3年間で1000億円規模のM&A。加速するNTT DATAの国内成長戦略
これまで日本の社会を支えるしくみを作り、動かし続けてきたNTT DATA。近年、企業を取り巻く環境は大きく変化し、生成AIをはじめとした新しいテクノロジーなど、DXを支える技術も日々進化を続けている。これらの環境や技術の変化に迅速に対応し、顧客のビジネスの成果創出につなげていく必要がある。
2024年1月、NTTデータ 代表取締役社長の佐々木は、2023年度から2025年度までの3年間で1000億円規模の予算を投じ、積極的に国内のM&Aやパートナー企業との資本提携を推進していく方針を打ち出した。こうした環境や技術変化に迅速に対応するため、コンサルティング力やデジタルテクノロジー・システム開発力の強化、アセット拡充などの領域を強化し、さらなる成長をめざす。
お客さまのCX変革に向け、日本一のSalesforceデリバリー体制に
この大規模な投資戦略の先陣を切ったのが、2024年4月12日に発表したテラスカイとの資本業務提携だ。この狙いについて、冨安は次のように語る。
NTTデータ 取締役常務執行役員 テクノロジーコンサルティング&ソリューション分野担当
冨安 寛
「お客さまの『成果』の実現に向けて、NTT DATAが提供する価値として、『ガバナンス・サステナビリティ』『ビジネスプロセス最適化』『CX変革』『ビジネス変革』『社会変革』という5つのテーマを掲げています。今回の提携に大きく関わるのは、中でも特に力を入れている『CX変革』です。『CX変革』においては、Salesforce社のCRMソリューションが世界的にデファクトスタンダードになっています。この領域を強化することで、エンド・トゥ・エンドでのCX変革支援をしていきます」(冨安)
図1:NTT DATAが提供する顧客提供価値と5つの変革テーマ
「NTT DATAではもともとSalesforceのデリバリーに力を入れてきました。27カ国に約4,000人のエンジニアが在籍し、直近では4年間連続で同社からイノベーションアワードを受賞しました。国内においても、公共分野、金融分野、法人分野のCX変革において多くの導入実績を重ね、2024年度は国内ナンバーワン・リセールパートナーを、Salesforce全製品総額、Tableau単体の両方で受賞しています。」(冨安)
テラスカイはSalesforceをはじめとするクラウド・インテグレーターとして、2006年に設立された。製造業から金融、エネルギーなど幅広い企業に対して国内最多、約1万8,000という豊富なプロジェクト実績を持ち、国内Salesforceマーケットではリーダーポジションに位置している。
質・量ともに優れた人材を擁し、Salesforceの最上位資格の国内での在籍数は1位だ。また世界で約30名しかいないSalesforceのMVPのうち3名、国内では18名しかいない認定テクニカルアーキテクトのうち5名が、いずれもテラスカイに在籍している。
「Salesforceの資格数において国内6位のNTT DATAグループと国内1位のテラスカイが協業することで、私たちが他社を大きく引き離し国内ナンバーワンのポジションを獲得することになりました(※)」(冨安)
図2:国内におけるSalesforce資格者数
資格数は2024年6月1日現在の情報に基づきます。
CX領域でのビジネス拡大に向けた4つの取り組み
両社は、お互いの強みを持ちよることで、CX領域において3年後に500億円のビジネス規模拡大をめざしている。ビジネステーマとして掲げるのは、特定インダストリ向けの共同サービス企画、生成AI(Generative AI)を活用した新たなサービス企画、国内Salesforce人財の獲得と育成、APACを中心としたグローバル展開の4つだ。
図3:NTTデータとテラスカイの協業で狙う4つのビジネステーマ
協業で狙う4つのビジネステーマのうち、特に両社が注力しているのが金融をはじめとした特定インダストリ向けの共同サービス企画だ。既に地域金融機関向けのCX変革ソリューションの構想が始まっているという。
「特定の業界に向けた共同サービス企画を進めていきます。私たちNTT DATAは、公共・金融の分野で多くの顧客基盤を有しています。特に金融分野においては半世紀にわたる実績があり、基幹系共同センターなど、金融の基幹系システムの高いシェアを持っています。まずはこの金融領域において、両社のソリューションとSalesforceのソリューションを組み合わせ、お客さまのCX変革を支援するための共同サービスを創出していきます」(冨安)
多くの業界知見と顧客基盤を有し、データ&インテリジェンスの領域では国内のリーダーポジションにあるNTT DATA。Salesforceの専業ベンダーとしてリーダーポジションに位置し、高度な技術力、さらにリリース管理システム「Flosum」などの内製化支援ソリューションや、クラウド型グループウェア「mitoco」をはじめとするSalesforce活用のための自社プロダクトも抱えるテラスカイ。
両社の協業により、従来は顧客管理が目的であったCRMを、CRMに蓄積されたデータをAIの活用で最適なアクションに結びつけるテクノロジーへと進化させる。そんな未来も描けたらと、冨安は先を見据えている。
テラスカイ 代表取締役社長
佐藤 秀哉 氏
さらにAIとデータクラウドの活用という観点で、佐藤社長は「Salesforce社との連携も進めながら、AIで新たな市場の開拓を図ります。また、サービスクラウドにおいて引き合いの強いコールセンター向けのソリューション開発にも力を入れていきたいと考えています」と、意気込みを語った。
図4:地域金融機関向けCX変革ソリューション構想
国内における市場拡大はもちろん、グローバルにおいても展開を加速させていくこととなる両社。すでに両社のアセットを生かしたサービス提案が進むなど、新たな価値創出の芽が開き始めている。
CRM(Salesforce)についてはこちら
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/crm/
Salesforce(セールスフォース)についてはこちら
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/salesforce/
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