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2021.9.17業界トレンド/展望

大企業の新規事業コミュニティの新たな形!ビジネスデザインスプリントコミュニティの挑戦とは?

NTTデータには、各部門で新規事業創造に奮闘する社員たちが集う「ビジネスデザインスプリント(BDS)コミュニティ」と呼ばれるオンラインコミュニティが存在します。当初は社員有志の小規模なコミュニティでしたが、今では新規事業創造の全社横断コミュニティとして先駆的な取り組みに次々と挑戦しています。本記事ではオンラインでの対話やコミュニティを軸とした事業開発に取り組むSwap社の藤沢さんをゲストに招き、BDSコミュニティの運営に携わるメンバ ーにその取り組みをインタビューしました。近年盛んな大企業の新規事業創造に繋がる新たな形、ぜひご覧ください!

NTTデータのマーケティングDXメディア『デジマイズム』に掲載されていた記事から、新規事業やデジタルマーケティング、DXに携わるみなさまの課題解決のヒントになる情報を発信します。

【座談会メンバー】

左から田邉さん、堀越さん、田端さん

田邉 裕喜
株式会社NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部 サービスデザイン統括部 デジタルエクスペリエンス担当 課長
コンサルタントとして、小売・流通、製造、ユーティリティなどの業種を対象に、デジタル技術を活用した新規サービス創出や共創ラボ運営などのプロジェクトに従事。その後、スペインに拠点を置くコンサルファームeveris社に1年半ほど出向して欧州企業のDXプロジェクトに参画。帰国後、現職へ。現在は流通・サービス業のお客さまに向けたDXソリューションの企画やコンサルティングを通じて、お客さま企業のデジタル変革や新規サービス創出支援に取り組んでいる。

堀越 永幸
C&S事業本部 コンサルティング事業部 ビジネスコンサルティング統括部コンサルティング担当 課長代理
NTTデータに入社後、アプリケーションエンジニアとして大規模システムの開発に従事。その後、コンサルタントとして、小売・流通、旅行・観光業、サービス業、官公庁などの業種を中心に、デジタル技術を活用した新規サービス創出やDX推進などのプロジェクトに従事(現職)。自身が新規サービス創出に取り組み失敗する中で得た学びを活かすべく、有志と共に「ビジネスデザインスプリント®」を開発・展開中。

田端Shelly 志織
C&S事業本部 コンサルティング事業部 ビジネスコンサルティング統括部コンサルティング担当 主任
2013年入社後、グローバル事業部にて自動車産業における戦略営業やPMOを担当。後に現担当に移り、組織・人材開発、および新規事業創出支援の両軸で、エネルギーや自動車、IT産業を中心としたお客さま企業の変革支援に取り組む。2021年春より立教大学大学院LDCにて、本格的に組織・人材開発を学びながら、現場での活動に還元できるよう試行錯誤している。

藤沢 勇輔
株式会社Swap(スワップ)CEO / エグゼク-サーチパートナーズ株式会社 
慶應義塾大学(SFC)卒。DeNA、リクルートを経てヘッドハンティング、脳科学を活かしたキャリアメンタリングに従事。エージェント業と並行し関わるビジネス領域を拡げ、株式会社Swap(スワップ)を創業。法人向けにチームやコミュニティの活性化を支援するOFFHACK®︎(オフハック)を開発・提供。また、メンター・ビジネスタレントのイベント企画やネットワーキングを通じて「非連続な可能性をアップデートする」プロジェクトを推進中。

ビジネスデザインスプリントコミュニティの成り立ちと概要

インタビューの様子 左から田端さん、田邉さん、Swap社 藤沢さん、堀越さん

-BDSコミュニティとはどのようなコミュニティなのでしょうか。

堀越さん:ビジネスデザインスプリント®(BDS)という”新規事業創造の初期段階で手に取るドリル”を共通項として集った社内コミュニティです。このBDSは2019年頃から私含めた社員有志数名で開発を進めているもので、当初はBDSを普及する活動に取り組んでいました。この活動を通して知り合った社員はいずれもそれぞれの部門で新規事業創造に孤軍奮闘している方々だったので、こうした社員がひとつに集まれば、もっと面白いことができるのではないかと思ったのがBDSコミュニティの始まりです。まずはスモールスタートで2020年の冬に社内Microsoft Teams上にオンラインコミュニティを立ち上げることから始まりました。

ビジネスデザインスプリントとは?

