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2023.5.22事例

Salesforceと住宅地図を活用し、不動産に強い銀行を目指す

投資用不動産ローン事業を主力事業として成⾧してきたオリックス銀行は、Salesforceに組み込める地図サービスとして「Location Manager®」を導入した。同社はSalesforce上で直接地図を見ながら、社内で蓄積された不動産情報を確認することで不動産価値の評価精度を高め、融資審査業務に活用することを見込む。これにより情報の検索性や操作性を向上させ、過去に融資した物件情報を検索するプロセスを大幅に削減するとともに、社員の暗黙知を取り込むことでシステム上での情報共有を実現し、知識レベルの底上げを期待している。

目次

導入経緯

Location Managerの導入に至る背景や課題を教えてください。

津田氏オリックス銀行は投資用不動産ローン事業を主力事業として成長してきた銀行です。投資用不動産ローン事業では、物件そのものの品質だけでなく、周辺エリアに関する情報までも含めた知見が必要です。以前から投資用不動産ローンに注力してきた当社には、その知見を持ったベテランが数多く所属していました。ただ近年、ベテランが持つ知識やノウハウを若手へ継承することに難しさを感じていました。以前は主に口頭、つまり直接話して伝える行為に依存していたのですが、技術革新、業務のデジタル化という時代の変遷もあり、仕事の形がかなり様変わりしてきました。そしてデジタル化や分業化が進んだ結果、知識やノウハウの希薄化が生じているのではないかと危惧していたのです。

ローン事業の担当者には、どのような知識やノウハウが求められるのでしょうか。

津田氏物件は一つ一つ条件が異なり、建物以外の要素だけでなく、周辺の環境によっても違ってきます。例えば災害リスクや嫌悪施設の有無なども不動産の価値に影響を及ぼすことがあります。「このエリアのこの物件は注意が必要だ。慎重に扱う必要がある」というような情報はベテランから口頭で伝えられてきたものでした。

赤羽根氏これらの問題を解決するには、物件の情報やエリアの雰囲気、治安といった情報を共有、集約、蓄積し、若手に継承するためのソリューションが必要です。そこで導入に踏み切ったのが、Salesforce上でシームレスに地図データを利用できるサービス「Location Manager」でした。

図1:Location Managerイメージ

図1:Location Managerイメージ

ベテランと若手のギャップを埋めてくれることをLocation Managerに期待されたわけですね。

赤羽根氏不動産事業において地図は切っても切り離せない関係にあります。例えば融資した情報がリストで一覧になっていたとしても、住所を見ただけでは「その物件がどこにあるか」「最寄り駅はどこか」というような情報は頭に入ってきません。しかし、地図上で可視化すれば瞬時にわかります。それこそが地図を使う最大の理由です。

選定理由

システムの面ではどのような課題があったのでしょうか。

赤羽根氏以前から物件情報を可視化するという地図システムを導入していたのですが、データベースとは独立した別のシステムとなっていました。そのため、融資の状況を確認する際は、複数の画面を行ったり来たりしなければならず、情報を整理するときにもデータベースから地図に転記しなくてはいけないという作業効率の悪さも課題でした。

図2:お客様の課題

図2:お客様の課題

Location Managerを選定する上で評価した点をお聞かせください。

赤羽根氏採用した最大の要因は、やはりSalesforceに組み込める地図サービスであった点につきます。これにより、データベースと地図の一体化が実現できます。また導入費用も非常に安価で、構築までのタームが短く、NTTデータにコンサルティング的な立場でサポートをいただける点も高く評価しました。オプションでゼンリンさまの最新の住宅地図(※1)が利用できる点もメリットの一つです。
また、もともと若手や経験の浅い担当者に地図に触れる機会を増やしてもらいたいという狙いもありましたので、「得たい情報にすぐにたどり着ける」という操作性は特に重視しました。

(※1)ゼンリン住宅地図データ

株式会社ゼンリンが提供する一軒一軒の建物名称、居住者名や番地、マンションの入居者名、ビルのテナント名などあらゆる情報が掲載された地図データです。

NTTデータの取り組み

昨今、企業における営業活動は、個人型営業から組織型へ移行が進んでおり、CRM領域のリーダーであるセールスフォース・ジャパンの製品導入が進んでいます。これに伴い、Salesforce製品上で住宅地図を見ながら情報の登録・収集を行い、営業戦略に活用したいニーズも高まっています。しかし、これまでSalesforce Lightning Experienceユーザーインターフェースで、ゼンリン住宅地図データとシームレスに連携したサービスはありませんでした。

