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2024.8.30事例

三菱ロジスネクストが取り組む販売子会社の営業マネジメント変革

総合物流機器メーカーである三菱ロジスネクスト。フォークリフトメーカー4社を源流に発足し、日本国内に9社の地域販売子会社(以下:販社)がある。9社の販社は過去の再編に伴って組織がサイロ化し、本社と販社の間での顧客情報管理、営業活動管理に課題を抱えていた。この課題を解決するために販社全体の営業情報一元化を目指すSFA/CRM基盤構築プロジェクトが始動した。販社を束ねる新システム基盤にSalesforceを導入し、一丸となって営業力強化を進めている経緯について聞いた。
目次

販社ごとの情報管理による課題 ~見えにくい営業現場~

三菱ロジスネクストは、日本輸送機(ニチユ)が三菱重工業のフォークリフト事業を継承して設立したニチユ三菱フォークリフトと、TCM(日立建機グループ)と日産フォークリフトの合併で設立されたユニキャリアを前身として2017年に発足した。現在も源流企業由来である「ニチユ」「三菱」「TCM」の各ブランドを引き続き使用している。
このような経緯から旧販社ネットワークを維持していた同社だったが、より強固な販売体制を確立すべく、元々2系列11社あった直系販社を1系列9社へ再編することとなった。ところが、この販社の再編にあたっては、大きな課題があった。

三菱ロジスネクスト株式会社 国内営業本部 マーケティング企画部 マーケティング企画課 早野 友浩 氏

三菱ロジスネクスト株式会社
国内営業本部
マーケティング企画部
マーケティング企画課
早野 友浩 氏

「これまでは営業部門の業務プロセスや情報管理が販社ごとにばらばらで、業務が属人化して効率的な営業活動が難しい状況でした。本社側でも営業の現場が見えにくいことが大きな課題となっていました」(早野 氏)

この課題を解決するために、三菱ロジスネクストは本社主導による新たな営業支援・顧客管理システムの導入を検討。業務部門とIT部門が一丸となって「SFA(営業支援)/CRM(顧客管理)基盤構築プロジェクト」を立ち上げた。

三菱ロジスネクスト株式会社 情報システム本部 国内事業システム部 業務システム課 長山 進 氏

三菱ロジスネクスト株式会社
情報システム本部
国内事業システム部
業務システム課
長山 進 氏

「新会社発足後に進めてきた基幹システムの統合が完了して一段落したこともあり、それまで手付かずだった営業支援・顧客管理システムの整備に向けたプロジェクトをスタートさせました」(長山 氏)

図1:三菱ロジスネクスト様の課題

図1:三菱ロジスネクスト様の課題

SFA/CRM基盤の統合・刷新に向けた検討

SFA/CRM基盤構築プロジェクトを立ち上げた三菱ロジスネクストが最初に取り組んだのが、営業現場への聞き取りと現状把握だった。
「営業関連システムを導入する際には、現場に『使いたい』という意思がなければ失敗することも考えられます。これを避けるためにも、まずは本社の業務部門と直系販社からの聞き取りを入念に行って現状を把握するところから始めました。」(長山 氏)

続いて進めたのが、システム基盤として導入するソリューションの選定だ。

「基幹システムの統合によって顧客マスターがすでに完成していたこともあり、基幹システムと連携できることを前提にソリューションを調査しました。複数のソリューションを比較検討した結果、『大口顧客の情報を一元的に管理しながら販社ごとの権限設定が柔軟に行えること』『複雑なカスタマイズを行うことなく、ローコードで迅速に開発し、導入後も柔軟に当社の要望をかなえられそうなこと』を評価し、『Salesforce』が有力な導入候補に挙がりました。しかし、当社の業務部門や営業現場が必要とする機能要件、導入・運用にかかるコスト負担の観点から、Salesforceを選んでよいのか決めあぐねていました。
そこで、販社が使用する販売管理システムの導入・運用で取引関係にあったNTTデータ関西に相談を持ち掛けました。NTTデータ関西は、Salesforceビジネスの経験豊富な親会社のNTTデータも巻き込み、我々の望む要望に対し、さまざまなソリューションの比較検討まで含めた提案をしてくれました。」(長山 氏)

株式会社NTTデータ テクノロジーコンサルティング事業本部 荻野 陽介

株式会社NTTデータ
テクノロジーコンサルティング事業本部
荻野 陽介

「NTTデータは、これまで多種多様な業種のお客さまのSalesforce導入を支援してきました。豊富な経験をもとにSalesforceを活用したビジネス成果を生むためのサポートメニューも整備しており、営業領域やマーケティング領域をはじめとした顧客企業のCX領域(Customer Experience)変革をエンドツーエンドで伴走支援しています。
今回のご相談を受け、『要件に合わせて作り込みが必要な他社のSFA/CRMソリューションよりもSalesforceのほうが適していること』『Salesforceの複数の種類のライセンスをハイブリッドで利用すれば高額なライセンスコストを抑えながら要件を実現できること』といったメリットを挙げ、三菱ロジスネクスト様にはSalesforceが最適であることを改めて提案しました。」(荻野)

