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2023.8.8技術トレンド/展望

ワークスタイル変革を成功に導く「サービスデザイン」

企業によるワークスタイル変革の目的が変化、多様化している。その中でワークスタイル変革を成功させるカギは、「サービスデザイン」だ。
従業員の思いをくみ取りロードマップに落とし込むことや、実現性のあるロードマップを策定することが、ワークスタイル変革成功のポイントである。そしてロードマップ策定の際にサービスデザインの考え方が活きるのだ。ワークスタイル変革にサービスデザインがどのように活きるのかを、実例を交えながら紹介する。
目次

ワークスタイル変革のトレンド

コロナ過による出社困難により、テレワークを始めとした働き方の変革を余儀なくされた状況から、5類への移行を経て、現在は制約がなくなりつつあります。
出社を中心としたワークスタイルに戻る企業がある一方、これからのワークスタイルの方向性に迷っている企業も少なくないと感じます。

これまでのワークスタイル変革は「テレワーク環境整備のためのゼロトラスト環境構築」など、目の前の課題に対してITインフラ、ツールを導入することが解決策でした。
しかしそれらの対応が一巡したこともあり、企業がワークスタイル変革に求める価値や目的が多様化、変化してきています。

そんな中、ワークスタイル変革の目的として増えているのが「従業員満足度の向上」です。

働き方変革が求められる背景

では「従業員満足度向上」のためのワークスタイル変革とは、どういったものでしょうか?

一言で「従業員満足度の向上」といっても、従業員の考え方や置かれている状況はそれぞれ異なります。また、ワークスタイル変革の結果、理想像として思い描く「あるべき姿」が定まっても、そこに至るまでの道筋や手法、ステップは無数にあり、正解を選び取ることは難しいでしょう。不確実性が多い中で変革を成功させるためには、「現場の思いをくみ取り、改革に必要なインプットとして揃えること」が特に重要になります。

「現場の思いをくみ取り、改革に必要なインプットとして揃える」工程において、成功のカギを握る手法、考え方が「サービスデザイン」です。

サービスデザインで「思いをくみ取るワークショップ」を実現

現場の思いを収集する方法として、アンケート、インタビューなどさまざまな方法がありますが、一つの効果的な手法が「ワークショップ」です。
ワークショップにおけるテーマの理解やディスカッションを通じて、参加者が自らの思いを言語化することや、他者の意見を通じてさらに自分の意見を深めることができ、効率的かつ効果的に意見の収集が可能となります。

しかし、ただ漫然とワークショップを行ってしまうと、ファシリテーターの力量や参加者の積極性によるブレがあり、安定した効果が見込めません。
そこで、サービスデザインの考え方を用いて、参加者の声を集めやすいワークショップの型(流れ)を定義することで、安定した効果の見込めるワークショップを実現することができます。

ワークショップの目的は大きく2つあります。

  • 参加者の思いをアイディアとして数多く出す(発散)
  • アイディアを解決の方向性まで導く(収束)

この目的を達成するために効果的なプロセス、手法、流れをサービスデザインの考え方で作成しています。

まずアイディア出しについては、ペルソナと呼ばれる架空の人物像を設定し、その人物設定に基づいた意見を出すことで、参加者の心理的な障壁を下げ、発言しやすい状況を作ります。
また意見を可視化するジャーニーマップ、注力ポイントをアイディエーションするストーリーボードなどのステップを用意し、順に進めていくことで、効果的にアイディアや意見を形にすることが可能となります。

次に、その解決策をストーリーにすることで、発散した意見だけでは気づけなかったロジックや、解決策を考えることで新たな考え方も生まれます。

実際にこの流れで製造業界のお客さまと行った「新しい働き方創発ワークショップ」について紹介します。このお客さまが抱えていた課題は2点でした。

  • 現場の課題:働きがいのある職場環境の実現
  • IT部門の課題:提供するインフラの現場社員への貢献度の把握

図1:新しい働き方創発ワークショップの流れ

図1:新しい働き方創発ワークショップの流れ

そこで、ワークショップでは「新しい働き方を定義すること」を目的として設定。現場で働く社員の目線で課題を発見し、解決策を創発しました。サービスデザインされた流れに沿ったワークショップの結果、経営層やIT部門の目線に偏らず、現場の生の声を吸い上げることに成功。納得感のあるITロードマップをデザインできたのです。

ロードマップ策定の具体化における現状把握の重要性

もう一つ、あるお客さまのゼロトラスト環境の推進事例を紹介します。
このお客さまが抱えていた課題は大きく2つでした。

  • 会社統合を契機にした社内ICT環境ガバナンス強化
  • 多様な働き方や環境変化に柔軟に対応するAI環境の整備

そこで、「時間や場所にとらわれずに働けて、10年後を見据えたICT環境を整える」という構想をベースに、段階的なITロードマップの策定を行い、VDIからゼロトラスト環境(セキュアFAT、ネットワーク境界セキュリティ)への段階的な遷移を推進しました。

図2:ゼロトラスト環境推進事例における取組

図2:ゼロトラスト環境推進事例における取組

このようなロードマップ策定のプロセスの中では、現状把握とあるべき姿の定義が重要です。そこで活躍するのが前述のワークショップです。現場の思いをくみ取り実態を正確に把握することで、あるべき姿とのギャップが見えてきます。
ギャップが大きいほど、一足飛びにあるべき姿に変えた際の影響やリスクも大きくなるため、お客さまの環境、状況にあった段階的な環境整備計画、ロードマップを作成することが重要になるのです。

さいごに

ここまで「ワークスタイル変革のトレンド」と、変革において「現場の思いをくみ取ること」の重要性、そこでの成功のカギを握る「サービスデザイン」についてご紹介しました。

NTT DATAでは、これまで培ってきたITの技術力をベースとしつつ、サービスデザインの視点を取り込んで、ワークスタイル変革のフレームワークの整備を行っています。そのフレームワークをベースにしたコンサルティングにより、お客さまの働き方改革を成功に導きます。

働き方改革実現を一気通貫で対応するトータルサービスについてはこちら:
https://ndigi.tech/workstyle-invention

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「デジタルテクノロジーディレクター」についてはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/digital_technology_director/

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対談記事
「テクノロジードリブンのコンサルティングとサービスデザインの融合で、これまでにない価値提供を目指す」:
https://www.nttdata.com/jp/ja/recruit/careers/work-people/3168/

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