NTTデータは2003年から、地図情報コンテンツと業務アプリケーションを連携させるクラウドサービスBizXaaS MaP®(※2)を提供しており、これまで300社以上の導入実績があります。また、セールスフォース・ジャパン社のパートナー企業として、お客さまに寄り添ったサポートと優れたサービスを提供していることが評価され「Partner Summit Award」を2年連続で受賞しています。こういった背景から「Location Manager®」をリリースしております。

図3:Location Manager概要

図3:Location Manager概要

オリックス銀行さまの導入にあたっては、地図サービス利用という観点だけでなくSalesforceでのデータの組織的な活用を意識したサポートが必要でしたが、上記の弊社の強みを生かすことで、スムーズな導入を実現しました。BizXaaS MaPのこれまでのノウハウによって、情報の検索性や操作性を向上させ、作業効率の課題を解決するとともに、Salesforce上でのデータベースと地図の一体化による情報共有の実現により、知識やノウハウの希薄化の課題解決も支援しました。

(※2)BizXaaS MaP

NTTデータが提供する豊富な位置情報コンテンツと業務APをワンストップで提供する地図配信のクラウドサービスです。

導入効果

実際にLocation Manager使ってみた評価はいかがでしたか。

赤羽根氏操作してみたときの第一印象は、まず非常に使いやすいこと、そして動きがスムーズだったことに驚きました。以前、私たちが利用していた地図サービスとも比べて格段に動かしやすかったので、非常に高く評価しています。

Salesforceの画面内にLocation Managerの地図を見られるので、ユーザーはさまざまな情報にひとつの画面で包括的にアクセスできます。そのため、情報の検索性や操作性が非常に上がり、過去に融資した物件情報を検索するプロセスが大幅に削減できると期待しています。

図4:Location Manager画面イメージ

図4:Location Manager画面イメージ

またLocation ManagerはUIのカスタマイズ性に優れており、物件情報を検索するときの条件も私たちの思い通りにカスタマイズができます。例えば、最寄り駅、竣工年月、融資を実行した年度など、さまざまな条件でのクロス検索も可能です。

融資の判断などの精度向上も期待できるものでしょうか。

赤羽根氏地図上で周辺エリアにあるさまざまな施設が視覚的に見えるのと同時に、周辺環境に関するコメントも付け加えられるようになりました。この機能を利用すれば、口頭で伝えなくとも、物件の価値に関する判断ができます。

今後の展望

これからの展望をお聞かせください。

津田氏不動産というものは、エリアと物件だけで評価しがちです。しかし本来の不動産は一つ一つが異なり、隣同士の物件でも築年数や仕様、管理状態によって違いがあります。そういった不動産情報を蓄積していけば、価値ある情報資産として成長させていけると思っています。

赤羽根氏今後はさらに、私たちが蓄積している不動産の情報以外にも、外部の不動産情報、売買物件の情報、賃貸物件の情報などを連携させ、不動産の価格や賃料の妥当性をより深く検証できるようなシステムの構築を目指していきます。

津田氏NTTデータにはご協力をいただき、大変感謝しています。不動産に強いコンサルティングバンクを目指す上において重要な「不動産に関する情報の蓄積、活用」をSalesforceとLocation Managerを使って実現していきたいと思っています。

NTTデータの今後の取り組み

図5:NTTデータの今後の取り組み

図5:NTTデータの今後の取り組み

Location Managerは2023年春には不動産登記・法人登記の取得機能を追加し、登記の取得とPDF自動解析を行うことでSalesforceでの情報活用を加速させます。またGoogleマップ ストリートビュー機能も実装され、簡易的に現地確認を行うことが可能です。
今後の展望として、各種統計データやオープンデータなどを取り込み、地図上へ配信する機能を検討しており、より高度な業務分析への活用をサポートします。今後の更なる営業力強化ニーズに対応するためLocation Managerは進化を続けていきます。

企業紹介

オリックス銀行株式会社

オリックス銀行株式会社
1993年設立。投資用不動産ローン事業などを主軸に成長を続ける金融機関。サステナビリティを基軸とした運営をしつつ、長年の運営で培った知見によるファンドの厳選や、AIを活用したキャッシュフローシミュレーターなどを提供することで、利用者から「選ばれ続ける銀行」であることを目指している。
https://www.orixbank.co.jp/

「Location Manager」の詳細については以下を確認ください。
BizXaaS MaP「Location Manager」
https://madore.glbs.jp/contents/location_manager.html
AppExchange「Location Manager」
https://appexchangejp.salesforce.com/appxListingDetail?listingId=a0N3u00000Qt9rhEAB

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