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2024.2.14技術トレンド/展望

クラウド活用によってグリーンITを実現 ~NTT DATAのコンサルティングアセット

カーボンニュートラルの達成には、ITシステムのグリーン化も欠かせない。クラウドはグリーン化したITシステム、「グリーンIT」実現において重要な技術であるが、グリーン市場が発展途上であることも相まって、グリーンIT×クラウドの組み合わせは実現の難易度が高い。本記事ではグリーンIT実現におけるクラウドの役割を解説するとともに、グリーンなクラウド活用を支援するNTT DATAのコンサルティングアセットを紹介する。
目次

ITシステムにおけるグリーンの重要性

近年、企業活動におけるサステナビリティの重要性が高まっており、カーボンニュートラルの達成に向けて各企業が取り組みを求められています。EUにおいてはCSRD(※1)といった規制が始まっており、日本国内においても、GHGプロトコル(※2)に沿ったサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量算出を求める動きが活発です。こうしたトレンドに合わせて、株主・顧客といったステークホルダーからの目線も厳しくなっており、グリーン化への対応遅れが市場競争力の低下につながりつつあります。
一方、グリーン化は新しいビジネス機会の創出につながるという側面もあります。ICT領域の電力消費量は2030年には世界全体の20%に到達する(※3)といわれ、コンサルティング会社やIT企業では、お客さまとともにグリーンITの実現を目指す取り組みを加速させているのです。
グリーンITを実現するには、省電力なARMプロセッサといったハードウェア技術やGreen Software Foundation(※4)が推進しているソフトウェア技術など、複数の要素技術を組み合わせる必要があります。その中でもクラウドはグリーンIT実現の核になる技術の一つです。

(※1)CSRD:

Corporate Sustainability Reporting Directive(企業サステナビリティ報告指令)。EU内の対象企業はサステナビリティに関する詳細な情報開示を要求される。

(※2)GHGプロトコル:

温室効果ガス(Greenhouse Gas)排出量算出に関する国際基準。

(※3)参考:

On Global Electricity Usage of Communication Technology:Trends to 2030
https://doi.org/10.3390/challe6010117

(※4)Green Software Foundation:

グリーンなソフトウェアの普及展開とその実現に向けたエコシステム構築を目指している非営利団体。
https://greensoftware.foundation/

クラウド活用によるグリーンITの実現

クラウドがどのようにグリーンIT実現に貢献するのか見ていきましょう。
まず、オンプレミス上のシステムをクラウドにマイグレーションすることで、ITリソースの集約効果を享受でき、温室効果ガスの排出量が大幅に削減されます。特に、Amazon Web Services・Microsoft Azure・Google Cloudといったパブリッククラウドベンダーは自社データセンターにおける再生可能エネルギーの比率を大幅に高めています。そのため、パブリッククラウドへのマイグレーションにより、システムが消費する電力の大部分を再生可能エネルギーによってまかなうことができます。結果として大幅な排出量削減が見込めるのです。
クラウドにマイグレーションするだけでも十分に効果はありますが、さらにPaaSやSaaSを適切に活用することで、より排出量を削減できます。例えば、仮想マシン上で動作するWebアプリケーションをサーバーレスに移行できれば、ユーザーからのトラフィックに応じて必要な分だけコンピューティングリソースを使い、不要なリソース消費をなくすことができるでしょう。クラウドへの移行やクラウドネイティブなアーキテクチャーへの変更によって、最終的には最大で80%程度の排出量削減が可能だといわれています(※5)

一度のクラウドマイグレーションでグリーンITが完了するわけではないので、運用フェーズの中でさらにグリーン化を進める営みも重要です。これはGreenOpsと呼ばれる考え方で、主に下記3つのフェーズから成り立ちます。

  • Observation & Visualization:システムからグリーン関連のメトリクスを収集し、ダッシュボードとして可視化する。
  • Continuous Insight & Plan:可視化したデータの分析を行い、改善ポイントの洗い出しやアクションプランの立案を行う。
  • Deployment & Operation:アクションプランに沿って基盤およびアプリケーションの改善を行う。

上記のGreenOpsのサイクルを回すことで、グリーン観点で自社のITシステムを継続的に改善していくことが可能です。

グリーンITをスピーディーに実現する「Green Cloud Advisory」

グリーンIT実現におけるクラウドが果たす役割について述べましたが、具体的な実行に移そうとすると、多くの課題や悩みにぶつかります。「何から始めればいいのか分からない」、「グリーンの影響を定量的に測定したい」といったお客さまからの声もよく伺います。こういった課題を解決するために、NTT DATAで提供しているのが、「Green Cloud Advisory」です。
Green Cloud Advisoryは、クラウドを活用してお客さまのグリーン化を推進するためのコンサルティングアセットです。グリーン観点での成熟度アセスメントやロードマップ作成といった、実際のクラウドコンサルティングで使えるノウハウやツールを整備しています。本アセットはグリーン単体での活用だけではなく、クラウドマイグレーションなどの提案にグリーンを付け加えるような活用も想定しています。すなわち、クラウドマイグレーションの提案時に、品質の高いマイグレーションの実装に加えて、お客さまのITシステムのグリーン化も提案することが可能になります。

Green Cloud Advisoryが用意している主なコンテンツは下記の通りです。

  • Green Cloud Advisory説明資料:グリーンIT実現の必要性や現状などをお客さまにご説明する資料。
  • グリーン市場調査資料: クラウドベンダーやサードパーティーベンダーのグリーンに対する取り組み状況や関連ツールをまとめた調査資料。
  • グリーンIT 成熟度アセスメント:お客さまのITシステムを分析・評価するアセスメントのフレームワークと、今後のロードマップや実施すべきアクションのノウハウ。
  • グリーンKPI定義:GreenOpsに必要なグリーン関連のKPIやメトリクスの定義。
  • 可視化ダッシュボード:GreenOpsで活用される可視化ダッシュボード。

これらのアセットをお客さまのニーズに合わせて使うことで、効率的にお客さまのITシステムのグリーン化を進めていくことができます。

まとめ

グリーンITの実現はカーボンニュートラル達成に向けて重要な役割を果たします。クラウドを活用することで、ITシステムを起因とした温室効果ガス排出量の大幅な削減につながります。しかしながら、実際に実行へ移すにはハードルが高いのも事実です。課題の多いクラウド上でのグリーンIT実現を支援するアセットが我々のGreen Cloud Advisoryです。
NTT DATAはGreen Cloud Advisoryを始めとしたテクノロジーアセットを活用し、お客さまとともに社会課題の解決に貢献し、サステナブルな社会の発展に貢献します。

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