「CAFIS Arch」を導入した経緯をお聞かせください。
東急プラザ銀座 プロジェクト推進本部 事業企画部 事業企画課 チーフ
小川 紀子 氏
小川 氏2016年3月に、東急不動産にとって重要な戦略拠点となる、東急プラザ銀座がオープンしました。運営を受託する当社では、オープンにともない直近で解決したい3つの条件を一挙に解決できる高度なシステムを探していました。条件のひとつめは、2014年10月に東急プラザに導入した現金ポイントカードの「東急プラザポイント」と、グループ会社である東急カード社のクレジット利用で貯まる「Tokyu Point」、これら2種のポイントを同一の端末で処理でき、かつ「Tokyu Point」をお買物券に交換するのではなく直引きで使用できる端末であること。ふたつめは、東急プラザ銀座のオープンに際し、駐車場の割引サービスが可能な端末であることです。クレジットカード、ポイントカードの処理端末とそれぞれ異なる端末ではなく、同一の端末でサービス提供できることが理想でした。最後の条件は、銀座という土地柄、外国人客が多いため、多通貨決済が可能な端末であることです。この3つの条件は数社に提示させていただきましたが、条件をすべて満たせるシステムは「CAFIS Arch」だけでした。NTTデータとは以前からINFOX導入などのお付き合いがありましたので、信用面でも申し分ありませんでした。
導入が決定した2015年6月から東急プラザ銀座オープンの2016年3月までの導入工程では、どのような問題が生じ、どのような解決策がありましたか。
銀座推進室 東急プラザ銀座
長谷川 智美 氏
小川 氏まず2015年7月から、関係各社7社で定例プロジェクトミーティングを重ねるようになりました。ミーティングの幹事会社は別にいましたが、各社間の技術的な調整の大部分をNTTデータに担っていただきました。工程の中で最も大きなネックになったのは端末の回線の問題です。
長谷川 氏東急プラザ銀座では、インターネット回線と兼用する形ではなく、端末用に独自の専用回線を引きたいと考えていました。ところが、1本の回線中継に複数の業者が関わっており、各業者の担当範囲も非常に複雑に絡み合っていました。つまり、登場人物が多くいることで、ブラックボックスになりやすい懸念があったのです。複数社が関与することで、東急プラザ銀座の全館同時オープンに向けて、スケジュール的に足並みをそろえにくくなってしまう懸念がありました。また、複数社の関与で、例えば万が一区画内で停電が起こるなどして端末が立ち上がらないなどのトラブルが生じた際、対応に時間がかかることになります。こうしたリスクを軽減するため、NTTデータには関係各社の役割を整理しながら、サービス開始前には、施設に密に通っていただくとともに、監視体制を敷くなどの対応を取っていただきました。
「CAFIS Arch」の操作性、利便性などについて、テナント様からはどのような反応がありましたか。
長谷川 氏操作性については、「わかりやすく、間違えにくい」ということにこだわりました。不必要な機能は削除し、端末の操作はシンプルにしてほしいとNTTデータにはお願いを続けていました。実際の端末は、その要望が反映され、とても扱いやすいものになっているとテナント様からも好評です。東急プラザ銀座のオープン前にも、全店長を対象にレクチャーを重ね、1日3~4回の操作実習を数日にわたって繰り返しました。NTTデータの皆様が各店長へ丁寧に指導してくれたおかげで、オープン後も多少の問い合わせはあれど、大きなトラブルにはなりませんでした。マニュアル作成についても、テナント様がわかりやすいよう商業寄りの項目にウエイトを置いた構成をNTTデータで考えていただけたことも、各テナント様の理解度を促進させた大きな要因だと考えています。端末の外見も、ブラックのスタイリッシュなフォルムになっているので店のインテリアを邪魔しませんし、スマートフォンと同じタッチパネル式なので、操作がしやすいことも実際に声としてあがってきています。海外からのお客様の場合には、多通貨決済をする際、外貨を選択するか、日本円を選択するかはレシートを印字し、レシートにサインをいただくことで判断してもらっていました。新端末にはサインパッドがついており、サインパッドの画面上で外貨払いか日本円払いかを選択いただくことが可能なので、実際の利用客にもわかりやすいと高い評価を得ています。
東急プラザ銀座 運営本部 運営推進部 運営戦略課 兼 第1アカウント課 リーダー
大須賀 昭夫 氏
大須賀 氏新規システムですので、導入直後は多少のシステムエラーが発生するであろうことは予測していましたが、NTTデータの場合はその対応も迅速だったことが印象的です。システムトラブルが発生した際も、NTTデータでの対処スピードが早かったおかげで、お客様にご迷惑をおかけする前にすべて対応することができています。
「CAFIS Arch」に関して、今後NTTデータとどのような取り組みを進めていくお考えですか。
小川 氏端末の操作やトラブルに関する問い合わせは、東急プラザ銀座だけでなく当社が管理する他の施設のテナント様からも多くあります。東急プラザ銀座以外で使用しているINFOXと新しいCAFIS Arch双方について、テナント様からの問い合わせ応対をしながら、端末を遠隔操作で管理し、あわせて施設に対するお客様からの諸々の問い合わせにおこたえするインフォメーション機能をすべて担えるような総合ヘルプデスクを、NTTデータとともにいずれつくりたいという理想は持っています。もっとも現時点での施設数だけでは管理・維持コストの問題が生じるので、稼働施設がもっと増えていってからの話になりますが。
東急プラザ銀座 運営本部 運営推進部 運営戦略課
野村 景子 氏
野村 氏現場管理の視点においても、遠隔操作による管理体制への期待があります。従来の端末では、ソフトウェアバージョンアップ時に毎回保守員に来ていただく必要があり、施設側の負担が大きかったのですが、CAFIS Arch導入により、施設側でソフトウェアのバージョンアップが可能となり、非常に負担が減りました。テナント様側で必ずバージョンアップを実施いただけるよう定期的にアナウンスや事前周知などの準備と念押しを行った上で、現場担当がバージョンアップの実施確認を行うなどのフォローを行っているため、これらのフォローも総合ヘルプデスクからの遠隔操作という形で対応いただけるようになると大変ありがたいです。
長谷川 氏現場の視点では、お客様にレジまでお越しいただかなくても、店内備え付けのソファなどにお座りいただいたまま決済できるモバイル端末について、さらなる効率化と顧客満足向上に向けて今後検討できればと思います。
大須賀 氏加えて、インバウンドという視点でも、国内外問わず、特に中華系を中心に次々と新しい決済種別が登場してきていますので、必要なものはどんどん「CAFIS Arch」の中に統合していきたいと考えています。NTTデータには、このような相談を逐次させていただき、さらなるバックアップをお願いしたいところです。