デジタル時代のビジネス企画の救世主となるか?「ビジネスデザインスプリント(仮)」展開中!

田邉さん:立ち上げ当初は数十名程度で、それでも多くの方に集まっていただいたと思っていましたが、今では事業部だけでなくスタッフ部門や技術開発部門など、さまざまな組織の社員が集い、270名を超える大規模なコミュニティとなっています(2021年8月末現在)。

堀越さん:270名超の参加者のうち、8割以上がアクティブに参加頂いている非常に活発なコミュニティになっています。そのひとつの理由は、コミュニティ運営に取り組んでいる7名のメンバ ーができる限りTeams内の投稿にクイックレスポンスするようにしていることだと思っています。

藤沢さん:BDSコミュニティが人を惹きつける要因は何だと思いますか。

田端さん:新規事業を検討する際に企画者が感じる「孤独」ではないかと考えています。新規事業創出に取り組む際はたいてい少人数ですし、第三者から自身のビジネスアイデアにさまざま な意見・批判をもらう中で、誰もが孤独感を感じるものと思います。そんな時、取り組むテーマが異なっていたとしても同じように新規事業に取り組む仲間と気軽に話し合える環境が必要なのではないでしょうか。こうした点がBDSコミュニティに人が集まる要因ではないかと考えています。

藤沢さん:最初はドリルとしてのBDSが面白いと思って参加した人が多かったのではと思うのですが、コミュニティそのものに魅力を感じ、参加される人も最近は多いということですね。

田邉さん:そうですね。新規事業創造って言わば大海原での宝探しのようなものなので、その中でBDSコミュニティが活気ある港町のような立ち位置になれば良いなと考えています。BDSが航海術、コミュニティに集う社員が船乗りだとイメージすると、港町であるBDSコミュニティが船乗りたちのホームとして安心感があり、かつ常に活気づいていれば、多くの人がコミュニティでさまざまな学びや出会いを得て、新たな船出(新規事業への挑戦)がしやすくなると思っています。

新規事業創造は大海原での宝探し

ビジネスデザインスプリントコミュニティの主な取り組み

-BDSコミュニティの活動内容について、より詳しく教えてください。

堀越さん:BDSコミュニティ設立当初は、BDSに関する投稿や、新規事業に関する最新のトレンドニュースやビジネスイベントの共有・案内が中心でした。コミュニティメンバ ーが増えていくにつれて、次第に新規事業創造について相談する場所がほしいといったニーズが増したことを踏まえて、今ではBDS RadioやBDS Talkと言った運営メンバ ー発の企画に加え、ビジネスアイデアの壁打ち会や、新規事業創造に関するお悩み相談やアンケートやインタビューなど調査プラットフォームとしても活用いただくことが増えています。

左から藤沢さん、堀越さん

堀越さん:まずBDS Radioは、面白い取り組みをしている社員をゲストに招き、新規事業創造に関わる人にとってヒントになるような内容をラジオ風にお届けする企画です。オンラインだと一方的に話を聞くのが面倒に感じることも多いので、私たちがDJ役となってゲストの話を深めたり、「オハガキコーナー」を設けてチャットで届いた質問に答えたり、盛り上げを工夫しながら運営しています。時にはチャット欄で別の議論が盛り上がることもあって面白いですね。

BDS Radioの様子

ちなみにこの企画は、社内ビジネスコンテストでBDSを活用した社員の話を聞いたことがきっかけです。その時の話が非常に面白く、自分が聞くだけではもったいないと感じ、新規事業創造を考える多くの人が同じ話を聞きたいのではないかとの想いから立ち上げました。

田邉さん:ビジネスアイデアの壁打ち会は、企画中のビジネスアイデアについてさまざまな視点からのアドバイスが欲しい時に利用されています。クローズ・オープンの2形態があって、クローズは私たち運営メンバ ーのみとのディスカッション、オープンは運営メンバ ーに加え、コミュニティメンバ ー自由参加で各々が良い意味で”好き勝手に”コメントする場です。意外にも、オープンの壁打ち会リクエストも多くいただきます。もうひとつの面白い企画がBDS Talkです。これは、BDSコミュニティに所属している人々の人となりを知ってもらうことをコンセプトにしている企画です。この企画では、藤沢さんがSwap社で開発されている「OFFHACK®︎(オフハック)」というプロダクトを使わせてもらっています。

