自社に最適なインフラを見つけられていますか?
ITインフラの検討をする際、現在においては主流となっているパブリッククラウドの検討をいきなり始められる方が多いのではないでしょうか?実際、パブリッククラウドの市場規模は年々大きくなっていますし(図1)、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloudなどのメガクラウドベンダーのサービスから自社に最適なサービスを選定し、利用するというプロセスでインフラを検討されている方も多いと思います。これらのサービスはラインナップも豊富なことに加え、日々進化しており、一見すると最初からパブリッククラウドに絞ってITインフラの検討を進めるという判断は合理的のようにも思えますが、本当にそうでしょうか?
図1:クラウド全体の市場と成長率(※1)
グラフは Gartner® リサーチに基づき株式会社NTTデータが作成したものです。ここに記載のある数値は、NTTデータにより算出されたものです。
出典:Gartner, Inc., Market Opportunity Map: Cloud IT Services, Worldwide, Brandon Medford, Colleen Graham, Craig Lowery, Scot MacLellan, 16 September 2022
検討するポイント
VUCA(※2)時代にビジネスを拡大するため、最新技術を採用しサービス化にいち早く取り組むパブリッククラウドが、クラウドインフラ市場において年々成長していることは事実です。しかし、プライベートクラウドも成長していますし、オンプレミスが必要なくなるということもありません(図2)。なぜなら、非機能要件の要求レベルや特殊なハードウェアが必要といったシステム固有の要件によっては、パブリッククラウドではカバーできないためです。パブリッククラウドは頻繁に新規サービスがリリースされ、仕様が変化し続けます。それを理解した上で、実現しなければならない要件を整理し、その要件に最適な構成をパブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスを組み合わせて実現することに対して、ハードルの高さを感じる方も多いでしょう。
ここでは、パブリッククラウド利用をベースとして最適なITインフラを検討していく順序を例として提示します。(図3)
図2:クラウドシフトによる収益予測(※3)
図3:ITインフラ検討手順
(1)パブリッククラウドノックアウト条件判断
パブリッククラウドの利用がノックアウトとなる条件を基に、システムとしてのパブリッククラウド利用可否を判断する。
(2)プライベートクラウド評価
パブリッククラウドが利用不可と判断されたシステムに関して、プライベートクラウドにおいて、非機能要件などを基にどこのクラウドを利用するべきであるかを判断する。(並行してオンプレミスの検討も実施する。)
(3)クラウド評価
パブリッククラウドの利用が可能と判断されたシステムに関して、非機能要件などを基にどのクラウドを利用するべきであるかを判断する。
VUCA:Volatility(不安定さ)・Uncertainty(不確かさ)・Complexity(複雑さ)・Ambiguity(不明確さ)の頭文字を取った造語。ビジネスにとって、将来の予測が難しい状況のこと。
出典:Gartner, Inc., Gartner Press Release, Gartner Says More Than Half of Enterprise IT Spending in Key Market Segments Will Shift to the Cloud by 2025 February 9, 2022
https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2022-02-09-gartner-says-more-than-half-of-enterprise-it-spending
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クラウドコンサルティングとは
パブリッククラウドの利用を前提に考えれば上記のような検討の流れになりますが、自社に最適なITインフラを検討する流れは異なります。なぜなら、パブリッククラウドの利用は手段であり目的ではないため、本来前提条件にはならないものだと考えられるからです。
本来、最適なITインフラを検討するためには、以下のプロセスが必要だと考えます。
1.目的(達成目標≒要件のベースとなるもの)を明確にする
2.立ち位置(現状)を把握する
3.現状と目標のGAP見える化を実施する
4.目標を達成するまでのロードマップを描く
5.GAPを埋める手段を検討していく
ただでさえ、ハードルが高く感じられるこのプロセスを実行するためには、クラウド技術に精通したエンジニアがいるだけでは厳しく、逆にコンサルティングだけができてもうまくいきません。両方の分野をカバーしたクラウドコンサルティング力が必要です。
また、既にクラウドを活用している場合においても、「オンプレミスシステムをクラウドに移行したが、セキュリティ面が不安」、「コストが思ったより安くならない」、「性能が落ちた気がする」、「新しいサービスがどんどんリリースされているが上手く活用できていない」など、局所的な悩みが発生しがちですが、このような時にもクラウドコンサルティングは有効な一手となります。NTTデータのクラウドコンサルティングの流れを一部ご紹介します。(図4、図5)
図4:コンサルティングメニュー
図5:ITインフラ検討の進め方
さあ、最適化を目指して動きましょう
最適なITインフラは、置かれた状況はもちろんですが、時代(ITの進化)とともに移り変わっていきます。今回はクラウド利用の検討プロセスを中心にご説明しましたが、NTTデータはオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドだけではなく、エッジクラウドなど少し先の技術にも精通した豊富な人財を揃え、お客さまの多種多様なニーズに応えられるクラウドコンサルティングをご提供することが可能です。また、コンサルティングだけではなく、実装から運用まで幅広くご対応することもできます。「自社にとってより最適なITインフラとは何か」を少しでも考える契機として、本稿が皆さまの背中を押せたのであれば嬉しく思います。さあ、動き出しましょう。