図2:Salesforceの導入により、案件、引き合い、顧客などの現場情報がリアルタイムで共有可能に

図2:Salesforceの導入により、案件、引き合い、顧客などの現場情報がリアルタイムで共有可能に

この提案内容や実績を総合的に評価し、三菱ロジスネクストはSalesforceの導入を決断。NTTデータ・NTTデータ関西が新たにプロジェクトに参画することとなった。
「私たち業務部門もパートナーの選定には深く関与しましたが、NTTデータ・NTTデータ関西からは『一緒につくり上げていこう』という気構えを強く感じました。従来の取引関係から当社の内情を深く理解しているという安心感も、パートナー選びの決め手になりました。提案内容も現場の課題感をくみとった解決策を先回りした非常に良いものであり、『この人たちならば大丈夫』という信頼感も持てました。」(早野 氏)

本社・販社間でのリアルタイムの情報共有により、スムーズな商談と業務効率化が可能に

プロジェクトの開始前には、約2か月間の短期集中で、改めてビジョンの合意、構想策定を実施し、要件を固めた。その後、構築プロジェクトをスタートして基盤構築と開発を進め、現在ではSalesforceを基盤とした営業支援・顧客管理システムを国内9販社、1,000名以上の営業関連部門担当者が日々利用している。

「私たち業務部門が感じた最大の導入効果は、お客さまへの営業活動に関する情報が本社と販社の間でリアルタイムに共有できるようになったことです。これまでは全国各地で取引している大口のお客さまであっても、東京の商談内容が近畿の販社に情報共有するに時間がかかり効果的な営業活動が困難でした。それが今回のSalesforceによって商談内容や顧客情報などがリアルタイムかつ自動的に連携するため、いつどこでどのような取引があったのかを把握したうえでスムーズに商談を進められるようになりました。」(早野 氏)

さらに、営業担当者ごとにばらつきのあった業務の平準化も実現した。過去の取引実績の確認、商談の進捗(しんちょく)管理や営業日報の入力などもスマートフォンを使って外出先からできるので、営業担当者の業務効率化にもつながっている。また機種ごとの引き合い台数、受注した台数、受注が決まるまでの期間といった詳細な情報もつぶさに入手できるようになり、「引き合いが何台あるから今月中に何台の受注が見込まれる」といった予測分析が可能になったこともSalesforceの導入効果として業務部門が実感している成果のひとつだ。

また、営業現場へのSalesforce導入前から導入後にビジネス成果を生み出すための活用支援まで、NTTデータ・NTTデータ関西から継続的に支援を行っている。

株式会社NTTデータ関西 第二法人事業部 LowCodePlatform担当 久保田 裕子

株式会社NTTデータ関西
第二法人事業部 LowCodePlatform担当
久保田 裕子

「運用開始にあたっては、NTTデータ関西から操作マニュアルを提供しました。また各販社の現場に定着させるため、三菱ロジスネクスト様とともに各販社を行脚し、教育トレーニングに協力させていただきました。現在は週次のミーティングを開催することで絶えずご要望を吸い上げ、継続的にシステムを進化させていくとともに、データ活用やSalesforceを活用した現場のマネジメント手法など、よりステップを進めた内容にもお客さまと一緒に取り組んでいます。結果的にこれらの取り組みが三菱ロジスネクスト様ならびにNTTデータ・NTTデータ関西における関係性の強化にもつながっていると感じています。」(久保田)

こうした支援により、現在はIT部門の運用負荷も大きく軽減されている。

「運用フェーズに入ってから私たちIT部門は主にヘルプデスクを担当しています。内容を取りまとめてNTTデータ関西へ問い合わせをするという業務が中心ですが、運用開始から丸1年が経過した現在は、問い合わせ数も落ち着き、業務負荷を感じることはありません。」(長山 氏)

更なる営業力強化に向けた今後の展望

こうしてSalesforceの運用が軌道に乗った三菱ロジスネクストでは、今後さらにSalesforce活用の幅を広げていく方針だ。今後の取り組みとして、マーケティングオートメーション(MA)ツールとの連携も検討している。

「いま進めているのは、製品を受注した理由から自社の強みを分析するという取り組みです。営業活動の状況と受注台数・受注率の相関関係から受注見込み台数を予測することも可能になったので、今後は失注した商談の要因分析も行いながら、受注拡大に向けた施策を講じていくために活用していく予定です。
主力のフォークリフト事業だけでなく、これから成長が見込まれる物流システム事業の発展を支えていくためにも、イベント・展示会で入手した見込み客の情報を効率よく商談に結び付けていくことを視野に入れています。」(早野 氏)

NTT DATAは、Salesforceに関する豊富な知見を活かし、これからもお客さまのビジネス成果の創出を支援していきます。

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