オンラインコミュニティでメンバーの人となりがわかるOFFHACK®︎

Swap社 藤沢さん

-OFFHACK®︎(オフハック)とはどのようなプロダクトでしょうか。

藤沢さん:OFFHACK®︎は価値観や人となりを知ることができるプロダクトです。機能は適宜追加していく予定ですが、OFFHACK®︎を通じてコミュニティに参加しているメンバ ーの「1次情報/人となりの多様性にタッチできる」ことを最良のUXとして開発・提供しています。OFFHACK®︎の概念は、オンラインと対極の意味の「オフラインをハックする」ことから着想を得ています。デジタルでシームレスに完結する世の中ですが、対面で会った時のような、デジタル上で触れることのない1次情報のコミュニケーションをOFFHACK®︎を用いて自然とアップデートしていきたいと考え、日々チームで議論を重ねています。

田邉さん:最近はテレワーク中心ですし、BDSコミュニティのメンバ ーは社内のさまざまな部門から集っているため実際リアルな場で会ったことがある方々は非常に少ないです。そんな中、OFFHACK®︎を通してメンバ ーの人となりが知れるのはBDSコミュニティが活発に活動できている大きな要因の一つだと思っています。

藤沢さん:ありがとうございます。それこそリアルな場でみなさんにお会いするのは今日が初めてですが、OFFHACK®︎で事前にコミュニケーションしていたので初めてお会いした気が全くしないですね。

田邉さん:そうですね!ちなみにOFFHACK®︎を開発・提供する中で大切にされていることはありますか?

藤沢さん:先ほどお話し した「1次情報/人となりの多様性にタッチできる」ことはもちろんですが、Swap(スワップ)社では 「対話するエコシステムで非連続な可能性をアップデートする」をビジョン・ミッションにしていて、「対話」を大切にしています。「対話」というフレーズは最近よく聞くと思いますが、特に大切にしている観点は「心理的安全性の高い場」を提供することです。そして、そのためには「相手の興味・関心事に触れ、話を傾聴・肯定する文化づくり」が必要不可欠です。OFFHACK®︎をご活用いただく法人のコミュニティ・チームとは、まず未来志向でどのような場や文化を作りたいか対話をしています。その上で、活性化やブランディング、社内外のネットワーキングに寄与できるようにOFFHACK®︎の開発・提供を進めています。

ビジネスデザインスプリントコミュニティの今後の展望

-今後、BDSコミュニティをどのようにしていきたいか、展望を教えてください。

堀越さん:BDSコミュニティを参加者に今以上に自由に伸び伸びと使い倒してもらえるといいなと思います。この場を使って、それぞれのビジネスアイデアや取り組みを建設的に議論しあいながら、自らのビジネスアイデアを良い新規事業にアップデートさせてもらえればと願っています。また、私自身は現在、お客さま企業のDXコンサルティングに取り組んでいるのですが、実はこういった社内の自発的なコミュニティを欲しているお客さま企業が数多くいると日々感じています。今後はBDSコミュニティで培ったコミュニティ形成や運営ノウハウを当社のお客さま企業にも活用いただければと思います。

田邉さん:近い将来、お客さま企業内で形成されたコミュニティとBDSコミュニティがコラボレーションをし、より良い相乗効果を社会に与えられるかもしれませんね。

田端さん:そうですね。私は新規事業を検討する際、少しでも多くの人に楽しい!と思ってほしいと思っています。コンサルタントとしてお客さま企業のDX支援や新規事業創造PJに関わる中で、「なんでみんな暗い気持ちで仕事をやっているのだろう?」と疑問に思ったことがあります。ですので、BDSコミュニティを通じて新規事業創造に挑戦している少しでも多くの人に楽しみながら仕事をしてもらいたいという願いで、今後もBDSコミュニティに貢献していけたらいいなと思います!

-今後の発展、期待しています。本日はありがとうございました!

座談会後 左から堀越さん、田邉さん、藤沢さん、田中、田端さん

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