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2024.9.25業界トレンド/展望

NTTデータが目指す未来 ~エンジニアリング力とデジタル競争力で挑む、新たな価値創出~

NTTデータといえば、どのようなイメージだろうか。大規模なシステムをつくりあげる会社?
そのイメージは、これまでに培ってきた実績の一面に過ぎない。日本の社会を常に考え、支えてきたNTTデータは、どのような未来を描き、自己の変革に取り組んでいるのか。
取締役常務執行役員の冨安 寛が語る。
目次

大規模システムの構築だけではない、NTTデータ

一般的に「コンピューターシステムを構築・運用する企業」というイメージを持たれることが多いNTTデータだが、その本質は「日本社会を常に考えてきた企業」である、と冨安は強調する。
日本社会をよりよく変えていくため、どのようなことに取り組んでいるのか。NTTデータが重視するポイントは2つある。

「NTTデータは、お客さまが必要とするシステムを提供するだけでなく、お客さま自身が実現したいアイデア、DX、ビジネスの成果を創出するまでコミットすることにこだわっています。それを実現するためのフレームが、提言からはじまり、実装し、具体的な成果につなげる、というサイクルです。このサイクルを実現するために『デジタル競争力』『エンジニアリング力』の2つを強化することが、日本社会をよりよく変えていくことにもつながると考えています」(冨安)。

図1:NTTデータが目指す「提言・実装・成果」

図1:NTTデータが目指す「提言・実装・成果」

提言だけで終わらず成果創出まで伴走する「デジタル競争力」

1つ目のポイントとして挙げられた「デジタル競争力」は、提言だけで終わらず、お客さまが求める成果を実現することにこだわり、それによって提言をさらに磨いていくことによって強化されると冨安は語る。そのために取り組んでいるのが、コンサルティング力の強化だ。これまではむしろ実装力のイメージが強かったNTTデータは、コンサルティングにどのように取り組んでいるのか。冨安はNTTデータのコンサルティングサービスの特徴を次のように語る。

「私たちはお客さまの事業変革パートナーとして、テクノロジーの発展や環境変化、お客さまのパーパス・ミッション・バリュー、強みを踏まえ、誰にどのような価値を提供するべきか、バリューチェーンをどのように変革するべきかを明確にします。そして、将来のお客さまや業界のありたい姿、つまりForesightを提言するとともに、その実装・成果創出までを一気通貫で伴走するコンサルティングに取り組んでいます。ビジネス戦略、サービスデザイン、テクノロジー、データ活用など、幅広い領域の変革を実現するサービスラインナップを用意しています。また体制においても、NTTデータ経営研究所、クニエ、NTTデータ数理システムを含む、国内NTTデータグループの2400名を超える多様な専門人材がそれぞれの強みを軸に連携しています。お客さまの目的や状況に合わせて最適な体制を組み、コンサルティングサービスを提供できるのです」(冨安)。

図2:NTTデータのコンサルティングアプローチ

図2:NTTデータのコンサルティングアプローチ

図3:NTTデータのコンサルティングサービス

図3:NTTデータのコンサルティングサービス

コンサルティングの手法においても、独自に開発した「Foresight Design Method」を構築した。コンサルタントという肩書の有無に関わらず全社員が「Foresight Design Method」を共有し、実案件に適用することで、全社を挙げたコンサルティング力強化に取り組んでいる。

「コンサルティングサービスにおける成果として、いくつか事例を挙げてみましょう。例えばある大手食品メーカーのお客さまへのビジネスコンサルティング案件では、単にある業務を改善するだけのコンサルティングではなく、業界の未来、すなわちForesightを見据えてお客さまの経営層とともに販売計画からプライシング、さらには人材変革、新規事業などの多様な経営課題の解決を一体となって推進しています。
もうひとつの事例は、ナインアワーズ社とのコラボレーションにより8月9日にオープンしたスリープテックホテル『ナインアワーズ品川駅スリープラボ』です。NTTデータでは、自社員の健康データを蓄積し、そのデータを利用したプラットフォーム『Food&Wellness』を提供しています。このプラットフォームに、ナインアワーズ品川駅スリープラボで取得する睡眠データを組み込み、これまでの健康データなどとセットで提供することで、食品や飲料などの消費材メーカーや医療機関との共創につなげ、生活者のウェルビーング向上に貢献することを目指しています。今後はNTTデータが携わる医療データ基盤『千年カルテ』、食事運動データ、購買データ、ウエアラブル端末によるバイタルデータなども組み合わせ、多様なプレーヤーとのコラボにより生活者1人1人の健康状態に応じたサービスの提供を目指していきます」(冨安)。

