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2024.7.25業界トレンド/展望

ビジネス拡大のカギは「CXマネジメント」その可能性とお悩みポイントに迫る!

お客さまのデジタルシフトに対応するため、データとテクノロジーを活用した顧客体験価値(CX)の向上に取り組む企業が増加している。その中でも、顧客満足度の向上や顧客関係管理(CRM)から続く世界観である「顧客体験管理(CXマネジメント)」の重要性が高まっている。本稿ではNTTデータの考えるCXマネジメントの姿とCX向上に向けた取り組み方について紹介する。
目次

1.CXマネジメントとは

事業拡大にあたってCX(顧客体験価値)の向上に対する認知が広がっています。これまで、企業が顧客との関係性を構築したり、ロイヤルティを測ったりする際には、顧客満足度やCRMツール(顧客関係管理ツール)上で可視化されたデータを参照し、その情報をもとに顧客ロイヤルティを高めていく活動が一般的でした。

一方、現在は、デジタルシフトの加速により、顧客接点の多様化・複雑化、顧客主導での情報収集・取捨選択といった、顧客側の選択権の拡大が進んでいます。このような市場環境では、顧客とのコミュニケーションの結果を示す顧客満足度やCRMデータの把握に加え、顧客の得た体験や体験を通して生じた感情をも捉えて、エンゲージメント向上に取り組む重要性が大きくなります。つまり、顧客満足度などの指標の重要性は依然として高いものの、さらに顧客を深く理解するアプローチがビジネス拡大のカギと言えるのです。

図1:顧客体験データ取り扱いの発展の概要

図1:顧客体験データ取り扱いの発展の概要

NTTデータでは、多様化・複雑化する顧客との接点や取り交わしを、一連の顧客体験として包括的に「管理(Management)」するアプローチにより、継続的に良質な体験を提供し、結果としてエンゲージメント向上と持続的なビジネス成長をもたらすことができると考えています。

このような一連の体験の提供と、顧客体験(顧客の声、評価、感情)データの収集・分析を起点に、事業戦略や業務体系を見直すことで、顧客体験の継続的向上と持続的な事業成長を図る活動を“CXマネジメント”として定義し、企業への導入を推奨しています。

図2:NTTデータの“CXマネジメント”コンセプト

図2:NTTデータの“CXマネジメント”コンセプト

また、CXマネジメントの導入および実践にあたっては、データを取得するだけでなく、得られたデータをもとにCX向上に向けた改善活動に取り組むことが最も重要な観点です。顧客対応の即時改善、根本的な業務やサービスの改善、いずれの面においても、従来なかった業務をいかにして組織や業務プロセスに浸透・定着させるか、行動変容を起こせるかが成功を左右するのです。

図3:改善アクションの取り組みイメージ

図3:改善アクションの取り組みイメージ

前述の通りCXマネジメント活動を通して事業成長への貢献が期待できますが、その有用性を示す例として、Qualtrics社の実施した消費者調査をもとに2点ご紹介します。

(1)LTV(Life Time Value)向上への寄与

1点目はLTV向上への寄与です。Qualtrics社の調査結果では、24か国17の業界における消費者の満足度が、再購入の意欲と高い相関があることが判明しています。つまり、一連の体験を通して顧客満足度を管理し、向上する取り組みを行うことで、ユーザーの再購入が増加し、LTVの向上へとつながります。

図4:投資対効果としてのCX向上への取り組み(出典:Qualtrics社)

図4:投資対効果としてのCX向上への取り組み(出典:Qualtrics社)

(2)他社との差別化

2点目は他社との差別化です。下図ではCXの高まりに伴う企業やブランドへの信用度・推奨意向・再購入意向の変遷を示しています。満足度の高い体験を獲得できた顧客は、いずれの値も高く示す傾向にあり、企業・ブランドへのファンになった状態と推察されます。このようなファン層に対して、ファンになった経緯や重要となった体験を紐解き、その要素を磨き上げることで、企業独自の強みとして訴求力の向上や他社との差別化が実現できます。

図5:CXと顧客ロイヤルティの繋がり(出典:Qualtrics社)

図5:CXと顧客ロイヤルティの繋がり(出典:Qualtrics社)

2.日本市場におけるCXマネジメントの浸透状況

企業におけるCXマネジメントの取り組みは、デジタルシフトの加速に加えて、パーソナライゼーションへのニーズの増加などを背景に、北米を中心にグローバル市場で広がりを見せています。最新のQualtrics社の調査結果によると、7割近くの経営者がCXならびにそのマネジメント活動を重要な経営課題と捉えており、また、取り組みを進める企業と後れを取る企業でビジネス成果にも差が出てきている状況が明らかになってきました。

図6:CXリーダー・ラガードのビジネス成果の獲得状況(出典:Qualtrics社)

図6:CXリーダー・ラガードのビジネス成果の獲得状況(出典:Qualtrics社)

一方、日本国内市場においては、データプライバシーの懸念や文化的要因により、グローバル市場に比べてCXマネジメントの導入が遅れています。当社では、市場全体としてはCXへの取り組み・認知は拡大しているものの、事業成長やその拡大に結び付けられていない、あるいは、経営活動として重要な位置づけになっていない状況と解釈しています。

