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2024.8.16業界トレンド/展望

CX変革を実現する『カスタマージャーニーマネジメント』

昨今、CX(顧客体験)マネジメントの重要性が高まってきており、ビジネスKPIやCXデータなどの指標を元にCX変革サイクルの構築に挑戦する企業が増加している。しかし、その多くで、各種指標やCX改善の取り組みを組織横断的に管理し運用していく「本質的なCXマネジメント」が実践できているとは言い難い。本稿では、「本質的なCXマネジメント」を実践するための『カスタマージャーニーマネジメント』についてご紹介し、CXの継続的改善と持続的なビジネス拡大を実現していく秘訣をお伝えする。
目次

1.CXマネジメントにおける課題とあるべき姿

近年、テクノロジーの進化などで顧客接点が多様化するとともに、市場の変化スピードも速くなっていることから、お客さまに一貫性のあるCXを提供することが難しくなってきています。つまり、意識的にCXをマネジメントしていかなければならない時代が来ていると言えるでしょう。

では、CXをマネジメントするとは、どういうことなのでしょうか。それは、社内の組織や業務の壁を越えて、「一貫性のある体験を提供し、お客さま化・ファン化を加速させていくこと」であると考えています。

NTTデータの考えるCXマネジメントのあるべき姿とCX向上に向けた取り組み方については、下記の記事で詳しく紹介していますのでご参照ください。
ビジネス拡大のカギは「CXマネジメント」その可能性とお悩みポイントに迫る!

2.優れた顧客体験を提供するためのアプローチと課題

優れたCXを提供するためのアプローチとして、顧客が商品やサービスを認知してから購入、利用に至るまでの一連の道のりを時系列で描く「カスタマージャーニーマップ」がよく使われます。

カスタマージャーニーマップを検討することは、サービスを提供する企業側の都合だけでなく、お客さまの視点で商品やサービスを考えることにつながります。しかし実際には、一度作成したカスタマージャーニーマップを見直ししないまま放置してしまっていたり、ある組織や部署だけでカスタマージャーニーマップを作成し、全社で一貫したKPI指標の管理ができていなかったり、といったことがよくあります。加えて、過去のCX向上施策の実行結果を反映せずに次の施策を考え始めたり、施策を打つこと自体がゴールになっていたりすることなどもよく見られます。皆さんの会社では、そのような状況に陥っていないでしょうか?

3.CX変革の新アプローチ『カスタマージャーニーマネジメント』

顧客接点が多様化する中、カスタマージャーニーマップを作成し、施策を検討・実施するだけでは、一貫したCXを提供していくことはできません。多様な顧客接点から得ることのできるデータを活用して、施策の効果検証を行い、それに基づきカスタマージャーニーマップを見直していく。こうした継続的なCX変革サイクルを構築することが大切です。それこそが「カスタマージャーニーマネジメント」であり、市場の変化スピードが速くなっているこの時代に重要となる考え方なのです。

「カスタマージャーニーマネジメント」を実践していくと、以下のようなことが実現できるようになります。

  • 1.データに基づいた根拠のある施策の立案
  • 2.施策の実行結果の迅速な反映
  • 3.組織横断でのビジネス効果の確認・共有

4.『カスタマージャーニーマネジメント』を実現するツール“TheyDo”

第3章で「カスタマージャーニーマネジメント」の考え方をご紹介しましたが、そうしたCX変革サイクルを自力で構築することは、実際にはなかなか簡単ではありません。そこで、NTTデータが企業のCX向上支援で活用する“TheyDo”というジャーニーマネジメントツールをご紹介したいと思います。

“TheyDo”は、CXの管理・分析を円滑化するWebツールです。CX向上に貢献する施策の企画、実施、評価、改善を一元管理するワークスペースを提供しており、AIによるデータ分析機能や、情報管理、分析ツールを活用することで、カスタマージャーニーマネジメントを効率化、円滑化します。

NTTデータは、企業のCX向上支援を強化するため、2024年7月に“TheyDo”を提供するオランダ・アムステルダム発のスタートアップ企業TheyDo社とパートナーシップ契約を締結しました。NTTデータではデザイナー集団「Tangity」を中心に、CX戦略の立案から実行までの業務に“TheyDo”を取り入れています。具体的には、お客さま企業とともに、部門ごとに個別に管理されているカスタマージャーニーマップを部門横断的に一元化し、高品質なCXの設計と迅速な実行を進めています。