NTTデータのスリープテックホテルの取り組みについてはこちら
https://www.nttdata.com/jp/ja/trends/data-insight/2024/0723/

世界最強のSE集団として更なる高みを目指す「エンジニアリング力」

一方、コンサルティング力に加えてNTTデータが強化しようとしているのが「エンジニアリング力」だ。

「日本のシステムエンジニアは、世界最強。あまりピンとこないかもしれませんが、そう言えるいくつかの点をデータを交えて紹介します。
1つ目は、開発品質です。システム稼働後の不具合の発生密度の指標において、グローバルと比較すると日本は非常に件数が少ないというデータがあり、1990年代からずっと同じ傾向を示しています。
2つ目は、生産性です。ソフトウェアプロジェクトの国別生産性を比較するためのデータを見ると、保険業界での保守開発のフェーズにおいて、日本はアメリカの1.8倍、イギリスの1.2倍の生産性を発揮していることがわかります。
開発品質や生産性が高い一方で、開発の頻度とスピードを意味するアジリティについては、日本はまだ改善の余地があります。継続的デリバリーにおけるプロジェクトごとの1日のワークフローの平均実行回数の調査(※)では、世界の中央値が1日あたり1.52回であるのに対し、日本は約1回程度にとどまっているからです。
日本のIT産業は、一般に海外に後れを取っているイメージがあるかもしれませんが、開発品質や生産性の観点では世界最高水準であると胸を張ってもいい実力があるのです。さらに今後アジリティを改善していけば、日本が世界と戦っていく上でより強い武器になっていくはずです」(冨安)。

世界最高水準の開発品質や生産性を誇る、日本のシステムエンジニア。その中で、これまでに数多くのミッションクリティカルシステムを長年にわたって提供してきた歴史を持つのが、NTTデータだ。

「日本のシステムエンジニアの中で社会インフラとなる重要な実績を重ねてきたNTTデータは、世界最強のSE集団であると言えるかもしれません。公共、金融、法人、グローバルと、今では多様な領域で事業を展開しているNTTデータですが、もともとは日本電信電話公社のデータ通信事業部門として1960年代にスタートしました。なかでも公共、金融の領域においてはミッションクリティカルな社会インフラとなるシステムや仕組みを開発し、運用してきた歴史があります。公共領域においては、航空路管制処理システム、社会保険のオンラインシステム『e-Tax』をはじめとした納税システム、最近ではマイナポータルのサービスも提供しています。金融領域では、銀行間の送金に利用される全銀システムや日銀ネット、共同利用型の地銀システム、そして金融における重要システムを次の時代へ移行させる『脱メインフレーム』を掲げ、オープン化を実現したMEJARへのPITON適用など、新しいチャレンジを続けています」(冨安)。

図4:NTTデータの歴史

図4:NTTデータの歴史

「私たちは、今後も日本の強みである品質と生産性を活かし、高難度の持続可能なシステムを実装していきます。IT業界のリーダーとして技術革新をリードしつつも、根底にある『さまざまな技術を組み合わせ、安定したアーキテクチャを構築する力』を大切にしていきます」(冨安)。

また、日本の課題であるアジリティの強化に向けては、AIなどを活用して生産性を革新しながら、世界最強のSE集団としてさらなる高みを目指す、と冨安は語った。

図5:NTTデータが目指すエンジニアリング力の強化

図5:NTTデータが目指すエンジニアリング力の強化

(※)CircleCI 『The 2023 State of Software Delivery』 ・ 『2023 年版ソフトウェアデリバリーに関する現状調査レポート 日本版』

https://circleci.com/ja/resources/2023-state-of-software-delivery/

社会のForesightを見据え、日本を変えていく

さまざまな業界において幅広い顧客基盤と数多くの社会インフラ構築の実績があるNTTデータ。近年では、電力データを活用した各種サービスを提供するデータプラットフォーム「GDBL」、ブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」、行政機関と金融機関をつなぎ預貯金などの紹介を実現する「pipitLINQ」、あらゆる危機に対する企業や組織のレジリエンスを高めるデジタル防災プラットフォーム「D-Resilio」など、領域を拡大し続けている。

「これからも企業、業界、社会全体のForesightを見据えて提言し、実装からお客さまの成果創出まで伴走することで、日本社会を変えていく責任を果たしていきます」と、冨安は語った。

  • 本記事は、2024年8月29日に開催されたITJapan 2024での講演をもとに構成しています。
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