実際にお客さまとのやり取りの中では、CXの重要性は理解しているものの、顧客体験の“マネジメント”ができていないといった声(一貫した指標やルールに基づいた管理ができていない、顧客の声を正しく理解・分析できていない、当事者意識が低く、行動変容につながらないなど)が多く聞こえています。

これらの課題と向き合い、いかにCXマネジメントへ早期着手し、業務に組み込むことができるか。今はまさに、企業間での事業成長や成長機会創出の差が開き始めるステージにあると考えています。

なお、国内においてもBtoB/BtoCそれぞれ、事業課題に対してCXマネジメントを実践する先進事例が登場しており、これからさらに取り組みが広がる見込みです。先進事例を2つご紹介します。

保険業(BtoC):

  • 課題:業界の成熟に伴うサービスの均質化・陳腐化、離反率の上昇
  • CXマネジメントによる効果:均質化する保険サービスにおいて他社とは差別化したオペレーションや1to1での顧客体験の創造。顧客ファン化によるLTV向上の実現。

重工業(BtoB):

  • 課題:失注率の低減(入札案件に対する長期間に渡る提案活動の確度向上)
  • CXマネジメントによる効果:競争入札時のみならず、提案活動期間における随時評価を獲得することで効果的な提案活動の実践と、受注確度の向上を実現。

3.CXマネジメントの取り組みポイント

これからCXマネジメントを導入し、取り組みを進めるに企業に向け、当社の考えるベストプラクティスをもとにした取り組みポイントを解説します。

はじめに、当社の考えるベストプラクティスは、顧客起点の事業活動の実践により、顧客・従業員・企業それぞれが共存共栄する姿の実現です。この姿の実現にあたって、第1章で述べた「データを取得するだけでなく、得られたデータをもとにCX向上に向けた改善活動に取り組むこと」が最も重要な観点です。軸となる取り組みは、以下3点と考えます。

  • (1)組織設計 -当事者意識の醸成-
  • (2)業務設計 -CX偏重にならない仕組みづくり-
  • (3)ありたい顧客体験のデザイン -闇雲にならない改善活動-

図7:NTTデータのCXマネジメントベストプラクティスイメージ

図7:NTTデータのCXマネジメントベストプラクティスイメージ

(1)組織設計 -当事者意識の醸成-

CXマネジメント活動は、個人や特定の部署だけが取り組むのではなく“全社的な取り組み”をめざすことが肝要です。そのために、経営層・マネジメント層・現場部門がそれぞれ一体となって活動するための役割の設定ならびに、共通の価値観やCXマネジメント活動と事業KPIを紐づけた目標の設定を通して、それぞれの当事者意識を醸成することがポイントです。

(2)業務設計 -CX偏重にならない仕組みづくり-

CXデータにもとづいた意思決定や活動はできていても、従業員体験(EX、Employee Experience)を毀損する取り組みの場合、現場がついてこれず定着・活用に至らないケースが大半です。良質なCXの提供を通して、自社で働くことの意義や働きがいを実感でき、前向きに取り組める仕組みづくりが重要なポイントと考えます。

仕組みづくりにあたっては、CXマネジメントの導入・実践に際して、顧客だけでなく、社内の既存業務やEXへの影響を調査した上で、業務を設計する必要があります。また、必要に応じて組織内に取り組み意義・メリットを訴求し、業務としての認知向上・当たり前化を進め、日々の業務の中で自然にCXデータが収集される仕組みをめざします。

(3)ありたい顧客体験のデザイン -闇雲にならない改善活動-

まず、NTTデータでは「CX向上活動 ≠ 闇雲なお客さま第一主義」と考えています。その理由としては、さまざまな属性のエンドユーザーが存在する中で、見境のないCX向上活動は終着点を失うためです。対応策として、どこまで何をやるのか、合格点をどう設定するのか、事前に目標・取り組みのラインを設定することが必要となるのですが、非常に難しい課題です。当社の推奨方法としては、「“企業の考える”お客さまの成功の定義」と「企業としての成功の定義」を事前にデザイン・指標化しておき、その指標に応じた意思決定基準や対応目標時間などを設計しておくことで、効率的かつ効果的な改善活動が実践できると考えます。

4.おわりに

NTTデータでは前項の取り組みポイントを押さえつつ、お客さま環境に合わせたCXマネジメント支援のラインアップを提供しています。現在のCX調査内容および業務内容の紐解きをはじめ、ありたい顧客体験/活用にあたっての指標定義をデザインし、実行環境の構築、成果創出に向けた伴走支援までEnd to Endでのご支援を実施します。

他社にはない実行までを考慮した企画、豊富な経験に基づく信頼のあるシステム構築、一流のデザイン/コンサルティング体制によって、これからもお客さま企業のビジネス加速を支援していきます。

図8:NTTデータのCXマネジメント支援サービス

図8:NTTデータのCXマネジメント支援サービス

NTTデータのCXイノベーション詳細はこちら:
https://enterprise-aiiot.nttdata.com/service/cx_innovation

【BtoB向け】「部門間連携を促進し、CX最大化を実現する“RevOps”とは?」はこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/trends/data-insight/2023/0907/

【ウェビナーアーカイブ配信】「選ばれ続ける「顧客体験」をつくるには?~鍵はデザインとテクノロジーの融合~」はこちら:
https://css.nttdata.com/event/ngf/vol42/

「TheyDo社とのパートナーシップ契約により部門横断型の顧客体験支援を強化」はこちら:
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2024/072400/

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