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2023.7.11業界トレンド/展望

全英オープンゴルフでも導入!顧客体験を変えるデジタルヒューマンの「おもてなし」とは

昨今、人手不足の解消や生産性の向上に取り組む企業が自社に合った課題解決策を模索しており、その1つとしてデジタルヒューマンの活用に大きな期待を寄せています。そんな中、NTTデータは、今年151回目を迎える全英オープンゴルフにおいて、AIを活用したデジタルヒューマンを導入。会場に訪れたゴルフファンに対して双方向コミュニケーションの体験を提供します。本記事では、ビジネスにおけるデジタルヒューマンの価値について、具体的な導入事例を交えながら探っていきます。
目次

全英オープンにデジタルヒューマンを導入

現在AIはさまざまなビジネス領域において、劇的な変革をもたらしています。AIの活用はまだ初期段階ではあるものの、特に私たちの「働き方」に関して、AIは多大な影響を与えるだろうと考えられています。その1つとして、大きな変革が起こると予想されるのが、顧客体験の領域です。AIがタスクの自動化や効率化を行い、一人ひとりに合わせたサービスを提供することで、より良い顧客体験を実現。企業としては、顧客満足度とロイヤルティを向上させることができます。

NTTデータは、グローバルにおいて、デジタルと人間の最適な融合を支援するプラットフォーム「it.human」をさまざまな分野で展開。今年開催される第151回全英オープンゴルフにも、このプラットフォームを導入し、AIを活用した新しい顧客体験を提供します。

デジタルヒューマンの活用イメージ

デジタルヒューマンの活用イメージ

全英オープンゴルフに協賛するNTTデータは、R&A(全英ゴルフ協会)と10年にわたるパートナーシップを築いてきました。2014年からはNTT DATA Wallを、2022年の第150回全英オープンではShotViewを導入し、プレー中に何十億ものデータポイントを分析することで、ゴルフファンに対して、新たな視点や発見をリアルタイムに提供しました。そして、今回導入するデジタルヒューマンは、これまでで最も双方向な体験を来場者に届けます。

NTT DATA Wall

NTT DATA Wall

デジタル技術が生み出す「おもてなし」

NTTデータが今回の全英オープンで導入するのは、AIを搭載したデジタルヒューマン「Lottie(ロティ)」です。

Lottieは、ウィンブルドン・レディース・シングルスで5回の優勝を果たしたイギリスのスポーツ選手、Charlotte ‘Lottie’ Dodにちなんで名付けられました。Lottieは、人間の動きや音を再現し、ジェスチャー、ボディランゲージ、表情、声のトーンを使って、従来のセルフサービス・インターフェースに人間的な要素を加えています。これにより、Lottieはより魅力的な双方向のコミュニケーション体験を生み出し、デジタルと人間とのやり取りの長所を組み合わせることで顧客体験に変革をもたらします。

全英オープンでは、Lottieは来場者を楽しませるだけでなく、トーナメントや選手、ゴルフに関するさまざまな情報を提供してもてなします。今年の選手権でLottieが提供されるエリアは一部に限定されていますが、将来的にはあらゆる場所にいるゴルフファンのガイド役となる可能性を秘めています。

デジタルヒューマンが備える「人間らしさ」の秘密

デジタルヒューマンとは、人間のような特徴や外見を持つ3Dモデルを作成または使用する技術の総称です。コミュニケーションや感情表現などを自動で行う最新技術を活用することで、さまざまなユースケースで「人間らしさ」を提供することができます。

デジタルヒューマン技術の概要

デジタルヒューマン技術の概要

デジタルヒューマンは、人間との対話を再現するために以下のような機能を備えています。

  • 忠実度の高いデジタルアバター:本物そっくりの外見や動きを再現することができます。また、タッチスクリーン上に表示されるデジタルヒューマンに、音声、ビデオ、画像などのマルチメディアを統合することも可能です。
  • 自然な対話能力:デジタルヒューマンは、自然で日常的な言葉を聞き取り、理解することができます。また、自然な音声で応答し、そのトーンによって感情を表現することもできます。
  • カメラによる視覚的反応:カメラを搭載しているデジタルヒューマンは、人が近くに立っていることを検知し、それに反応することができます。
  • 会話型AI:デジタルヒューマンは会話型AIによって、ユーザーの意図を理解し、適切かつ有益な回答を提供することが可能です。さらに、バックエンドのシステムやサービスと統合することで、回答の精度や質を向上させることができます。(※)

