背景と外部環境の変化
不確実という事以外に確かな事が無い変化の激しい時代において、トランスフォーメーションを”X”で表すDX(デジタル・トランスフォーメーション)という名の変革は、私達の生活や仕事に大きな変化を及ぼしています。モノより体験、機能よりデザイン、所有よりシェア、課題解決より課題設定、品質よりスピード、収益よりパーパス、理論よりも文脈、そしてトドメの一撃として2020年には、リアルからオンラインという変化が定着しました。
多くの企業が懸命に進めようとしているデジタル化は、「言語化、数値化、一般化出来る形式知をあらゆる変数としてコントロール可能」という前提に立っています。言い換えれば「皆が同じアプローチで同じ答えを出せる」ということで、一見科学的で論理的な正しい行動のように見えます。しかしながら、社会生活における企業や個人の意思決定の多くは、信念や関心、価値観や興味、経験や感情等といった極めて主観的な要素に依存しており、形式知化できない高次の暗黙知に基づく、創造的で主体的な行動の実践こそが貴重で、それこそが他社とは異なる提供価値を生み出すのだと考えています。
より高い価値を社会に持続的に提供し、貢献し続ける組織であるために私たちが実践すべき変革とは何か?を自問自答し、正解のない中でもがき、それでも前に進もうとしている生身の活動を本稿では紹介したいと思います。
変革の必要性
ここでは、あえてデジタル化とDX(デジタル・トランスフォーメーション)を分けて論じることにします。前者は形式知をデジタルに置き換え、集め、繋げ、大量の情報を処理し、分析することで論理的(に見える)に正解を導きだすこと、後者はトランスフォーメーション、すなわち信念に基づき自らの意識・行動・プロセスを変えることだと理解すれば、他社に後れない為の最低限の営みが前者、より高い目標を設定し社会に貢献する価値を持続的に提供できる状態を目指す活動が後者だと言えます。
私たちは、情報システムを創り、活用頂くことでお客様の事業成長に貢献する事を生業にしています。情報システムが社会活動で必要不可欠になったが故に、正解の無い中で「変わらぬ信念」に基づいた共通善を見つけ出し、高次の価値を提供し続けて行く必要があります。その為には、単にお客様が決めた仕様通りにシステムを作り提供する事のみではなく、高い目標(ミッション)を自ら設定し、トランスフォーメーションすなわち”X”の実践によりお客様や社会に対して価値を提供できる組織に変革し続けられる能力を持つ必要があります。
以上のような背景や自らの意思を元に、「業務・IT・行動・意識を変え、顧客価値の創出と社員の幸せを実現する」をミッションとして掲げ、”X”の実践を重視した全社のビジネス・トランスフォーメーションとしてProject GAIAは立上りました。
Project GAIA全体像
Project GAIAは、単なる基幹システムの更改ではなく、自らの業務・IT・行動・意識を変えてお客様に、より高次な価値を提供すること、またその結果として社員が成長し自己実現して幸せになることを目的としています。
Project GAIAは、業務プロセス・財務会計領域のGAIA.fin、人財領域のGAIA.hr、情報活用・分析領域のGAIA.dataの三つの領域から成り立っています。
- GAIA.fin
事業活動の根幹である営業・開発・運用での業務プロセス、及び経営判断に必要な財務領域の業務変革。プロジェクトの現場から経営層までの意思決定の迅速化・高度化により、お客様へより高い価値を提供できる業務に集中できる組織となることを目指しています。 - GAIA.hr
”X”の実践のコアとなる社員の成長や人財管理領域の高度化。事業戦略に合致した人財ポートフォリオ管理、パフォーマー分析、戦略的人財配置、社員の持続的な自己成長の支援と、最適な人財配置の実現を目指しています。 - GAIA.data
あらゆる意思決定のベースとなる情報の見える化。事業を司るあらゆる業務領域に対して、実績・計画の見える化に加えて、分析結果からの予兆・予測に基づく将来のアクション示唆までの実現を目指しています。
今後の連載について
今回はProject GAIAの全体像を紹介しました。次回以降、6回にわたり、全社業務改革プロジェクトの概要をお伝えします。
- 第1回 “X”の実践 Project GAIA Overview(本記事)
- 第2回 GAIA.fin 業務プロセス変革編~先行BPRと効果検証~
- 第3回 GAIAを構成するテクノロジ ~デジタルテクノロジ活用編~
- 第4回 GAIA.fin 財務領域の変革編
- 第5回 GAIA.hr 人財領域の変革編
- 第6回 GAIA.hr データ活用編
- 第7回 Enterprise DX