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2020.2.14INSIGHT

脳情報とAIを融合した「NeuroAI®」
最先端技術で消費者感性を予測

NTTデータは国の研究機関である情報通信研究機構(NICT)の脳情報通信融合研究センター(CiNet)と共同で、脳情報を活用した「NeuroAI®」の研究を行っています。NTTデータが約6年前から進める脳科学をベースにしたビジネス化をはじめ、NeuroAIを活用したクラウドサービス「D-Planner®」について紹介します。

脳情報を融合してAI情報を強化した「脳融合型AI」

脳の構造に影響を受けて誕生した人工知能(AI)。その深層学習の物体認識能力は、2015年には人間を超えました。しかし、「AIは人間の脳と同じ振る舞いができるのか」という問いの答えは依然として「ノー」です。なぜならばAIは客観情報の認識を得意とする一方で、人間らしい主観情報の認識は苦手だからです。よって人間の脳と同じ振る舞いをするためには、脳の情報処理を理解してAIに活用することが必要となってきます。

国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT) 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 主任研究員 西田 知史 氏

国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT) 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 主任研究員 西田 知史 氏

脳の情報処理を理解するための一つの研究アプローチとして、観測可能なAIの情報処理を利用し、観測不可能な脳の情報処理をシミュレートして可視化するアプローチが挙げられます。このアプローチでは、AI情報を利用した符号化/復号化モデリングを行います。例えば、符号化モデリングでは、深層学習を利用して脳内の視聴覚情報処理をモデル化し、復号化モデリングでは、自然言語処理を利用して知覚した意味・印象内容の解読を行います。特に後者では、映像が人に与える意味や印象を、約1万単語の名詞、動詞、形容詞を使って解読することが可能です。
この符号化/復号化モデリングを応用し、脳情報をAIに組み込むことで「脳融合型AI」を開発しています。

観測不能な脳の情報処理をAI情報を利用して可視化

図1:観測不能な脳の情報処理をAI情報を利用して可視化

自然言語処理を用いた知覚意味・印象内容の解読

図2:自然言語処理を用いた知覚意味・印象内容の解読

NICTとNTTデータの共同研究「NeuroAI」の基盤技術として

このようにして開発された脳融合型AIを利用することで、既存のAI手法と比べて人間らしい主観情報に対する認識性能が向上し、脳解読に比べてコストを削減できるようになりました。既存のAIと脳の“良いとこ取り”の手法と言えます。こちらは大きく2つの可能性があります。
1つ目は「感性評価システムとしての利用」です。こちらのシステムは、映像コンテンツの評価やデータベースの感性タグ付け、工業製品デザインの評価などでの利用が期待できます。
2つ目は「個性を反映するAIの実現」です。こちらのAIでは、個人に合わせた映像・音楽の推奨、著名な芸術家・作家などの個性のデジタルアーカイブ化、個性を理解する対話エージェントなどが実現できます。
脳融合型AIは、人間らしい認識を行うAIとして、さまざまな認識問題に適用可能です。NICTとNTTデータが共同で研究を進める写真・動画コンテンツの評価・予測技術「NeuroAI」の基盤技術としても、社会実装が推進されています。

NeuroAIクラウドサービス「D-Planner」とエンジニアのためのNeuroAI API

このようにして共同開発したNeuroAIの基盤技術の論文は、米国人工知能学会の「AAAI-20」でも採択(※1)され、国際的にも認められています。しかしNeuroAIを論文から実装するのは容易ではありません。そこでNTTデータでは、NeuroAIをより多くの企業に使ってもらうことを目的としたクラウドサービス「D-Planner」を提供しています。

NTTデータ 社会基盤ソリューション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部 前田 直哉

NTTデータ 社会基盤ソリューション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部 前田 直哉

例えばYouTubeの動画を投稿するとき、どのようなBGMを付ければより好感度が向上するか、クリック率が伸びるかをシミュレーションすることができます。また企業やエンジニアが自由に使えるNeuroAI APIも提供しておりますので、さまざまなシステムやアプリとの連携も可能です。さらにNeuroAIと汎用技術を組み合わせれば、独自の解読器を作成することもできます。

NeuroAI APIシステム構成

図3:NeuroAI APIシステム構成

このようにNeuroAIの最新技術は国際学会でも認められた安心の最先端技術であることに加え、クラウドやAPIも提供しており容易に多くの方にご利用いただけます。興味を持っていただけた方は、ぜひお問い合わせください。

  1. 本記事は、2020年1月24日に開催されたNTT DATA Innovation Conferenceでの講演をもとに構成しています。
    講演資料のダウンロードは、以下よりお問い合わせください。

参考

(※1)米国の人工知能学会(AAAI)にて「NeuroAI」基盤技術の論文が採択
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/information/2020/013100/
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