、受注管理システムでの受注登録を電子稟議システムの決裁内容に基づいて自動化します。
同様に経費精算についても、決裁承認内容に基づき会計システムでの会計伝票を自動作成することで事務処理上の不正行為や人為的ミスを無くすとともに、副次効果として内部統制の強化に繋げます。

3.事業計画プロセス
各プロジェクトにおける意思決定プロセスでの決裁承認値(売上・利益)や最新値を組織単位で自動集計し、AI/Analyticsを活用して売上・利益の着地予測シミュレーションを行います。これにより、事業計画値の着地報告業務を半自動化するとともに、上位への報告バイアスを低減することで着地精度の向上を図ります。

図:GAIA.fin業務プロセスの全体像とBPR施策のポイント

図:GAIA.fin業務プロセスの全体像とBPR施策のポイント

業務フィッティングとプロセス変革、定着までの道のり

GAIA.finの稼働開始へ向け、2021年度からNTTデータと約70の国内グループ会社を対象とする全社的なプロジェクト推進体制で業務フィッティングを開始します。具体的には、現行業務からのGAP解消ポイントの洗出しを行うとともに、関連規程類の見直しや、業務マニュアルの整備、ユーザ習熟期間の確保による新業務の垂直立上げの準備がその内容です。

Project GAIAの目的は、単なる基幹システム更改にとどまらず、業務を変えることにより事業で成果を出すことにあります。目的の実現へ向け、本社スタッフ部門、事業部門、国内グループ会社を巻き込んだ全社体制で業務変革を推進していきます。

今後の連載について

次回の第3回では、「GAIAを構成するテクノロジ」 として、GAIAプロジェクトをテクノロジの観点からご紹介します。

新しい「これから」を描く

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