上図は、“TheyDo”のプラットフォーム画面です。カスタマージャーニーマップを描いたことがある方は、馴染みのある構成になっていると思いますが、顧客満足度などのCX指標やビジネスKPIなどのデータがカスタマージャーニーマップの中に表示されています。これが、“TheyDo”の一番の特徴です。

“TheyDo”を使用すると、カスタマージャーニーマップを構築する初期段階で、QualtricsやSalesforce、Snowflakeなどのデータから得られる顧客満足度や製品の成約率などの定量データを取り込むことが可能になります。また、Miroで記述したカスタマージャーニーマップ、ドキュメント形式のインタビューデータやリサーチデータなどから顧客のインサイトを取り込むことも可能になっています。

顧客の声をカスタマージャーニーマップに正しく反映できれば、実態に即したカスタマージャーニーでの施策検討が可能になります。また、継続してブラッシュアップしていくことで、施策自体の品質向上にもつながります。

さらに、FigmaのようなデザインツールやJiraといったプロジェクト管理ツールなどとも連携できるため、ソリューション開発の進捗状況や実際のソリューションの開発画面などを“TheyDo”上で可視化することも可能です。ソリューションの提供により変化していくCX指標やビジネスKPIなどを確認しながら、施策の改善サイクルを回していくことができます。

例えば、社内の組織間連携がうまくできていない場合、隣の部署で似たようなカスタマージャーニーマップを作成しているけれども、連携されずに全く異なるソリューションを検討している、というようなことが起こります。そういった場合に、各組織が“TheyDo”を利用すれば、組織横断でカスタマージャーニーマップを共有でき、部門間のコラボレーションが促進されます。さらに、指標の達成状況も可視化されるため、顧客に対する共通認識も生まれます。

もう1つ、“TheyDo”の特徴としてあげられるのが、「Journey AI」というカスタマージャーニーマップの型を作ってくれる機能です。Miroや、Word、Excelなどで作成したインタビューデータやリサーチデータなどを“TheyDo”上のAIに読み込ませると、効率的にカスタマージャーニーマップを作成します。TheyDo社が提供している情報では、カスタマージャーニーマップの作成にかかる時間が39時間(1週間程度の稼働)から4分に短縮された例もあります。

5.“TheyDo”を導入することにより得られる効果

“TheyDo”を活用することにより、自力での構築が難しいCX変革サイクルをつくり出すことが容易になります。あらためて、“TheyDo”を導入することにより得られる効果を3つにまとめてみます。

(1)変化に柔軟に対応可能なCXマネジメントサイクルの実現

さまざまな外部ツールと連携し、CX指標やビジネスKPIをニアリアルタイムで収集・可視化することにより、顧客の声をカスタマージャーニーマップに正しく反映でき、より実態に即したカスタマージャーニーでの施策検討が可能になります。それにより、継続して打ち出す施策の品質も向上していきます。

(2)組織横断でのジャーニー管理

会社の部門間・組織間共通のプラットフォームとして“TheyDo”を導入すれば、組織横断で施策の検討状況が可視化されるため、部門間のコラボレーションが促進されます。また、組織横断での指標の達成状況も把握でき、組織の壁を超えて顧客に対する共通認識を持つことができるようになります。

(3)AI機能によるジャーニー構築の効率化

ジャーニーAIを活用すれば、リサーチデータやインタビューデータを元にして自動でカスタマージャーニーマップを作成できます。ジャーニー作成に関わる作業の効率化が実現できます。

6.おわりに

NTTデータはTheyDo社との協力をさらに深め、「Tangity」を中心に“TheyDo”の習熟者育成に取り組んでいきます。また、両社の専門知識と技術力を結集し、お客さま企業に対してCXの課題を解決するための包括的なサポートも展開していきます。

TheyDo社と協力し、コンサルティングや、定期的なセミナー、ワークショップも開催し、ツールの効果的な使い方やベストプラクティスを共有していきます。こうした活動を通じて、クライアント企業との信頼関係をさらに深め、より良い体験価値を共創していきます。

NTTデータはカスタマージャーニーマネジメントを活用し、すべての企業が全社的な視点でCX向上に取り組む世界の実現をめざします。

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