NTT DATA

DATA INSIGHT

NTT DATAの「知見」と「先見」を社会へ届けるメディア

キーワードで探す
カテゴリで探す
サービスで探す
業種で探す
トピックで探す
キーワードで探す
カテゴリで探す
サービスで探す
業種で探す
トピックで探す
2021.9.28事例

ソサエティDXの実現へ。IOWN構想がデジタルツインを加速する

近未来のスマートな世界を支えるコミュニケーション基盤、「IOWN」。今のインターネットの限界を超える高速大容量通信を活かしたさまざまなDXの実現が期待されており、NTTはグループ全体でIOWN構想に取り組んでいる。本稿では、IOWNの概要と、NTTデータの取り組みや目指す社会について解説する。
目次

インターネットの限界?

―「遠く離れた国の人々とのオンライン会議」や、「行きたい場所への交通手段をワンクリックで予約手配できるアプリ」。インターネットやスマートフォンの普及により、私たちの生活は驚くほどの進化を遂げています。しかし、飛躍的に増えつづける情報量に対して、いまのインターネットでは”やがて限界を迎える”のをご存知でしょうか?
より便利で豊かな社会の実現に向けて、この限界に挑戦するのがNTTのIOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)構想です。既存のネットワークでは対応しきれない高速大容量・低遅延な通信、膨大な計算に対応可能な情報処理基盤を中心として、2030年の実現を目指して研究開発を進めています。

中継装置、端末、チップ。すべての情報通信・処理に光技術を

IOWNは主に、ネットワークだけでなく端末処理まで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク」、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタルツインコンピューティング」、それらを含むさまざまなICTリソースを効率的に制御し全体最適を図る「コグニティブ・ファウンデーション」の3つで構成されます。

図1:IOWN構成図

図1:IOWN構成図

これらの中で最も重要な基盤技術が、「オールフォトニクス・ネットワーク」です。現在でもインターネット回線に光ファイバーが使われていますが、中継装置や端末、また演算を行うチップには電子技術が活用されているため、光信号と電気信号の変換が必要でした。IOWNの世界では、NTTが開発した光電融合技術によって、回線だけでなく、中継装置、端末、チップの中に至るまでそのすべてにフォトニクス(光)ベースの技術を導入、End-to-Endでの情報伝達を全て光化します。余計な変換処理が不要になり、これまで実現が困難だった超低消費電力化、超高速処理、超低遅延通信が可能になります。また、その光電融合技術をデータセンタ内のサーバやネットワークに適用することで超省電力データセンタが実現。昨今注目すべき社会課題である脱炭素にも貢献できます。

What’s IOWN?
IOWN | NTTグループの取組み | NTTグループについて | NTT (group.ntt)

Society5.0を推進するデジタルツイン

Society5.0。それはサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会です。実世界に存在するさまざまな事象や状態を、IoTデバイスなどを介してセンシング。サイバー空間でAIなどが解析した結果を現実世界にフィードバックすることで、新たな価値につなげることが期待されています。

IOWN構想では、現実空間のモノ・ヒトをサイバー空間上でデジタルコピーとして表現することで、未来予測やさまざまな条件でシミュレーションを行う「デジタルツインコンピューティング」を推進していきます。
例えば、製造ラインの機械のデジタルツインを再現することで、故障のリスク予測や、故障発生時のサプライチェーンへの影響予測をリアルタイムに計算、最適なメンテナンス計画やファイナンスが可能になります。また、都市空間や市民のデジタルツインを表現することで、都市計画の段階において、新たな公共施設の建設による人流の変化や周辺施設への影響を可視化できるようになり、データに基づいた政策決定(EBPM: Evidence based Policy Making)が可能になります。

図2:デジタルツインコンピューティング

図2:デジタルツインコンピューティング

社会全体のDX:ソサエティDXを共創

NTTデータでは先般、Society5.0実現に向けたビジョンとして、“Smarter Society Vision(※)”を発表しました。このビジョン実現には、企業・行政・市民などステークホルダーのニーズを捉えた、業界・業種の壁を越えたデータ連携やサービス融合による社会全体のDX―ソサエティDX―が不可欠です。
ソサエティDX。それは例えば、市民のwell-being(幸福に生きている状態)を医療・ヘルスケア業界だけで実現するのではなく、住居やオフィスなどの不動産業界や、飲食・小売業界の企業とも広く連携することで、よりパーソナライズされたきめ細かいwell-beingサービス提供をめざす考え方です。実現に向けては、さまざまなステークホルダー間での適切かつ安全な管理のもとでのリアルタイムなデータ連携や、well-beingに関するヒトの感覚・感情の可視化、環境に応じた分析や効果シミュレーションなどが必要になります。

NTTデータでは、IOWN構想にある「デジタルツインコンピューティング」をはじめとした先進技術の実用化や、多岐に渡るパートナー企業の皆さまやお客さまとの共創を通じてソサエティDXの実現にチャレンジします。

IOWN構想の価値を社会に

IOWN構想が本格的に実現する2030年頃に向けても、環境問題、医療・介護問題など、日本をはじめ世界全体でさまざまな社会課題がより深刻になることが予想されます。これらを乗り越えるためには「業界・業種の壁を越えて社会全体で取り組んでいく」ことと「さまざまなデータを駆使して最適なソリューションを導く」発想がより重要になるでしょう。
2030年は、もうすぐそこまで来ています。
NTTデータでは、2021年1月にIOWN推進室を設置。IOWN推進室では、社会動向やお客さまのニーズを捉え、IOWN技術のいち早い技術検証、社会実装を目指すための活動を進めています。NTTデータはこれからも、グリーン、スマートシティ、防災、ヘルスケアなどさまざまな領域での価値共創パートナーとして、ソサエティDXに貢献していきます。

- NTTデータは、「これから」を描き、その実現に向け進み続けます -
お問い合わせ