これらの機能を生かすことで、本物の人間に近い自然なコミュニケーションを可能にしています。もちろん、NTTデータが全英オープンに導入するit.humanもこれらの機能を備え、人間らしいおもてなしが可能です。

NTTデータによるAIのビジネス活用事例はこちら
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/data-and-intelligence/

(※)

一般に、対話型AIによって生成された応答文には誤答や攻撃的・差別的な内容が含まれるリスクが存在します。対話型AIを適用する領域には十分注意し、こうしたリスクが発生しにくい範囲や、発生しても問題が少ない範囲で利用することが重要です。また、生成された応答文をそのまま次の処理に渡すのではなく、可能な範囲でデータベースに照らし合わせて情報の正しさを確認する、特定の語句を含まないかを確認する等の対処も必要です。定期的に応答内容を確認し、問題がないことを確認する仕組みを作ることも重要です。

NTTデータのit.humanプラットフォームでできること

it.humanのテクノロジーはキオスク端末だけでなく、ノートパソコンや携帯電話でも利用できます。また、QRコードにも対応しており、キオスク端末に設置されている場合でも、ユーザーは個人の端末から利用することも可能。プログラミングを日々修正する機能を持ち、極めて柔軟に、さまざまなユースケースを生み出すことができます。

以下のようなものが、具体的なユースケースとして挙げられます。

  • ヘルスケア - 在宅ケアにおける状況把握や薬の飲み忘れ防止
  • 小売業 - 店舗に関する情報や関連する売り場への道案内
  • 観光 - ナビゲーションや状況に応じた情報提供などを行うポータブルガイド

導入事例:デンマークKrifa社における顧客サービスの強化と仕事満足度の向上

デンマーク最大の失業保険基金であり、労働組合でもあるKrifa社。受付業務のパフォーマンスを調査したところ、受付スタッフのスキルや経験が効果的に活用されておらず、その能力が十分に発揮できていないことが判明しました。そこで、Krifa社は顧客サービスを近代化するだけでなく、来訪者や従業員の満足度を高めるためのDX推進に取り組むことを決定しました。

Krifa社が抱えている顧客サービスや人的リソースの活用における課題を見出したNTTデータは、AIを搭載したデジタルヒューマンである「Aida(アイーダ)」を提供。Krifa社の受付にキオスクとして設置しました。これにより、来訪者はチャットボットやタブレット端末といった非人間的なインターフェースに頼ることなく、デジタル受付担当者とシームレスに対話することができるようになりました。

また、NTTデータはアイーダをKrifa社の既存システムに統合。よくある質問への回答や管理業務の一部など、従来ルーティンワークとして行っていた作業を、it.humanプラットフォームによって自動化することに成功しました。これにより、受付スタッフをしていた従業員が別の業務に就くことが可能になりました。その結果、仕事の満足度が向上し、顧客サービスのスキルがより効率的に発揮されるようになったのです。

Krifa社に導入したデジタルヒューマン「Aida(アイーダ)」

Krifa社に導入したデジタルヒューマン「Aida(アイーダ)」

来訪者からは、非常に好意的な声が寄せられています。特に顔の見えないタブレットによるチェックインと比較して、AIアバターによるフレンドリーで温かい歓迎が高く評価されています。アイーダは30種類の一般的な受付業務を自動で行っており、来訪者に対して、英語とデンマーク語の両方で流暢に案内をしています。その洗練されたテクノロジーに、来訪者とスタッフは驚かされたと言います。また、公共交通機関や周辺の施設、Krifa社の建物に関する知識など、来訪者が必要とするであろう関連情報も統合することで、アイーダは来訪者の体験をさらに向上させています。

なぜNTTデータが選ばれたのか?

NTTデータはビジネス上の問題を理解し、解決し、DXまで実施できるエキスパートとして選ばれました。Krifa社が抱えるビジネス課題を正しく把握したうえで、Krifa社に合わせてソリューションをカスタマイズし、最適な提案をする。そこには、さまざまな分野での豊富な経験を持つNTTデータの強みがあります。個別の事情や環境を鑑み、最適と考えられるアプローチを通じて、NTTデータはKrifa社の受付業務を変革し、顧客体験と従業員の満足度向上を実現しました。

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